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並んで歩く帰り道。
足音だけが響いて、会話はなかった。
――このままじゃ、悠真さんが傷ついたままになってしまう。
咲はぎゅっと拳を握りしめ、勇気を出して口を開いた。
「……悠真さんは、素敵な人です」
不意に言葉が落ち、悠真が横を向く。
視線が合って、咲の心臓は跳ね上がった。
「恋愛って、時々楽しかったり、悲しかったり、嬉しかったり、辛かったり……いろんな感情が生まれて当たり前なんだと思います。だから……臆病になる必要なんて、ないんじゃないですか」
震える声だったけれど、真っすぐな思いは確かに伝わった。
悠真は一瞬言葉を失い、咲を見つめる。
その瞳に映る自分が、ただの“妹ちゃん”じゃないことを願わずにはいられなかった。