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準備を済ませてマンションを出た私たちは電車に揺られる事、約三十分。
駅に着いてそこから約五分程歩いた場所にある隣町のショッピングモールへ辿り着くや否や、尚のテンションは妙に高かった。
「なぁなぁ、どこから見る?」
「うーんそうだね、まずは尚が欲しがってる布団から?」
当初の目的でもある布団を見る事を提案するも尚は、
「えーそんなモン後でいいじゃんか、荷物になるし。それより、服見ようぜ!」
なんて言い出した。
そもそも尚が布団を買いたいと言ったらからショッピングモールへ買い物に来たはずなのに。
(……まぁいいけどさ)
荷物になるのは納得だし、あまりにも楽しそうな尚を見ていたら、これ以上水を差すような事を言うのは悪い気がして、
「そうだね、私も服が見たいから色々とお店見て回ろうか」
尚の意見に同調し、お互いの行きたいショップを順番に見て回ることに――とはいえ、尚は男だけど今は女装している訳で、私が見たくて立ち寄ったショップでは女の私を差し置いて尚の方が店員さんに声を掛けまくられ、様々な服を勧められている光景を目の当たりにする。
(私には声掛けないのに、男の尚には声掛けるってどういう事?)
仕方が無いとはいえ、そんな不満に思ったり。
そして、尚の希望でメンズ服のショップに立ち寄った際は、男物の服を試着しまくる尚は物凄く不審がられていたけど、尚本人は全く気にしていないようなので私も特に気にする事なく買い物を楽しむ尚に付き合っていた。
「結構買ったな~。やっぱショッピングは楽しいぜ」
ひと通りショップを見終えた私たちは、フードコートで軽く腹ごしらえをしながら休む事に。
「結構混んでるね」
「土曜日の夕方だし仕方ねぇな」
「そうだね。あ、私が何か買ってくるから尚はここに座って待ってて」
荷物もあるし、そこそこ混んでいるから二人で買いに行くより一人がまとめて買いに行く方が効率がいいと思って尚に座っててもらうように頼んだのだけど、
「いいよ、俺が買ってくるから夏子が座って待ってろ」
「え、あ……」
空いている席に荷物を置いた尚は私を残し、売り場の方へ歩いて行ってしまったのだ。
尚の言葉に甘え、席に座った私は頬杖をついてボーッと待っていると、
「ねぇねぇ、お姉さん一人?」
高校生くらいの男の子数人が話し掛けてきた。
(これって……俗に言うナンパ!?)
普段こんな経験が無い私は高校生相手にも関わらず少し嬉しく思ってしまう。
「実はさ、コイツがお姉さんに一目惚れしちゃったみたいで、連絡先とか教えてもらえないかなって思って」
と、気弱そうな子を指差してチャラそうな男の子二人が私との距離を詰めてくる。
一目惚れ……まあ、悪い気はしないけれど、流石に高校生はちょっと困る。
「……そういうの、困ります」
子供相手だしここは大人の余裕を見せようと冷静に対応していくけれど、男の子たちは諦める事なく食い下がってくる。
「せめて名前だけでも――」
意外にもしつこいので、これは優しくしてるとつけ上がる系だと判断した私が少し強気に出ようと口を開き掛けた次の瞬間、
「お前ら、俺の連れに何の用だ?」
買ってきた食べ物と飲み物をテーブルに置いた尚は、私と男の子たちの間に入る形で視界を遮ってきた。