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みぃ
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『誰も覚えていない夜』
「役職」
中央ホール。
モニターに表示された文字を見つめながら、35人は立ち尽くしていた。
【自分の役職を、他人に見せてはいけません。】
その一文だけが、頭から離れない。
ころん「……一回、自分の部屋に戻るしかないんだよね。」
さとみ「そうみたいだな。」
ジェル「役職って言われてもなぁ……。」
しゆん「人狼がいるってことは、誰かは確実に人狼なんだろ。」
ロゼ「……そうですね。」
ななもり。「まずは自分の役職を確認しよう。」
莉犬「うん。」
ななもり。「確認したら、またここに集まろう。」
るぅと「分かりました。」
ぷりっつ「じゃあ、一旦戻ります?」
ななもり。「そうしよう。」
35人は、それぞれの部屋へ戻っていく。
その顔には、まだ不安が残っていた。
ーー莉犬・ぷりっつ
部屋に戻ると、机の上に二台のスマートフォンが置かれていた。
ぷりっつ「……これ?」
莉犬「たぶん、そうだと思う。」
莉犬が自分のスマートフォンを手に取る。
画面には、ロックもかかっていない。
そこに表示されていたのは――
【あなたの役職】
莉犬「…………。」
ぷりっつ「……見ていいんですよね?」
莉犬「うん。自分のやつだけ。」
ぷりっつ「じゃあ……。」
二人は同時に画面を見る。
莉犬「…………。」
ぷりっつ「…………。」
しばらく、二人とも何も言わなかった。
ぷりっつ「……莉犬くん。」
莉犬「ん?」
ぷりっつ「役職……言わないほうがいいですよね。」
莉犬「うん。」
ぷりっつ「分かりました。」
莉犬「俺も、自分の役職は言わない。」
二人はスマートフォンを伏せる。
莉犬「……これ、本当に始まるんだね。」
ぷりっつ「……はい。」
ーーるぅと・てると・メルト
るぅと「……役職、確認しましょう。」
てると「はい……。」
メルト「……。」
三人がそれぞれスマートフォンを手に取る。
てると「…………。」
るぅと「……。」
メルト「…………。」
てると「……みんなには言わないほうがいいんですよね。」
るぅと「そうですね。」
メルト「役職は、自分だけのものですから。」
てると「……なんか怖い。」
るぅと「大丈夫ですよ。」
てると「るぅとくん……。」
るぅと「少なくとも、今は三人で一緒にいます。」
メルト「……そうですね。」
三人は顔を見合わせる。
しかし。
それぞれが見た役職は――
誰にも分からない。
ーーころん・ゆた
ころん「……役職、何だった?」
ゆた「ころんさん、それ言って大丈夫なんですか?」
ころん「あ。」
ゆた「……。」
ころん「……危な。」
ゆた「僕も言わないです。」
ころん「うん。」
二人はスマートフォンを見る。
ころん「…………。」
ゆた「…………。」
ころん「……これ、絶対誰にも言っちゃダメだね。」
ゆた「はい。」
ころん「じゃあ、戻ろう。」
ゆた「分かりました。」
ーーさとみ・みかさ
みかさ「……。」
さとみ「確認したか?」
みかさ「……はい。」
さとみ「じゃあ、戻るか。」
みかさ「はい。」
さとみ「役職については……聞かないほうがいいな。」
みかさ「……そうですね。」
二人はそれ以上何も聞かなかった。
ーージェル・はりま
はりま「……ジェルくん。」
ジェル「ん?」
はりま「役職……。」
ジェル「言わんほうがええ。」
はりま「ですよね。」
ジェル「誰が敵か分からんからな。」
はりま「……はい。」
ジェルはスマートフォンの画面を見つめる。
その表情が、一瞬だけ変わった。
はりま「……ジェルくん?」
ジェル「ん? なんもないで。」
