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街灯に照らされる帰り道。
悠真はしばらく黙ったまま歩いていた。
「……妹ちゃん」
低い声で名前を呼ばれただけで、咲の心臓は跳ね上がる。
「そういうこと……簡単に言うなよ」
いつもの柔らかい笑みではなく、少し困ったような顔。
咲は立ち止まりそうになる。
「だって……本当のことですから」
勇気を振り絞ってそう言った瞬間、悠真は視線を逸らした。
「……まったく。お前にそんなこと言われるとはな」
どこか照れたように髪をかきあげる仕草が、咲の胸に焼きついた。
――きっと今、この瞬間から。
何かが変わり始めている。