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ミヤシロは3方面を各国の国境線となるニュートラル山脈に囲まれている。何故この街が発展できたかと言うと、山に囲まれているおかげで他国から攻められにくい上に湿気が多いため、身なりを気にするお貴族様は街の管理をしたがらないからだ。そのおかげで街の住民から税が取られることもなく、もともと適していた環境だった果樹栽培を主職としている人が多い。収穫した果実を他の国や街と交易することでミヤシロは発展していった。なぜミヤシロというのかと言うと、まだ国同士が領土拡大を目的とした戦争をしていた頃、ミヤという貴族が敵からの攻撃を防ぐために一時的に作った籠城らしい。そこに盗賊や難民、異端者がなどが住み着くようになりいつしか街を形成したというわけだ。最初の建物を建てたミヤを崇め、ミヤシロと呼ばれるようになったらしい。もとは籠城用の城ということもあり山を越えるのも一苦労であったが、廃坑をもとに東南西に伸びるトンネル通路を作った。この街に入るには2つの関所を通らなければならない。1つは山のトンネルを通るための関所。もう1つは街に入るための関所だ。最初の関所は通行料のみで許可されるが街へ入るための関所には、身分証と通行証明書という2つの書類が必要になる。しかしその両方を所有していない場合は関所の係の者とともに役所へ行き難民届けを出し、本人の意志を確認した後にこの街の住民である証明になる身分証を発行されるという仕組みだ。住民になれば商売は自由にでき税金もない。もちろん他の国の連中に攻められることもなく安心して生活ができる。俺がこの街を選んだ3つ目の理由は役所に難民届けを出せば、リーニに安全な生活をおくらせられるからだ。なんで初対面の少女にここまでするのかは自分でもわからない。いや十分わかっていることへの照れ隠しなのかもしれない。そんなことを考えていたら関所のすぐ前まで来ていた。「2人とも起きろ?関所だぞ」「わかってるよ」「嘘つけ。リーニ?起きろ?」体を少し揺らすが全く起きる気配がない。「しょうがないからリーニは寝かせたままにしておこう」「大丈夫なのか?」「大丈夫だろ。それより通行料がいくらか聞いてきてくれ」「おうよ」シュリメルが関所の係に通行料を確認しに行ってくれている間、俺は書類の準備をしていた「通行料4金貨だってよ」「結構値上がりしたな。前は1か2金貨だったよ?」「そうなの?」「しかしこのトンネルは港や各方面の山を貫通しているから非常用通路や輸送経路にも使われる事が多いから、通行量が多くなったのかな?それなら住民から税を取らない分ここでとろうってことなのかね?」そんなことを話しながら金貨を4枚片手に関所に入った。「通行料は持っているな?」係の者が聞いてきた「はい、こちらが金貨4枚です」金貨を渡すと係の者は慎重に受け取り「本物だろうな?」「もちろんです。偽物の金貨でトンネルを通った不届き者でもいらしゃったのですか?」「あぁ。隣国で権力争いによる戦争が始まってな?その物資の補充や敵領土への軍事侵攻などを目的としてトンネルを通ろうとした。それ自体は大した問題じゃない。問題なのはやつらが偽金貨で何度もトンネルを不正利用したことだ。だから通行料を高くし払わなかったり偽金貨を出したものはその場で追い返すようにしているのだ」「そうでしたか」「ま、金にうるさい商人があんな事するとは思わんがね?さっ、通っていいぞ」「はい、では私どもはこれで失礼させていただきます」トンネルへ荷馬車をの進めながら俺は少し係の者の言葉が気になった。商人があんな事をという表現からはまるで商品をが偽金貨でトンネルを通過したかのように感じた。どちらにせよ隣国での戦争は金もうけにつながるかもしれない。情報を集めるに越したことは無いだろう。「どういうことだハヤセル?」「簡単に言うと隣国の戦争の為の物資の運搬とかの目的でトンネルが不正利用されたってこと」「不正利用?ってどういうこと?」「リーニ、起きてたの?」「隣国の戦争の話くらいからね」「そっか」「不正利用の為に使われた偽金貨?は全部回収されたと思う?」「俺的には全ては回収しきれず街に出回ってると思う」「俺も同じだと思う。だってさっきの言い方から1回や2回じゃないだろ?それまで気づかなかった分は全て役所に運ばれていくなら役所から先は一般市場に出回って、街の中で普通の金銭みたいにぐるぐる回ってるんじゃねぇか?」「そうなると外部からの商談はほぼ0になるね。もしかしたらこの取引した金貨は偽金貨なんじゃないかって。商談が行われるにせよ今までよりは確実に減るだろうね」「そうなって戦争にも巻き込まれたらたまったもんじゃないね」「戦争ってこっちまで来るの?」「戦争というか一方的な侵略の方が可能性が高いね。ミヤシロは鉱石資源と果樹栽培が有名だね。山に囲まれてるから鉄鉱脈とか金鉱山とかあるからトンネルの上には採掘場とかもあったと思うよ?」「それだけの資源があるなら他の国の貴族たちは戦争の飛び火だとか言って住民を皆殺しにでもすれば資源は全て手に入るってこと?」「今の話だけでよくそこまで分かったね。でもちょっと考えすぎかもね」そう、考えすぎだ。たまたま隣国が戦争を起こしたまたま戦争の移動経路としてトンネルを使うときにたまたま商人が使っていた偽金貨で支払いミヤシロの資源量に気がついた貴族が戦争と同じタイミングで攻めてくる…。正直に言うと全てが偶然であるとは考えられない。とにかく街にいる間は金銭のやり取りには十分気をつけなくてはならないがそう言っているだけでは商品は売れない。よそ者が首を突っ込んでもどうしょうもない問題もある。今回がそうだ。下手なことはせず小麦を売ったら早く移動しよう。そんな事を考えながら2つ目の関所も難なく通れた。ここでは先程のような話が出てこなかったので偽金貨の話が流通しないようにしているんだと思う。
関所を抜けるとそこはセレノア平野とは全く異なる文化が交わる別世界、まさに移民族街だ。山を削って作られたような通路のしたにはトウヒの森が広がり家や鍛冶屋が点々とあった。果樹園には霧がかかり桃などの果実の匂いが霧とともに辺りを包みこんでいた。山を降り森を抜けると建物が複雑に入り組んだ街に出た。