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『パラレル』― One Way ―

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『パラレル』― One Way ―

21 - 第21話 56 ◇   57 ◇     58 ◇

2025年01月03日

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56.☑

夫が単身赴任してから1年後~8年後 ④


結婚して1年が過ぎたある夜のこと。



怖い夢でも見たのだろう、美誠が突然私たちの行為の最中に

寝室に泣きながら入ってきた。


「お、おかあさん、ウェーンウエーンおかあ……さんっ」


薫はどうだったんだろう?

私は身体が火照り始めなかなかいい感じになってきていた

時のことだった。


薫はすぐに側にあった肌掛けを自分たちの体が隠れるように

かけてくれた。


そして美誠を抱き上げて私の横に滑り込ませてくれた。


薫はそっと下着を拾うとそっと一旦部屋の外に出て

すぐに戻ってきた。



私も美誠をあやしながら寝巻きを着た。


「どうしたの、美誠?

怖い夢でも見た?」



「ふぇーン、ウエーンエッエッ」

首を横に振りながらお母さんと寝るぅ、と美誠が言う。



「じゃぁ今夜はお母さんの隣は美誠だね。

ミマ、おやすみぃ~」

そう言って薫は美誠が寝られるだけのスペースを開けて

端に寄ってくれた。


薫が慌てずいつもの調子で美誠に接してくれたので

私もなんだか安心してその夜は美誠をやさしく撫でながら

知らない間に眠ってしまった。




翌朝、薫が囁いてきた。


「由宇子ちゃん、僕ら貴重な体験したね」


「昨夜のこと?」


「もう少し後だったら俺泣いちゃってたよ?

さながら修行僧の心境だったわ、ははっ」



「まさに、そだね。

ごめんね」



「ごめんねはいらないよ?

続きは今夜どうかな」



「うん、賛成!」



そんな朝の会話からまた今日という一日が始まった。




もう少し時間がずれてたら泣いちゃってたよ……の

薫の言葉になんかうれしくなった私って……。



世界中のレスの皆さん、ごめんなさいっていう感じ?



57.☑

元夫が帰還したその後で ①



所謂面会っていうヤツなんだけど、元夫と子供たちを合わせる時

今の夫に子供たちを連れて行ってもらい、迎えに行くのも今の夫に頼み

一切私は関わらないようにした。


何度目かの時に薫に聞かれた。


「どうして由宇子ちゃんは一緒に行かないの?」


「世界中で薫のことが一番好きだからよ」


「好きだからって……うん?

どうして僕と一緒に行かないの?」


「私が一緒に付いて行って元夫と会うようになって

また元夫を好きになって薫と別れて元夫のところに行ってしまっても

薫はいいの? 悲しくならない?」



「なぁに言ってんのさ。

嫌に決まってるだろ。


やめて欲しい、由宇子ちゃん。

そんなこと言うの」



「でも私が一緒に付いて行くっていうことはそういう芽を

育てる可能性がないとは言い切れないってことに繋がるの。

だから、私は行かないほうがいいのよ」




「そっか、分かった。

由宇子ちゃんが僕と別れることになったら困るからね。

面会の時は僕だけで子供たち連れて行くね」


ごめんね、薫。

心配性で。



99%こんなこと有り得ないとは分かっているけれど、嫌いで

別れた元夫ひとじゃない。

そして1mmもゴタゴタの火種は作りたくないの。

薫の側で今が幸せだから。



先の見えないあやふやな移ろい易い人の気持ちなどで

折角手にしている幸せをこの手から取りこぼしたくない。



この先も薫と私との二人三脚で幸せな人生を送りたいから

極力この先の人生で元夫との接触は避けていこうと決めている。



58.☑

元夫が帰還したその後で ②



子供たちとの面会の日、俺は元妻の従姉弟でもあり、今の元妻の

夫でもある薫くんからとんでもないことを聞かされた。



「君と由宇子は従姉弟同士で子供の頃から親しかったと思うけど

いつ頃から由宇子のこと、好きだったんだい?」



「昔からです。ずっと由宇子ちゃんが好きで僕、中学の時に

高校生だった由宇子ちゃんに告白してたんです」


「へぇ~、へぇ~、そりゃまたえらい大昔から由宇子のことが

好きだったんだぁ」



「由宇子ちゃんとは、映画を見に連れて行ってもらったり……

そうだ、図書館へも一緒に行ったなぁ。

あっ、僕らよくお互いの家族同士で旅行にも行ってましたよ。

由宇子ちゃんとはよく遊んでもらったなぁ~。


僕の母親がね、由宇子ちゃんに薫のことお願いねって言うのが

僕が子供の頃からの口癖でした。

よく由宇子ちゃんに言ってたから今でもよく覚えてますよ。


だから由布子ちゃんが大倉さんと結婚するって決まった時

僕も母もガクってきて、一日中元気出ませんでした。


だけど由宇子ちゃんが大倉さんと別れたので僕と母とで

由宇子ちゃんに猛アタックして結婚してもらったんですよ。

あっ、大倉さんごめんなさい。こんなこと話して」



「いやぁ~、その……どうやって由宇子を口説いたの?」



「口説いた?」



「え~っと、どういうふうにプロポーズして結婚したのか知りたくて」



「うちの母親が最強でした。

こう聞いたんです」


こんなふうに……



「由宇子ちゃん、離婚したと聞いたけど、この先又誰かとの

再婚は考えてるの?」



「いいえ、この先誰とも結婚しません」



「なら、うちの薫を貰ってくれない?

小さい時から薫を可愛がってくれてる由宇子ちゃんなら安心して

任せられるから、どーかどーか一生のお願いよ由宇子ちゃん。

形だけの夫でもいいのよ、弟扱いでも子供扱いでも何でもいいの。

薫と家族になってやってほしいの。

ただの同居人でもよいから」

『パラレル』― One Way ―

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