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「また、会おうね」
「お願いッ、行かないで……ッ!! 泣 」
俺の目に映った君は、
泣いていた。
目から涙が零れていた。
でも、
笑顔で、優しい笑顔で、
包み込まれるような笑顔で、
ただ、俺のことを見つめていた。
「ゆあんくんっ!」
「どしたのじゃぱぱ」
「新しいゲーム買ってもらったの! 」
「一緒にやろっ?」
「ん」
君は俺とは真反対で、
冷たかった。
でも、
俺たちはお互いのことを
1番よく知っていた。
毎日のように話しかける俺のことを嫌がる訳でも、嫌う訳でもなかった。
夏から秋へ、
季節が変わる頃。
俺たちはいつものように、
公園のベンチでゲームをして遊んでいた。
「じゃぱぱ」
「どうしたのー?」
「俺、」
「え?」
君は、うつむきながら、そう言っていた。
「旅行へ行くんだよね?」
「ちょっとすれば、また戻ってくるよね?」
俺が必死になって問いただすと、
一言も話さずに、うつむいたまま横に首を振った。
「なんで、なんで行っちゃうの?」
「もう遊べないんだよ?いいの?」
君はずっとうつむいたまま、何も反応しなかった。
「なんで…ッ 泣」
いつの間にか涙が零れて、
どこにもやるせない悲しみと怒りを
すべて詰め込んだ。
「いつ行っちゃうの…? 泣」
「…来月。」
「…そっ、か。」
俺はそれしか返せなかった。
君の方なんて、君の顔なんて見れなくて、
ずっと、ずっと下を向いて泣いた。
「いつかここに帰って来るよね…?」
泣きながら、震えた声でそう聞いた。
「ゆあんくん……ッ 泣」
君は何も返してくれなかった。
流石の俺も悟った。
“あぁ、帰ってこないんだな”
って。
この日、
当たり前だった日常が一気に崩れた気がした。