テラーノベル
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__深夜1時、パソコンを立ち上げる。
二年前から、もう何千回やったかわからないこの作業は。
今日も、“僕”と“君”の心を躍らせる。
私は場面緘黙症だった。
それに加えて、吃音症。
学校では全くものが言えないし、家でもどもってしまって上手く喋れない。
簡単に言えば、喋るのが下手くそなのだ。
…だけど。
パソコンの前では、吃驚するほど上手く喋れる。歌うように言葉が出てきて、ヘッドホンのマイクに滑り込んでゆく。
そしてその言葉達は、どこか遠く、ひょっとすると近くで。
“僕”のラジオ配信を聴いている“君”の。
ヘッドホンに届く。
その感覚が堪らなく好きだから、僕は今日もパソコンを立ち上げる。
『あー、…うん、聴こえてるかな?じゃあ今日も始めるよ。』
『__君と僕だけの[今日]を。』
コメント
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良き!