「どういうことだハヤセル?」「簡単に言うと隣国の戦争の為の物資の運搬とかの目的でトンネルが不正利用されたってこと」「不正利用?」「リーニ、起きてたの?」「隣国の戦争の話くらいからね」「そっか」「不正利用の為に使われた偽金貨?はどうなったと思う?」「俺的には全ては回収しきれず街に出回ってると思う」「俺も同じだと思う。だってさっきの言い方から1回や2回じゃないだろ?それまで気づかなかった分は全て役所に運ばれていくなら役所から先は一般市場に出回って街の中で普通の金銭みたいにぐるぐる回ってるんじゃねぇか?」「そうなると外部からの商談はほとんど0になるね。もしかしたらこの取引した金貨は偽金貨なんじゃないかって。商談が行われるにせよ今までよりは確実に減るだろうね」「そうなって戦争にも巻き込まれたらたまったもんじゃないね」「ミヤシロの特産品ってあるの?」「ミヤシロは鉱石資源と果樹栽培が有名だね。山に囲まれてるから鉄鉱脈とか金鉱山とかあるからトンネルの上には採掘場とかもあったと思うよ?」「それだけの資源があるなら他の国の貴族たちは戦争の飛び火だとか言って住民を皆殺しにでもすれば資源は全て手に入るってこと?」「今の話だけでよくそこまで分かったね。でもちょっと考えすぎかもね」そう、考えすぎだ。たまたま隣国が戦争を起こしたまたま戦争の移動経路としてトンネルを使うときにたまたま商人が使っていた偽金貨で支払いミヤシロの資源量に気がついた貴族が戦争と同じタイミングで攻めてくる…。正直に言うと全てが偶然であるとは考えられない。とにかく街にいる間は金銭のやり取りには十分気をつけなくてはならないがそう言っているだけでは商品は売れない。よそ者が首を突っ込んでもどうしょうもない問題もある。今回がそうだ。下手なことはせず小麦を売ったら早く移動しよう。そんな事を考えながら2つ目の関所も難なく通れた。ここでは先程のような話が出てこなかったので偽金貨の話が流通しないようにしているんだと思う「さて、俺はパン屋に小麦を売ってくるけど2人はどうする?」「俺は宿とってくる」「リーニは?一緒に来る?」「そうしよっかな?」「わかった。じゃシュリメル、宿頼んだぞ。宿が取れたら適当に買い物でもして待っててくれ。日没に広場の前の酒場でいいか?」「りょーかい。安心しろいいところ探してやるからよ!」そういうとすごく張り切った様子で宿をとりに行った「さて、俺たちも行こうか?」「うん、どこのパン屋さんに売りに行くの?」「広場の石像から見て左側をまっすぐ行った橋の下の店だよ」「石像?そうここミヤシロの成り立ちはミヤっていう人が籠城ように作った城を中心に発展していったから色んなところに当時の名残物があるんだよ。例えば火と獣が描かれた壺とかミヤもモチーフにした石像とかね?」「そうなんだ。ミヤは死んでも皆に感謝されてるってこと?」「多分ね」そんな会話をしながらパン屋の前につき店主のマルクに話をしに行った。「久しいなマルク!」「その声はハヤセルか!?」厨房から出て来たこの男こそ俺の今回の宛てであるマルク・リアキだ。もともと戦争で奴隷国家になった故郷から抜け出し難民になっているところをミヤシロに向かう途中に出会った。それからはミヤシロの一流パン屋として頑張ってきたらしい。「元気そうで何よりだよ」「何?ゼルディア来たの?」またまた厨房からでてきたのはマルクの恋人?嫁のサキ・コノアだ。こいつも訳ありらしいが詳しいことは知らない「コノアも久しぶり。相変わらずお熱いね」「ハヤセル?」「おぉっとすまん。お前こういうの苦手だったね」マルクはこう見えて結構奥手なのである「で?今日わざわざ会いに来た理由は?」「この小麦を買ってもらいたくてね」「小麦かぁ…いくら分だ?」「金貨1500枚分」「こりゃ随分持ってきたね。ちょうどいいタイミングで持ってきやがって…もうちょい早ければ安く買い取ったのにね。この時期は各国で戦争だ暗殺だのあってね外国とろくに貿易もできやしねぇ。商人たちは戦争にびびって全然来ないわで色々大変な時期にこれはねぇ」「そうか。ならそんなありがたい商人に金貨4000枚なんてどうだ?」「馬鹿言うな」「馬鹿じゃないさ。金貨500枚分の小麦で1つ辺り金貨2枚分のパンが2000個作れるはずだ。その計算で行くと、仮にお前が俺から全ての小麦を買い取った時お前は6000個のパンを金貨2枚で売れる。利益に換算すると金貨12000枚。仮に金貨4000枚って買ってもお前は金貨8000枚の得をする」「ん〜…わかった。その値段で買わせてくれ」「まいど」これで俺は-2000+3000=1000の利益。それから1500金貨分の小麦を買ったので-500金貨。それを4000金貨で売れたのでトータル3500金貨の利益がでた。これだけあれば次の街でもそれなりの売買ができる。マルクから4000金貨を受け取ってからも少し世間話をした後「じゃ!マルク、連れがいるから失礼するよ」「お前連れがいたのか?」「あぁ、お前の嫁が相手してくれているよ」そういうと俺は外で話しているリーニとコノアを指さした。「すげぇ仲良くなってるな」「わかる?うちのサキは誰にでも優しくてコミュ力も高いから…」「はいはい、嫁の自慢話は本人の前でしてあげな。その方がうれしいと思うよ」そういいながら店を出るとすぐにリーニに気付かれた。「終わった?」「終わったよ。待たせてごめんね。コノアも相手してもらって悪かったな。リーニ少し時間も余ったし服、買いに行くか?」そういうとリーニは小さく頷いた