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翌日、幹部室。
私は扉の前で一度だけ深呼吸し、ノックした。
莉々「失礼します」
中には、昨日と同じ顔ぶれ。
マイキー、ココ、鶴蝶、灰谷兄弟。
全員の視線が、自然と私に集まる。
マ「結論は出たか」
一歩、前に出る。
背筋を伸ばし、真正面からマイキーを見る。
莉々「……条件があります」
コ「条件?」
莉々「過去には踏み込まないこと」
室内の空気がわずかに揺れた。
蘭「それ、無理じゃない?♡」
竜「普通は無理」
莉々「……それが無理なら、受けません」
マイキーは数秒考えたあと、口角を少し上げた。
マ「いい」
その即答に、全員が驚く。
コ「マイキー?」
マ「過去なんて、今を壊すだけだ」
マ「今のお前が必要だ。それだけで十分」
胸の奥が、わずかに熱くなる。
莉々「……では」
一瞬、言葉を区切り。
莉々「幹部昇格、受けます」
その瞬間、空気が一気に動いた。
蘭「まじで!?♡」
竜「決断早」
コ「……これで正式決定だな」
鶴蝶は、静かに一礼した。
鶴「これからよろしく頼む」
莉々「……こちらこそ」
マイキーが立ち上がり、全員を見渡す。
マ「今日から、佐藤莉々は幹部だ」
短く、しかし重い宣言。
その言葉が、この場所での立場を決定づけた。
会議後、廊下。
壁にもたれていた三途と目が合う。
三「……なったか」
莉々「……はい」
三「後悔すんなよ」
莉々「……そのつもりです」
三途は小さく舌打ちし、背を向けた。
三「……死ぬほど忙しくなるぞ」
莉々「……望むところです」
少しだけ、口元が緩んだ。
その夜、幹部用の執務室。
新しく用意されたデスクに腰を下ろし、資料を広げる。
仕事量は、明らかに増えていた。
それでも、不思議と苦ではない。
(……ここにいる)
(……私は、ここに居場所を作った)
ふと、窓に映る自分の顔を見る。
無表情。
だが、以前よりも、ほんの少しだけ柔らかい。
拳を握り、静かに息を吐く。
(……もう、逃げない)
(……私は、前に進む)
その覚悟だけは、揺るがなかった。