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後ろにいたまちこがモゾモゾと動きだす
しばらく同じ体勢だったから座り直すのだろう、と気に留めずにいたら、 突然左耳に痛みが走った
噛まれたのだと理解したのも束の間、ぬめりとした物体に耳のふちをなぞられる
「なっ…!」
制止をしようと上げた手は、手首ごと掴まれて意味を為さなかった
それではと身体ごと動こうとするのに、がっちりと抱えられていて逃げることができない
「はち、こっち向いて」
ひとしきり耳を弄ばれ、呼吸が乱れる
言う通りにするのは癪だけど、文句を言おうと振り向く
どうせデレデレとしているのだろうと思っていたのに、そこにあったのは正反対のそれ
瞳にゆらゆらと熱を携えた彼女に思わずどきりとする
ーああこれは…頬を引っ張っても止まらない
そう、いつもは流されてくれているだけ
頬を包む手は優しいのに、キスはさっきと全然違う
まるで噛みつかれているみたい
しばらく翻弄されていると、ようやく解放された
息を切らしながら目線を上げると、あの瞳に捕えられる
こんな時はどうやったって止まってはくれない
そして、ちょっとしつこい
でも少し強引な彼女も本当は好き
諦めと期待を込めて、お返しとばかりに唇に噛みついた