はりま「そうですか……。」
ーーななもり・つきしろやしろ
つきしろやしろ「……確認しました。」
ななもり。「うん。」
つきしろやしろ「ななもり。さんは?」
ななもり。「俺も確認したよ。」
つきしろやしろ「……。」
ななもり。「でも、今はお互いに言わないほうがいいね。」
つきしろやしろ「分かりました。」
ななもり。「みんなも待ってるだろうし、戻ろう。」
つきしろやしろ「はい。」
ーーばぁう・ロゼ
ロゼ「……確認しました。」
ばぁう「俺もだ。」
ロゼ「役職は……。」
ばぁう「言わなくていい。」
ロゼ「はい。」
ばぁう「このゲーム、誰を信用すればいいのか分からないからな。」
ロゼ「……そうですね。」
ーーしゆん・たちばな
たちばな「師匠、確認しましたか?」
しゆん「した。」
たちばな「僕もです。」
しゆん「……役職は言うなよ。」
たちばな「分かっています。」
しゆん「じゃ、戻るか。」
たちばな「はい。」
ーータケヤキ翔・パルオ
パルオ「翔さん、確認しました。」
タケヤキ翔「俺も。」
パルオ「……。」
タケヤキ翔「どうした?」
パルオ「いや……本当に人狼ゲームなんだなって。」
タケヤキ翔「まあな。」
パルオ「怖くないですか?」
タケヤキ翔「怖いで。」
パルオ「……ですよね。」
タケヤキ翔「でも、みんなで考えるしかないやろ。」
パルオ「はい。」
ーーまぜ太・らいと
まぜ太「……。」
らいと「まぜ太?」
まぜ太「ん?」
らいと「顔、怖い。」
まぜ太「お前もだろ。」
らいと「……。」
まぜ太「まあ、役職は秘密な。」
らいと「分かってる。」
まぜ太「戻るぞ。」
らいと「うん。」
ーーちぐさ・らお
ちぐさ「……。」
らお「ちぐ?」
ちぐさ「……見た。」
らお「俺も。」
ちぐさ「……。」
らお「言わなくていい。」
ちぐさ「うん。」
らお「それより……。」
ちぐさ「?」
らお「怖かったら、俺の近くにいろよ。」
ちぐさ「……うん。」
ちぐさは小さく笑った。
ちぐさ「ありがとう、らお。」
らお「いいって。」
ーーあっと・にしき
あっと「確認したか?」
にしき「はい。」
あっと「俺もした。」
にしき「……役職は?」
あっと「秘密。」
にしき「そうですね。」
あっと「じゃあ戻ろう。」
にしき「はい。」
ーーけちゃ・だいきり
けちゃ「だいき!」
だいきり「はい。」
けちゃ「見た?」
だいきり「見ました。」
けちゃ「何だった?」
だいきり「秘密です。」
けちゃ「えー!」
だいきり「ルールですから。」
けちゃ「……分かった。」
だいきり「じゃあ戻りましょう。」
けちゃ「うん!」
ーー心音・あっきぃ
心音「……。」
あっきぃ「……。」
二人ともスマートフォンを見つめていた。
あっきぃ「……お前、何だった?」
心音「言うわけないだろ。」
あっきぃ「だよな。」
心音「そっちも言わなくていい。」
あっきぃ「分かってる。」
心音「……じゃあ、戻るか。」
あっきぃ「ああ。」
ーーやなと・まひろまる
やなと「確認した?」
まひろまる「うん。」
やなと「じゃあ、戻ろう。」
まひろまる「……ねえ。」
やなと「ん?」
まひろまる「これ……本当に大丈夫なのかな。」
やなと「分からない。」
まひろまる「……。」
やなと「でも、みんなでいれば大丈夫だよ。」
まひろまる「……うん。」
ーーおさでい・そあら
そあら「……でい。」
おさでい「ん?」
そあら「確認した。」
おさでい「俺も。」
そあら「……役職、言わない?」
おさでい「言わない。」
そあら「うん。」
おさでい「戻ろうか。」
そあら「うん。」
ーーものくろ・Lapis
Lapis「……確認した。」
ものくろ「僕も確認しました。」
Lapis「言わないほうがいいよね。」
ものくろ「はい。」
Lapis「じゃあ、戻ろう。」
ものくろ「分かりました。」
