テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
はじめまして!!ちぃと申しますっ!
ちょっとでも読んでいただけたら嬉しいなと思います💭💕
苦手な方はお戻りください
ーーーーーーーーーー
23:00
夜はすっかり更けているが、街は明るく、人が賑わっている。
香水、酒、たばこ、ありとあらゆるにおいが混じりあっていて、気分が悪くもなってくる。
そんな街を今日も俺は歩いている。
その中でも一際目立つ存在がいた。
ピンクの派手髪に、無数のピアスと、きつい香水の匂い、派手な服を着た彼は女性を連れて歩いている。すれ違いざまに睨みをきかせると、こちらに気づいたのか、一瞬、驚いたような表情をしてからすぐに笑みに変わった。
そんなことを気にせず、俺は今日も行きつけのバーに足を運ぶ。
ドアを開けて、カラン、と音がする。今日も大人しい雰囲気で、俺はここのバーが好きだ。
「いらっしゃーい」
低く、でも優しいマスターの声。身長はさほど高くなく、紫がかった白髪。すごく特徴的な見た目で、派手そうな感じもするが、落ち着いて話を聞いてくれる。
「今日は何飲むん?」
「ん〜、、1番強いの。」
「、、なんか嫌なことあったん?」
「別に。」
「とりま、用意するな?」
俺が唯一心を開いている人。でも名前は知らない。ミステリアスな雰囲気を纏っていて、なかなか聞きづらい。
慣れた手つきで酒を用意する。今日もいろいろ話を聞いてもらおうか、なんて。
「お待たせ〜」
そうやって俺の前に酒を置いた。俺はそれを口にする。
強い酒だから、刺激が強いかと思ったが、そうでもない。俺はマスターを疑って話しかける。
「これ、ほんとに1番強いの?」
「さぁ?笑」
不敵な笑みを浮かべてそう言う。どうやら、1番弱いやつを持ってこられたようだ。
「1番弱いやつでしょ?」
「りうちゃんに1番強いお酒は、まだ早いで笑」
ニコッと笑ってこちらの顔を覗き込んできた。
「いくらでも話聞きくで?」
その言葉に安心して、今日あった嫌な話を、マスターにぶつける。もちろん、愚痴も込みで。
話をしていると、マスターの携帯から音が出る。
「ちょっと失礼。」
それにしても、ここに俺以外の客は来るのだろうか?かなり長居する方なのだが、誰も来たことがない。まぁ、夜遅い時間だもんなと自分を納得させる。
少ししてマスターが焦ったような顔をする。
「え、は?、、、いやいやいや!無理やって!!!!いやがちでお願い!!!、、、え、、まぁ、あの、迷惑かけん程度にお願いな、、?」
「マスター、どうしたの?」
「りうちゃん、あのな?クソチャラいうるさいやつが来るんやって。大丈夫、?」
「えー、、、いや、、無理かも、、」
「よな〜!!!俺も無理やって!!!」
「なんでそんなのと仲良さそうなの、、」
「普段はめんどくさくないやつなんやけど、女連れ回して遊んだ後が扱いに困っててな、、」
「うわぁ、、」
マスターのその言葉を聞いてピンク頭のあいつを思い出す。考えると、あいつの香水の匂いが鼻の奥でつんと感じた気がする。
「いつもはここに来るの?」
「いや、なんか落ち込むようなことがないと来ーへんよ。」
「チャラそうな人も落ち込むんだ、、」
「まぁ、あいつ結構泣きついて来るんよな、どうせ女に逃げられたとかやろうけど。」
「そんな女癖酷いんか、、」
「まぁ、そんな奴やもんな、、」
「ほえー、まぁ、あんま関わんない方がいっか」
「せやなー、、良い奴でもあるんやけどな」
「でもりうらそういう人あんま好きじゃない」
「そっか笑笑」
そんな他愛もない会話をする内にカラン、とドアを開ける音がした。