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𝓗𝓪𝓶𝓾
809
#アイドル
ゲスト
26
「……やばいな」
「やばいって?」一体何がだろうと思う。
「さっきから、なんなんだよ。おまえは」
苛立っているようにも聞こえる声に、
「なんでちょっと怒り気味なの?」
もしかして何か気にさわることでも言ったのかなと、頭を巡らせる。
「いいから、こっち向けよ」
両肩がぐっと掴まれ身体が正面に返されて、彼と向かい合わせになる。
「俺にキスしてきたり、そんな可愛いこと言ったり……やばいくらいに、おまえが、」
我慢できない性急さで唇が奪われて、
「……好きだ」
ストレートな一言が告げられる。
あまりの恥ずかしさに真っ赤になってうつむいて、「……好き。私も……」とだけ返すと、
「やばいな…」と、彼がもう一度くり返して、照れた表情を隠すように、片手で顔を覆った。
「おまえが、好きすぎる」
低く甘い声音が、胸にキュンと響く。
「……キス、させろよ」
「もう、キスばっかり」
「悪いか」
言いながら顔を迫らせて、
「言っただろ? おまえといると、キスがしたくてたまらないって」
ためらいもなく口づけられる。
「……そんなに、したいの?」
「……したい。キスだけじゃなく、その先も」
ベランダの柵に背中が強く押し付けられて、唇に喰らいつくような強引さで貪り求められる。
「あっ……ん、落ちそう……っ」
鉄柵から弓成りに仰け反った胸元に、ちゅっと音を立てて口づけられて、
「落ちろよ、俺に」
片腕にぎゅっと強く腰が抱き締められる。
「……もう……とっくに、落ちてる……」
まるでたぎるような思いに、抱く腕の熱さに、
抗えるわけなんてなかった──。
「中入ろうぜ」
部屋へ腕がぐいと引っ張られて、前のめりに彼の胸に飛び込むかっこうで、
「……舞」
顎がクッと上向かされると、
「抱きたい」
迷いのない言葉とともに、毛足の長いラグマットに身体がふわりと包まれるように組み敷かれた。
「望み通りに、俺のものにしてやる」
「……別に、望んでなんか……」
あんまりにも彼のペースに絡めとられていることに、わずかな抵抗をしてみるけれど、
「ん、黙れよ」
そんなささやかな抵抗は、巧みなキスにあっさりと封じられてしまう。
「う、んっ」
耳のそばに吸い付かれて、
「もっと俺だけのものになれよ」
重ねて囁きかけられる。
彼の情熱に包まれていると、自分までもが熱に浮かされていくようで──、
どうして、こんなにも好きになっちゃったんだろうと……。
さっきは彼の方から好きすぎるって言われたけれど、私だって負けないくらいに好きすぎて……。
見上げれば、身が焦がれるほど熱っぽい眼差しがあって、
「……舞」
感じる愛しさのままに、熱っぽく私の名前を呼びかける。
それだけでドクンと心音が跳ね上がるのを実感させられる。
「……何、緊張してんだよ?」
「緊張……なんて、してないもん」
「おまえ、可愛いすぎだろ」
欲望をぶつけるように何度でも口づけを迫りながら、私の服のボタンを外していくと、隙間からブラの中に手を挿し入れてきた。
「や……んっ……」
胸の凸先が二本の指に挟み上げられて、抑えられない声が漏れる。
襟が開かれ脇腹を撫で下ろされると、スカートのファスナーに片手がかかった。
脱がせやすいように腰が抱え上げられて、胸の鼓動がうるさいくらいに高鳴る。
不安を柔らげるように唇が重ね合わされて、
「そんなびくびくすんな。取って食ったりするわけじゃないだろうが」
濡れて温かな舌でゆっくりと上顎をなぞられて辿られると、次第に気持ちの高ぶりは収まった……。
「……やさしく、して……」
服を脱ぎ捨てた彼に、腕をまわして抱きつくと、
「ああ、やさしくする……俺の全力で」
噴き出す汗にまみれた裸の胸が密着して、しっとりと合わさった──。
「んっ……舞」
「あっ、ふ……」
「もっと……もっと、俺に……」
きつく腰が抱えられて、
「……感じてみせろよ」
深く内奥へ押し入る熱感に、
「ああ……も、う……!」
身体ごと揺さぶられ翻弄させられる。
「あっ……好き、なの。颯……」
「……俺もだ、舞」
キスの温もりが唇を通してじんと伝わってくる。
どうしようもないくらいに乱れてしまいそうで、彼の背中に爪を立ててしがみついて、
「……愛してる」
口にすると、
「バカ……」と、耳元に声が返った。
「愛してるは、俺に言わせろ」
両腕に背中が抱かれ、息が詰まりそうなぐらいにぎゅうと胸に抱き締められて、
「……愛してる。舞」
吐息混じりの甘ったるい声が、耳の奥深くへ吹き込まれた。
コメント
1件
いやあ……もう、冒頭から「やばいな」の連呼にやられました。あの照れ隠しのように顔を覆う仕草と、反対に「好きすぎる」って真っ直ぐ言っちゃうギャップが最高すぎる。舞ちゃんの「とっくに落ちてる」の返しも、颯くんのペースに飲まれつつちゃんと自分の気持ちを返せる強さがあって、めちゃくちゃ胸が熱くなりました。「愛してるは俺に言わせろ」ってセリフ、独占欲と愛情が混ざりすぎてて銅像になりました。本当に読んでて幸せになる回でした。ありがとうございます。