中也「はぁ、はぁ、はぁ」
中也「くそッキリがねぇ」
中也「倒しても倒してもどんどん湧いてきやがる…」
中也「いっその事、汚辱使っちまうか?」
太宰「汚辱は使わないで戦え」
中也『…あの顔はガチの時の顔だ』
中也「…くそったれッ!」
一気に数十人を地面に埋める。
それでも辺りは敵だらけ。
体術使いの中也でも流石にきつかった。
敵の中には銃を使う者も、ナイフを使う者も丸腰で襲いかかってくる奴も居た。
ナイフを使っていた敵に気を取られ過ぎて背後の敵に気付かなかった。
敵「しねぇぇぇぇ!」
中也「やべッ」
バンッ
遠くから銃声がした。
その銃弾は目の前の敵の脳天を貫いた。
自分よりも身長が高く、赤色の長い美しい髪が視界に入る。
中也「あ、姐さんッ」
紅葉「大丈夫かえ?中也」
中也「大丈夫です、ですが敵の数が多過ぎます。危険ですので此処は俺が_」
紅葉「中也、何をそんなに焦っている?」
中也「えッ?」
紅葉「焦っている時の顔をしておる」
中也「…..」
紅葉「此処は任せておけ」
中也「…すいませんッ」
中也『太宰ッ』
太宰が元々居た処へ全力で向かう。
目的地に近づく度に痛々しい叫び声が段々と大きくなっていく。
嫌な予感がして大声で名前を叫んだ。
中也「太宰ッ!」
中也「ッ」
其処には両手の甲にナイフが刺さって固定されていて片目が血だらけで所々にナイフで刺された痕がある太宰が居た。
太宰「…..」
ボス「やっと来たか」
中也「…手前がやったのか」
ボス「その通りだ」
中也「目的は何だ」
ボス「私達は、否、私は唯、双黒が苦しんでいる姿が見たいんだよ!」
中也「…は?」
ボス「言葉では無く、実際に見た方がわかりやすいか」
そう言うと太宰の血の出ていない方の目をナイフで突き刺した。
太宰「あ”ぁ”ッ」
痛々しい声と共に腰が仰け反る。
中也「ッ」
ボス「その顔だよ!痛みに苦しみ歪む顔、絶望を目の前にし焦る顔!その顔が見たかったッ!」
中也『あの目は…多分もう使えねぇ』
太宰「ッ….ふッ」
ボス「さぁ中原中也、君はどんな顔を見せてくれるんだい?」
中也「…ぶち殺してやる」
greatのボスは大して強くなかった。中也の体術により数分で片付いた。
中也は我に返り太宰の元へ駆け寄る。
中也「太宰ッ」
太宰「…..」
既に気絶していた。
紅葉「中也ッ」
中也「姐さんッ太宰が!」
紅葉「ッ医療班!応急処置を!」
簡潔に言うと太宰の状態は良くなかった。潰された両目、ナイフの切り傷、ナイフに貫通した両手、どれも重症だった。
首領も複雑な顔をしていた。
その顔は、もう【両目が使えない事】を意味していた。
その数日後、太宰が目覚めた。
太宰「…ん」
中也「太宰ッ!」
太宰「…ここ何処?」
中也「医療室だよ」
太宰「…ねぇ」
中也「何だ」
太宰「今部屋って真っ暗?」
中也「ッ」
太宰「…答えてよ」
中也「…..」
答えられなかった。
言っていいのかわからなかった。
どう伝えたら良いのかわからなかった。
だって太宰の声が震えているから。
彼奴には似合わない声で聞いてくるから。
良いタイミングで首領が来た。
森「調子はどうだい?」
太宰「…良くないです」
森「…そうかい」
太宰「ねぇ、森さん」
森「何だい?」
太宰「部屋って真っ暗?」
森「…..」
太宰「中也、答えてくれないんだ」
森「…太宰くん」
森「君の目はもう、使えないんだよ」
太宰「…えッ?」
森「両目ともナイフで眼球が貫通していて此処へ運び込まれた時にはもう手遅れだったんだ。本当にすまない」
太宰「…嘘ですよねッ?」
森「…..」
太宰「ッ」
顔を見なくてもわかる。
太宰は今、絶望してる。
中也「…..」
俺は何も言えなかった。
絶望している彼奴に。
掛ける言葉が見つからなかった。
紅葉「太宰は大丈夫かえッ!?」
中也「一命は取り留めました」
紅葉「…そうかえ」
