TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

ニジヲタビスルソラカルマ

一覧ページ

「ニジヲタビスルソラカルマ」のメインビジュアル

ニジヲタビスルソラカルマ

26 - 第26話旅

♥

13

2022年08月19日

シェアするシェアする
報告する

観客たちの視線は、彼ではなく板に集中していた。

舞台の上に立つ彼と、観客席にいる観客たち。

その両者の間には大きな隔たりがあり、 両者の距離もまた、大きく離れていた。

そして、彼はついに板の前に立つ。

その瞬間、板に書かれた文字が変化する。

そこにはこう書かれていた。

『汝、偽りを語るべからず』

その言葉を見て、彼は笑った。

「なんだ、簡単じゃないか」

彼は観客たちに向き直ると、口を開く。

だが、そこから出てきた声はいつもの声ではなかった。

低く野太い男の声でもなく、高い女の声でもなかった。

子供のように無邪気に笑う少年の声でもない。

その口調は、まるで大人のような落ち着いたものだった。

観客たちは戸惑っているようだったが、それでも構わず彼は話し続けた。

「さぁ、始めましょう。僕とあなた達のゲームを」

彼は、ある村にやってきた旅人です。

村の人達はとても親切でしたが、ひとつだけ困ったことがありました。

それは、村人達がみんな同じ顔をしていることでした。最初はただ単に個性がないだけだと思っていましたが、次第にそれだけではないことに気がつき始めていました。

何事にも無関心で、やる気がなく、自己主張が少なく、協調性に欠ける……そういった性格なのでしょう。

それに引き換え、自分はどうでしょうか? 顔立ちこそ多少整っていますが、特に優れた部分があるとは思えません。

つまり、自分以外の全員がハズレくじを引いたようなものです。

これならばまだ、全員クジを引く前に分かっていた方が良かったかもしれませんね。

しかし、いくら嘆いても状況は変わりませんでした。

そこで私は考えを変え、逆にこの状況を利用しようと決めました。

つまり、私が彼らの代わりに旅に出てしまえば良いのです。

そうすることで自分達の存在を隠匿し、平穏無事に暮らしてきたのです。

旅を続ける中でそのことを理解していった彼は、ある日とうとう我慢できなくなりました。

そこで、一計を案じて村人達に自分を殺すよう指示します。

突然の提案に困惑する彼でしたが、やがて理由を説明してくれました。

自分は神に選ばれた者であり、このまま放っておけば世界に災いをもたらすことになる。

そのため、自分に課せられた使命を果たすためにも、ここで自分を殺さなければならないのだ――と。

納得できないながらも従うしかないと考えた彼らは、言われた通りに彼を毒殺しようと試みます。

しかし、彼は毒入りの食事をわざと食べてみせたり、逆に何も口にしなかったりと、何度も隙を作りながら逃げ続けます。

なかなか殺すことができないと判断した彼らは、仕方なく罠を仕掛けることにしたのです。

まずは森の奥深くにある小屋へ誘導し、そこへ閉じ込めることで身動きが取れないようにさせました。

さらに、食料庫にあった食べ物を全て捨て、飢えさせて体力を奪う作戦に出たのです。

これでようやく準備が完了したと思った次の日、彼らは早速行動を起こしました。

しかし、いくら話しかけても返事をしてくれないどころか、誰一人として顔を上げようとしません。

そこで仕方なく、今度は食べ物を持ってきました。

しかしそれでも反応は同じで、食べてくれる気配すらありません。

途方に暮れて帰ろうとしたところへ一人の老人が現れ、「どうか彼らに話をさせてください」と言いました。

それを聞いて安心したものの、いざ話し始めるとその様子は全く違いました。

これまでの沈黙は何だったんだろうと思うほど饒舌になり、こちらの話も聞かず一方的に喋り続けています。しかもその内容はどれも嘘ばかりで、とても信じられるような内容ではありませんでした。

やがて話が終わる頃には、すっかり疲れてしまいました。

正直言って、二度と会いたくありません。

それにしてもあの話は一体なんだったのでしょう?をつく必要があったのでしょうか? もしかしたら、私達には想像できないような深い理由があるのかもしれませんね。

ニジヲタビスルソラカルマ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

13

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