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「あっ、ミコ&リコのご当地グッズもありますね」
「ほんとだな」
お店の一角がご当地キャラのコーナーになっていて、その中にミコ&リコのラインナップもあった。
「ああっ! これかわいい! ミコとリコが頭に手ぬぐい乗せてます!」
温泉に浸かってる風で頭に手ぬぐいを乗せ、気持ち良さげに目を閉じて寄り添っているペアのぬいぐるみに目が吸い寄せられたのだけれど……。
どうやら私ったら、気になるあまりだいぶ大きな声を上げてたみたいで、周りにいたお客さんたちにクスクスと笑われる羽目になった。
「……あ、す、すいません……恥ずかしいですよね……」
うなだれて小さく呟くと、「何がだ?」と、傍らのチーフから聞き返された。
「だって、私が大声を出したんで、みんなに注目されてしまって……」
「ああ、そんなことか」
矢代チーフは、そうこともなげに言うと、
「嫌なことで注目されたのではないし、君が可愛いから周りの目を集めたんだろう。なら、いいじゃないか。それよりも僕は、君の可愛さがたくさんの人に知られたことに、嫉妬を感じそうだ」
私に、ふっと優しく笑って見せた。
途端に恥ずかしさから一変して、照れで頬が赤くなってくる。
「なぁ嫉妬の代償に、このぬいぐるみを買わせてくれないか?」
「いえ、そんな、もったいないです! それに嫉妬してもらうのなんて、嬉しいくらいですから……」
首をぶんぶんと振って、恐縮して返す。
「嬉しいのなら、よけいに買わないとな。君にもっと喜んでもらうためにも」
そう言って、お店の棚からぬいぐるみを手に取るチーフを、急いで止める。
「買ってもらうのなんて悪いですし、こんなにかわいいの持ってるの、照れくさいですから……」
うつむいてぼそぼそと口にする私の頭に、ぽんと彼の手の平が乗せられる。
「君へプレゼントさせてほしい。それにこれを君が持っていたら、相乗効果でより可愛いさが倍増するだろ?」
そんなことを茶目っ気たっぷりに言われて、「あ、あの……ありがとうございます」と、耳まで赤くして応えると、
「今日の記念に贈りたいんだ。君との初めての旅行の記念に……」
そんな一言がふっと囁きかけられて、耳どころか顔から湯気でも出るんじゃないかと思うくらいに真っ赤になったのは、言うまでもなかった……。