中也「でも、」
中也「両目が失明です」
紅葉「嘘じゃろッ!?」
紅葉「鴎外殿、どうなっておるッ!?」
紅葉「太宰が失明じゃと!?」
紅葉「何とかせいッ!」
森「…全力は尽くしたんだけど、間に合わなかったのだよ」
紅葉「太宰はこれからどうやって生きるのじゃッ!?両目が失明してどうやって任務をする!?」
森「…それはこれから対策を練るよ」
太宰とはあの会話以降、喋っていない。
俺にはそんな勇気が無い。
何て言葉を掛けたら良いのか、
どう接していけば良いのか、
俺にはわからなかった。
姐さんも首領も太宰の対策を練るのに
苦労していてた。
太宰は未だ
部屋から一歩も出ていないそうだ。
そして今、
俺は彼奴の病室の前に立っている。
いつもなら暴言を吐きながら入っていけるはずの病室が今は入る事すら出来ない。
我ながら情けないと思う。
部屋のドアを開けようとしたその時、
部屋の中からものすごい音が聞こえた。
咄嗟にドアを開ける。
中也「どうしたッ!?」
其処にはベットの上から落ちたであろう太宰の姿があった。
太宰「中也、居たの」
中也「居たの、じゃねぇよ!」
中也「何してんだ!」
太宰「歩く練習だよ」
中也「ッ」
太宰「目が見えないから働く以前に自分で歩けないのだよ」
そう言うと太宰はベットの上に座って俺の方を向いた。
中也「そう、か」
太宰「…中也」
太宰「君が何をそんなに僕に対して気を遣っているか、僕にはわからないけどせめて普通に会話してくれない?」
中也「…悪かった」
太宰「いつもみたいに吠えてごらんよぉ」
太宰「…調子が狂う」
中也「…..」
太宰「何をそんなに気を遣っているんだい?僕が今、目が見えないから?それとも僕が落ち込んでるから?」
中也「…..」
太宰「そうだとしたら要らない気遣いだよ。僕は君が思っているより落ち込んでいないし、絶望もしていない」
中也「…じゃあ、あの時の手前の声は一体何なんだよ」
中也「手前に似合わねぇ声出しやがって」
太宰「何の事?」
中也「お前が首領から宣告された時だよ」
太宰「…そんなに変だった?」
中也「…声が震えてた」
太宰「…そっか」
太宰「…僕はそれなりに、混乱していたのだろうか。声が震える程に」
中也「…普通誰でも混乱するだろ、あんな事急に言われたら」
太宰「…そうか」
太宰「まぁ、明日からは普通に部屋に入ってきてよ。要らない気遣いは逆に不快だ」
中也「そうか」
中也「なぁ、太宰」
太宰「何だい?」
中也「手前、これからどうすんだ」
中也「目が見えねぇと色々不便だろ」
太宰「取り敢えずは、自分でしっかり歩けるようにするよ。自分で歩けないと何もできないからね」
太宰「歩けるようになったら仕事かなぁ」
太宰「できるかわからないけど」
太宰「まぁその前に森さんがどんな決断を下すのか僕にはわからないけどね」
中也「そうか、」
太宰「ねぇ、中也」
中也「何だ?」
太宰「両目が見えなくなった僕でもこれからも【相棒】でいてくれるかい?」
中也「…ッたりめぇだろ」
太宰「なら良かった」
中也「ッ」
そう言った彼奴の顔は
今まで見た中でも一番安心したような
嬉しそうな顔だった。
思わず、泣いてしまいそうな程、
穏やかで柔らかい笑顔だった。
どうでしたか??
なんかただ太宰さんが苦しんでるだけの物語だね、これ。
あとこれ見てください!
累計60000突破致しました!
本当にありがとうございます!!
これからも頑張るので
暖かく見守っていただけると幸いです!
沢山のコメント・❤️お待ちしています!
次回は❤️1000で投稿します!
では、また次回!
コメント
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部屋って真っ暗?らへんから画面滲んでました
泣いたよ!!!!!!だがこれで喜んでるうち性癖が...