テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ayhs
ーーー
出会いは突然というもの。
洗っても微かに臭う鉄の香りを払いながら、今日も俺は人に言えない仕事を済ませて、帰路に着く頃。普段人気の無いトンネルに今日は珍しく気配を感じて、気にせず歩むもそれを目の前にして足を止めた。彼は大きな荷物を抱え、ロングコートを揺らしながら小さく鼻唄を口ずさんでいた。そんな彼が俺に気がついて振り返り視線が交じる。普段は警戒しているはずなのに、今は何故か目を離せない。あぁ、そうか。好きだ。
0.5秒という短い時間。それでも、惚れるには十分すぎる時間だった。
垂れ下がり細められた目。柔らかそうな真ん中で分けられた髪。返り血であろう赤が似合う紅潮とした頬。チャコールグレーのシャツに、黒に近いベスト。同色のスラックスに、月のない夜を思わせるロングコートと重ね着しても隠せない細身な体付き。思わず見惚れていると彼から口を開く。
「…あの、なにか?」
「いや、あの、…あっ、血!ほっぺに。」
指で自身の頬を指し示す。
「え?…あぁ、すみません笑
…血について、驚かないんですね。」
「俺も、同業者なので…笑」
「へぇ、そうなんだ。」
「あの!名前、教えてくれませんか。」
「まずは自分から名乗ったら?笑」
「あっ、すみません…。俺、剛って言います。」
「僕は源。よろしくね。剛くん」
「源、さん…。はい!」
俺はこの機会を逃さず連絡先も聞き、強欲だねと揶揄われながらもなんとか交換してもらえた。嬉しい。嬉しい。好き。大好き。殺したいくらいに。