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若井 side …
目が覚めると、薄暗い見知らぬ場所にいた。
「……ッ゛、ぁ゛あッ…」
頭が割れるように痛い。なんだか立ちくらみのような感覚もする。
…さっき涼ちゃんにやられたからだ。
元貴の待つマンションの前まで行ったところだった。突然後ろから走ってくるような足音が聞こえ、振り返ろうとした瞬間、涼ちゃんに勢いよく鉄製の何かで頭を殴られた。そこからほとんど記憶は無い。
「…どこだよッ、……」
声が響いて聞こえる気がした。これは今いる場所の影響なのか、それとも頭を殴られた影響なのか。ゆっくりと体を動かそうとしたその時だった。
「…あれッ、?」
手足が動かない。
「ッ、!い゛ッ、!」
自身の体を見ようと首を動かすと、再び頭が割れるように痛む。なんだよこれ。
その時だった。コツコツと人の足音がした。
「起きた?」
聞きなれた優しい声。涼ちゃんだ。
「……涼ちゃんッ、なにこれ、何のつもりッ、?」
涼ちゃんの姿を見たその時。違和感が残った。涼ちゃんは明らかに今日、俺が着ていた服を着ていたのだった。
「…どうして俺の服着てんのッ、?」
そう問いかけると、涼ちゃんは、ふはっ、と小さく笑ってから話した。
「あー、そっか!首を動かすと痛くて自分の体なんか見れないのか、!笑」
涼ちゃんはズカズカとこちらへと距離を詰めてくる。次の瞬間、俺の頭を掴み勢いよく下を向かせた。
「ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ゛!!??」
首から体全体にものすごい電流が走るような、感じたことのない激痛が全身にいきわたる。
「ほら、見える?今若井は俺の服着てんの。流石に裸じゃ寒いかなーって笑」
「はあ゛ッ、はあ゛ッ、!?」
視界に広がるのは涼ちゃんが着ていたチェックの服の一部分。
「はあ゛ッ、……なにがッ、したいんだよッ、!」
「若井には分からないよ、だって幸せでしょ?」
涼ちゃんの声が頭上から聞こえる。顔を上げることが出来ないから涼ちゃんの表情は分からないが、声色から込められた小さな怒りとよく分からない”どす黒い感情”が伝わってきた。
「若井と元貴、幸せそうでずるいよ」
「……は、?」
もしかして、俺と元貴の関係が気づかれている?そんな考えはすぐに一致へと繋がった。
「僕、見ちゃったんだよね。2人が大きなマンションの前でキスしてるとこ。だからさ、僕もう怒っちゃったからさ、若井になろうと思って!」
「…は、?何言ってんだよッ、いい加減にしろって゛ッ、!!」
涼ちゃんはこちらには振り返らず、コツコツと足音を響かせ、暗い闇の方へと消えていこうとした。
「元貴に何するつもりなんだよ゛ッ、!!お゛いッ、!!!」
「最後まで恋人の心配をするんだね」
涼ちゃんは最後にそれだけ呟き、姿を消した。
いい流れですね…🖤
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コメント
6件
初コメ失礼します! どんどん涼ちゃんが狂っていってるのが最高に好きです!
次はもっくん視点か涼ちゃん視点かな...?どんどん不穏になって来ますね🥲
言っちゃダメだけど若井が叫んだりしてんの刺さるんだよね💕︎