――中央ホール
一人、また一人と戻ってくる。
莉犬「みんな戻ってきたね。」
るぅと「そうですね。」
さとみ「35人いるか?」
ばぁう「確認するか。」
一人ずつ周囲を見回す。
莉犬
るぅと
ころん
ちぐさ
けちゃ
てると
みかさ
メルト
らお
ゆた
やなと
そあら
パルオ
あっきぃ
まぜ太
ぷりっつ
ばぁう
タケヤキ翔
らいと
心音
おさでい
だいきり
ものくろ
さとみ
ジェル
あっと
しゆん
Lapis
ロゼ
にしき
たちばな
はりま
まひろまる
つきしろやしろ
全員いる。
ななもり。「……よし。」
ぷりっつ「役職、みんな確認しました?」
ジェル「俺は確認したで。」
しゆん「俺も。」
ころん「僕も。」
莉犬「俺も。」
るぅと「僕もです。」
それぞれが頷く。
しかし――
誰も、自分の役職を口にしない。
それが、このゲームの最初のルールだった。
ななもり。「じゃあ、次は……。」
モニターが点灯する。
全員「……!」
『第一回・昼の話し合いを開始します。』
ころん「昼の話し合い?」
『制限時間はーー』
画面に数字が表示される。
【03:00:00】
るぅと「……3時間?」
ロゼ「長いですね。」
しゆん「それだけ話し合えってことだろ。」
心音「……。」
まぜ太「いや。」
まぜ太が画面を見る。
まぜ太「分かることはある。」
らいと「何?」
まぜ太「この中に、人狼がいる。」
――沈黙。
ちぐさ「…………。」
らお「……。」
みかさ「…………。」
ころん「……。」
てると「…………。」
はりま「……。」
だいきり「…………。」
にしき「……。」
あっと「…………。」
ジェル「……。」
そあら「…………。」
しゆん「……。」
11人の表情が、ほんの一瞬だけ揺れた。
しかし――
誰も、それには気づかなかった。
ななもり。「まずは、ルールを整理しよう。」
さとみ「そうだな。」
ななもり。「人狼は、夜に誰か一人を襲撃する。」
莉犬「そして、昼にみんなで話し合う。」
ロゼ「その中から、人狼だと思う人に投票する。」
ものくろ「そして、最も票を集めた人が脱落する……。」
けちゃ「……。」
てると「脱落……。」
空気が重くなる。
ななもり。「……まだ、何も起きてない。」
ななもり。「だからこそ、今のうちにできるだけ情報を集めよう。」
おさでい「情報……。」
心音「役職は言えない。」
ばぁう「なら、行動や発言から見るしかない。」
ロゼ「そうですね。」
しゆん「……。」
ころん「でも、初日じゃ何も分からなくない?」
あっきぃ「だから話すんですよ。」
ころん「……まあ、それはそうだけど。」
ぷりっつ「とりあえず、全員の様子を見るしかないですね。」
莉犬「うん。」
るぅと「……。」
そのとき。
モニターに新しい文字が表示された。
『なおーー』
全員が画面を見る。
『このゲームでは、役職を偽っても構いません。』
ジェル「……なるほどな。」
ロゼ「嘘をついてもいい。」
しゆん「最初から疑心暗鬼にさせるつもりか。」
ななもり。「……そういうことだね。」
『あなたの隣にいる人物が、仲間とは限りません。』
――カチッ。
時計の針が動く。
【02:59:59】
【02:59:58】
【02:59:57】
本当のゲームが始まった。
35人の視線が、互いに交差する。
仲間なのか。
敵なのか。
それとも――
ただの市民なのか。
まだ、誰にも分からない。
ただ一つ確かなこと。
この35人の中には――
6人の人狼がいる。
そして。
その6人の中には、
このゲームを始めた“誰か”がいる。
――第2話「役職」終わり。
コメント
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話の作り方天才すぎです! 次回も楽しみにしています