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ジーラブリーンはこの街から北にかなりの距離を歩いた先にある森、その中に存在するという小さな村だ。排他的な空気が漂うという噂もあったが怖がってもいられない。
「ひぃ……ひぃいぃい~~」
キレルは街を出て少し経った後見事なまでに後悔した。
整備されてない道は瓦礫や岩山に囲まれ、あちこちから温かい水が飛んでくるのだ。
「ふぅ……すっきりしたぜ……」
なにやら不穏なお言葉を漏らすお爺さん方が一瞬岩の上にいた気がするが無視して歩むキレル。気にしたら間違いなく宿屋に突撃することになるからだ。少ない金を無駄にはできない。今のご時世ハンターだけで生き抜くのはやはり大変だった。
「くそう。俺の頭が生暖かいぜ」
涙目で思考を取りやめファンタスティックな毎日を求めるキレル。彼は自分が汗っかきだと信じている。
「ジダオオオオオン!」
「っ!?」
野生の痔・エンド・モンスターが現れた。
「あれは……ティア5か」
ティア5の痔・エンド・モンスターは、人間サイズ程度のハムスターのような見た目をしている。もちろん尻が異常なほどに肥大化し血まみれなので、恐らくハムスターではないのだが。
「周りに誰もいねーしやるか! 我痔を宿し」
「ジダオオオオオン!」
「どんだけいるんだ!?」
なんと痔・エンド・モンスターは10体以上いた。ボクサーパンツを履いているタイプやビキニ姿の痔・エンド・モンスターもいる。まるでシェフの気まぐれサラダのような多様さだ。
「なら! 気高き痔の長よ尋ねゆく困難に高貴なる一時を!」
キレルは両手にフランスパンを召喚した。
「なに……?」
おかしい状況だ。フランスパンを召喚する能力など聞いたことがない。というよりこれはフランスパンを作るシェフ向け能力ではない。
「ジダオオオオオン!」
「やべっ!」
痔エクスバーストが発射された。キレルに向かってくるそれは、轟音を鳴らし岩を砕き道を抉り取る。マトモに喰らえば即敗血症エンドだ。
「まずいこれ以上血まみれには妖艶なる痔の精よ羽ばたき恩恵を攫え!」
バーストが当たる寸前、キレルのケツに美しい羽が展開し一気に空高く飛んだ。ほんのわずかでも遅れたら直撃していたが、何とか間に合ったようだ。
「クッソ」
空から見下ろすと、やはり異常な数いる。まるで痔・エンド・モンスターの巣に迷い込んだかのようだ。
「おかしい」
その後も飛んでくる痔エクスバーストをギリギリで避け続けながら、キレルは地図を見た。
「……わお」
書いてあった。囲って強調されていた。痔・エンド・モンスター多数出没につき要注意と。痔士団が近いうちに殲滅作戦を実行する予定のようだ。今日ではない。
「逃げるか」
フランスパンで痔・エンド・モンスターを倒すことは不可能。そして連中は多くが痔エクスバーストを使うタイプ。一人で勝つのは絶望といってもいいだろう。
キレルは何かやってるお爺さん方を無視してそのまま巣から離脱した。
小さな田舎町まで飛んでいったところで羽が消えキレルは池に落ちる。
「ぐあはふヴぇあ!?」
濾過されてない汚水池だった。口に入り込み慌てて吐き出す。
「おえぇぇぇッ!」
お腹いっぱいの人間から出る奇跡の品々も浮かんでおりキレルは急いで陸へ出た。
「おえ……、いっ! やっべケツもしみる……ッ!」
このままでは痔どころの話ではなく純粋に感染症になるだろう。急いで身体を洗わねばならない。お気に入りのコートはここでおさらばと覚悟すべき。
「どこか風呂入れる場所は……え、マジか」
見渡してみても、木々や巨大な葉などで作られた家々が並ぶのみ。時折見える住人は真っ裸で大事なところだけ隠した古代人スタイル。
「……諦めて別の」
「てめぇ金持ってんだろ寄越せ!」
「は? お、おいやめ」
キレルは10人以上のガキの軍隊に叩きのめされ裸になった。情けなのか血まみれのパンツだけは無事。
「おいマジかよ追剝ぎいるとか聞いてねぇよ!」
運が良いことに地図も残っていたので除くと、この村は旅人の私物を奪う野蛮の巣と書いてあった。こんなんばっかりである。
「……」
「警察だッ! 貴様を諸出罪で逮捕する!」
「は?」
なんと警察がいた。彼らはご立派な葉っぱを身に纏っている。テープでぶら下げてるとはいえ拳銃も持っているので逃げるのは容易ではないだろう。
キレルは大人しく対話することに決めた。
「俺より追剝ぎのガキどもを」
「ここでは追剝ぎは合法だが、服を脱ぐのは有罪なのだ」
「いや意味不明」
「パンツを履き替えれば見逃してやってもいい」
「どゆこと」
警察の一人が革袋から何か取り出そうとしている。
「我々警察はこのパンツを履いている者には痔の加護があると信じているのだ。決して貴様を逮捕して死刑にするのが面倒だから言っているわけでは無い」
「パンツ一丁なだけで死刑にされてたまるか」
「ならば履け。このパンツを」
「……? こ、これは……」
手渡されたそれは、眩い光を放つ聖神の如き黎パンツだった。間違っても邪神と呼んではいけない。