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MAKO
あくねこ世界に行かなかったif
🌸は🌼を抱えて当てもなく彷徨っていた。
旦那からの暴力に耐えかねてアパートを飛び出したは良いものの、行く宛も無ければ頼れる人もいない。
このまま野垂れ死ぬしかないのかも、と泣きそうになりながら歩いていた。
気がつくと実家近くの公園まで来ていた。
懐かしさからブランコに座って🌼をあやす。
すっかり日が暮れても行くところがないのに変わりなく、また神社で夜を明かそうかと考えていると男性に声を掛けられた。
「君、1人・・・ではないか、その子と2人だけかい?」
🌸『えっと・・・はい・・・』
「その・・・変なことを聞いてしまうんだけど、良いかな?」
🌸『?はい』
「もしかして・・・実家に兄がいない?」
🌸『え・・・?』
「いや、ごめん、何でもない・・・」
🌸『・・・居ます、私と違って優秀な兄が・・・』
「!・・・もしかして、もしかしてだけど、君・・・🌸?」
🌸『!!・・・お兄ちゃん?なの?』
驚いて立ち上がり青年を見ると、確かに兄の面影があった。
「よかった!!母さんに追い出されてから帰ってこなくて心配してたんだ!」
🌸『・・・』
「・・・そうだよな、俺がこんな事言ったって・・・
でも、今はもう家を出て一人暮らしをしてるんだ。お前さえ良ければ・・・家に来ないか?行くところがないんだろう?」
🌸『!・・・いいの?』
「ああ、勿論だよ。さ、行こう」
🌸は兄に案内されてマンションの一室に入った。
「少し狭いとは思うけど、ここの部屋を使っていいよ」
🌸『ありがとう・・・でも、ホントに良いの?』
「?なにが?」
🌸『邪魔にならない?』
「気にしなくていい、今まで俺がしてきたことの罪滅ぼしだ・・・」
🌸『そう、なんだ・・・』
「ああ。・・・だから、遠慮なんてするなよ」
そう言って兄はとりあえず風呂に入れと脱衣所に🌸を押し込んだ。
🌸は久しぶりにゆっくりと湯に浸かり、疲れを癒すことができた。
少しだけ持ってきた服を着てリビングに向かうと、兄は🌼を抱きながらパソコンで調べ物をしていた。
「ん、上がったか・・・赤ん坊に必要そうなものを探してたんだけど、何が要るかな?
ミルク、哺乳瓶、おむつ、着替え、タオル、あとすぐ買えるもので必要なのあるかな?
ベッドとベビーカーは注文するしかないから時間かかっちゃうけど」
🌸『・・・どうしてそこまで?』
「・・・俺は母さんに全て作られた・・・だからせめて母さんが思いもしない事をしたいっていう、ただの反抗心かも知れないな・・・」
🌸『・・・お兄ちゃんはお母さんに作られてないよ、私に何もしなかったもん』
「そう、だな・・・何もしてやれなくてごめんな・・・」
🌸『ううん、そうじゃなくて・・・怒鳴ったり物を投げたりしなかったじゃない』
「それは・・・」
🌸『お母さんに作られてないよ、お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ』
「・・・ありがとうな」
兄はひっそりと涙を流していた。
それから2人で幸せに暮らしましたとさ。
黒魔術とかを使って会えるようになったif
※兄が儀式で死んでないif
🌸の様子が気になった兄はチビ悪魔を召喚して🌸の様子を見てきてほしいと願った。
〔あるじさまのこと〜?〕
「あ、主様・・・?」
そこでチビ悪魔から🌸が悪魔執事の主であり、執事たちと幸せに暮らしていることを聞かされた。
「そうか・・・幸せに暮らしているならそれでいいんだ・・・」
兄は寂しそうに笑って言った。
〔あいたくないの〜?〕
「会いたいよ・・・でも、会わせる顔なんて無いし・・・」
〔・・・〕
〔・・・っていってたの〜!〕
🌸『えっ、お兄ちゃんが・・・!?』
🌸はチビ悪魔が急にいなくなったかと思えばそんな事を言い出したので大変驚いた。
🌸は兄への思い入れは殆どなく言われるまで忘れていたほどだったが、本当に兄がチビ悪魔を召喚してまで🌸の事を気にかけていてくれるとすれば、会いたいと思った。
🌸『お兄ちゃんに会うにはどうしたらいいの?』
🌸はチビ悪魔に兄との連絡を取ることができる魔術を教わった。
鏡の前で🌸は儀式に必要なモノを並べていた。
ミヤジに用意してもらった蝋燭達、フェネスやナックに協力してもらって書き上げた魔法陣、供物の代わりの干し肉・・・
夜中の鐘が鳴り響くと呪文を唱え始める。
🌸『我、この陣に供物を捧げ願いを叶えん・・・兄に会わせて下さい!』
🌸が呪文を唱え終わると鏡が光を放ち、色々な物が歪んで映った。
光が収まると、びっくりした顔の兄が鏡に映っていた。
🌸『・・・!お兄ちゃん!?』
「🌸!?どうして・・・」
鏡の横で見守っていたチビ悪魔達が鏡に映り込み、兄に手を振ったりすると兄は納得したように頷いた。
「なるほど・・・お前達が繋いでくれたんだな・・・」
🌸『・・・?そうなんだ?』
🌸はよく分からない、とチビ悪魔を見るがチビ悪魔はニコニコと笑って抱きついてくるばかりで説明をしてくれなかった。
🌸『え〜っと・・・お兄ちゃん、元気?』
「あ、あぁ・・・元気だ・・・今は家を出て一人暮らししてる・・・
お前はどうだ?悪魔執事?の主をしてるんだろう?大変じゃないか?」
🌸『ううん、皆とっても親切で優しいから毎日楽しいよ!
🌼・・・あ、私の娘なんだけど、🌼にもすごく良くしてくれてね・・・』
「・・・娘・・・?」
🌸『?うん、娘』
「・・・相手は誰だ?そこにいるのか・・・?」
🌸『え!?違うよ!家出した時に泊めてくれた人の子で・・・』
「なんだと!?お前、そんな危険なことして・・・!?」
🌸『だ、だって・・・家に居たほうが危なかったし・・・』
「うん・・・すまん、そうだったな・・・」
兄は実家での🌸の状況を思い出し、家出したことは悪くないと言った。
「しかし・・・まさか変な男に引っかかって孕まされてるとは思わん・・・」
🌸『うぅ・・・』
散々執事たちにも言われたことなので耳にタコができる気分だ。
執事たちは男に声を掛けられたらすぐに子連れであることと、近くの執事と恋人だと言って逃げるようにと口酸っぱく言われている。
「お前、絶対に声かけられても付いて行くなよ?」
🌸『分かってるよ・・・』
兄は常識人っぽいが、過保護になってしまっていた。
その後も何度か鏡ごしに会話をして、元の世界がどうなっているか、こちらの世界と🌼の様子はどうか、などの情報交換を行うのだった。
コメント
1件
ああ、番外編だったんですね…! 本編では描かれなかった兄との再会、どちらのifも胸にくるものがありました。特に“兄は兄だよ”と伝えるシーン、あの静かな涙にじんわりきました。兄の「会わせる顔がない」って言葉も、彼なりの後悔と愛情がにじんでて…読めてよかったです。MAKOさん、素敵な補完話をありがとうございます🌷