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「ふぁーあ……」
カーテンの隙間から射し込む光の眩しさで目を覚ました私は、大きな欠伸と伸びをしながら身体を起こす。
(あれ? 私いつの間にベッドに移動したんだっけ?)
昨夜の記憶が曖昧で、あまり覚えがない。
昨日、あれから御飯を作って尚と食事して、先にシャワーを済ませて寝る準備を整えていた時、お風呂に入る為にウィッグを取った尚の姿を目の当たりにして、改めて尚が異性だと認識した。
そのせいか、彼氏でもない男の人の前でそう簡単に眠るのもどうかと思い、少し離れてソファーに座ってテレビを観て起きていた……ところまでは覚えているのだけど、それからどうしたのか全く覚えてない。
(結局ソファーで寝ちゃって……尚が、ベッドまで運んでくれたのかな?)
それを考えるとちょっと恥ずかしい気もする。
だって、堂々と寝顔を晒してしまったのだから。
「まぁいいや、それより、今日は天気も良いから掃除と洗濯しちゃおっと」
ベッドから降りてカーテンを開けた私は部屋から出てキッチンへと向かう。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してコップに注いでいる途中、ふとリビングの方に目をやると、少し小さめのソファーの上で身体を縮こまらせた尚が眠っていた。
(何だか窮屈そう……)
とは言え、生憎我が家にはお客様用の布団はないからソファーで我慢してもらったのだけど、少し申し訳なく思ってしまう。
(けどまあ、仕方無いよね。でも、やっぱり布団、買った方がいいのかな?)
そんな事を思いながらミネラルウォーターを一気に飲み干すと、私は溜めてしまった数日分の洗濯物に取り掛かった。
洗濯機を回し、洗面台や浴室、トイレの掃除をササッと済ませると、タイミング良く洗濯が終わったので洗濯物を干していく。
全て干し終えるとちょうどお腹の虫も騒ぎ出した。
「そろそろお昼か……ご飯、何にしよう」
一人ならば適当に済ませるところだけど、一応尚も居るので何かしら作らないとならない。
「あー、これといった物、買い置いてないや……」
ストック棚や冷蔵庫を確認するも、大した食材がないので買い出しから始めなくてはならない事に少々面倒臭さを感じていると、
「夏子~腹減った……」
ようやく目を覚ました尚が、挨拶をする訳でもなく開口一番にそう言った。
「あのさ、起きて一番にそれってどうなの?」
「あ?」
「おはようくらい言いなさいよね」
「へいへい、おはよー」
私に指摘され、さも面倒そうに返事をしながら挨拶をする尚。
「もうすぐお昼だけど、何か食べたい物ある?」
「何でもいいの?」
「まぁ、常識の範囲内なら。ただ、材料がないから買い物に行かないとならないのよね」
面倒ではあるけど、どうせ買い物に行かなくてはならないので、そのついでに尚のリクエストを聞いてあげよう思い何が食べたいか聞いてみる。
「それだったら、どこかショッピングモールにでも行こうぜ」
「ショッピングモール?」
「俺、布団が欲しい。ソファー狭すぎて身体痛ぇし」
「ああ、やっぱりね……」
「飯もそこで食えば良くね?」
「……まぁ、尚がそれでいいなら私は別に構わないけど」
外食は楽だし嬉しいけど、尚は呑気にショッピングモールになんて行ってもいいのだろうか。ニュースになるくらいの有名人で、しかも行方をくらませているというのに。
「じゃあ準備するか」
「……そうだね」
私の心配をよそに、何故か嬉しそうな尚は鼻歌混じりに洗面所へと向かって行った。