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#らんこさ
ゆっち
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ある日、上司に言い渡された
「…出張?」
「そう、社長の息子がやってる会社なんだけど人が少なくなってきて困ってると」
次の会議の時の為に作った書類をコピーしている時に呼ばれ、また理不尽な事で怒られる覚悟をしていた俺は パソコンを打ち込みながら器用に詳細を話す上司を目の前に、話をされた内容に呆気に取られていた。
「息子さんも大変だってのに新しいプロジェクトを始めるんだと社長が自慢げに言っててな。阿呆かよって思うよな」
「あ、あはは…考えるよりも行動なとこ、似てますもんね笑」
何とか適当な相槌をしとけば、上司は少し上機嫌になるのは数年働いてて知った。
「んで、その息子さんがいるまが考えたやつを見て一緒にやりたいんだとよ」
「…は?」
「だから急遽、明後日から3ヶ月は出張に行かせる」
「え、あ、明後日!?3ヶ月!?」
「大丈夫、社長が交通費とホテル宿泊代は賄うって言ってたから。今やってる仕事も他の奴らに押し付けとけ」
そういう問題じゃねぇだろ…
てか、自分でやってくれよ…
なんて、喉から出そうな言えない本音を飲み込んで、代わりに強制的に選択肢が1つしかない答えを口から出した。
最近入ってきた新人に罪悪感を感じながら今やってる仕事の説明と途中までやった仕事を教え、家に帰ったらスーツケースを取り出して必要最低限の物を詰め込んでいく。嫌々ながらも、 初めての出張に少しだけ楽しみな自分もいた。
「はぁっ…っし…!」
自分に気合いを入れて3ヶ月間留守にする自分の城の扉を開けた。
前日に買っておいた切符を改札に入れて修学旅行以来の久しぶりの新幹線に足を踏み入れる。修学旅行の新幹線は、なつと朝コンビニで買ったお菓子を食べては、先生に秘密で持ってきたゲームをやり込んでいたっけ。そんで結局バレて怒られたんだ笑
そんな数年前の記憶を思い出しながら、朝買ったコーヒーとサンドイッチを食べ、上司に報告と書類作成にパソコンを打ち込んで時間を潰す。
疲れて窓の外を見てみれば、ビルばかりが建てられてる都会から少しずつ緑と田んぼばかりの田舎へと移り変わっていた。
「今日から3ヶ月間、このプロジェクトの手伝いをさせてもらう紫崎いるま君だ」
「よろしくお願いいたします」
まるで新人の時を思い出させるような挨拶をし、頭を下げた。 数人しか手を叩かれなかったあの時とは違い、ここはみんな拍手しながら笑顔を向けてくれている。それは偽りの笑顔でしかない事だと社会に腐れてしまった俺は感じていた。
「じゃあ、いるま君は準備が終わったら俺のとこに来てくれ」
「分かりました」
自分の席へと行き、持ってきたパソコンと、この後会社内でやるミーティング用に作った書類を鞄から出す。
隣から目線を感じて、見てみればこの会社の上司がこちらを見ている。初日から何か変な事をしてるかと不安に駆られると、俺の顔を見ては笑ってくれた。
「頑張ろうな、いるま君!」
「ぁ、はいっ…!」
何故かその言葉に、俺は緊張で張っていた糸が切れたように肩からの力が抜けた気がした。
それから数日にして、俺が考えてた企画は全てではないが社長に気にいられ半分は通ってくれた。
そして俺が発案者として、勿論たくさんの仕事が振ってきては一つ一つ取り組む会社と変わらない毎日を送っていた。
「いるま君、頑張り屋だねぇ」
俺が仕事中に社長がやって来ると俺のデスクの端っこに缶コーヒーを置いた。
「え」
「頑張るのはいいけど、やり過ぎは良くないからな?」
「ぁ、ありがとう、ございます…」
「そういえば、会社のみんなと飲みに行こうかと話してるんだけど、いるま君も来る?」
優しい対応と一緒にご飯の誘いも話されては驚いてしまった。上司は気に入った奴らだけを誘い、俺は残業を任せられたものだった。
「…すみません。お気持ちだけ、受け取りますね笑」
「そうかい、行きたかったら何時でも言いな笑」
社長が去った後にさっさと途中の仕事を終わらせる。
うちの会社の酷さを知ってしまったからなのか、ここの会社は全体的に優しく、雰囲気が良い。けれど、俺は この後想像以上の仕打ちをされるかと会社の人たちの優しさが逆に少し怖く思い、逆に働きずらいと感じていた。
あらかた仕事を終えてパソコンを閉じ、スマホだけポケットにしまって席を立った。
「お昼買ってきます」
「おお、気をつけてな?」
昼休憩を取ってる上司に言って、そそくさと部屋から出る。ずっと室内にいた匂いに慣れてた鼻が、外の空気を吸い込む。都会の濁った匂いと違い、自然ばかりの田舎は空気は気持ち良く頭がすっきりする。
休憩がてら散歩しながらコンビニまで歩き、おにぎりと冷やし蕎麦を購入する。コンビニから出ると近くに公園を見つけ、その方向に足を踏み入れた。
「ぐすっ、ぅ……」
「え?」
急に聞こえてきた泣き声に思わず肩を跳ねた。その声がする方へと歩くと、2つ結びのおさげの女の子が泣いていた。ピンクの可愛らしい服を見る感じ保育園児だとわかる。だが、周りを見渡しても先生らしき人はいない。
「こんなとこで1人でどうした?」
「あ…」(ビクッ
声をかけると分かりやすくびっくりした表情をする女の子。そりゃあ知らない人に声かけられたらびっくりするわな、と心に留めておく。
泣きやもうと必死に目を擦るその子を見ながら、もう1回周りを見てみるも誰もいない。1つしかない選択肢をその子に投げかけてみる
「あ、迷子になっちゃった?」
「!ぅ、うん…」
だよなぁ、と思っていると寂しくなったのかまた目が潤み初めてしまい、俺は思わずその子の頭を撫でてあげる。
「そっかそっか、ひとまず公園で泣きやもっか」
そう言うと、顔をあげて俺を見てくれた。
その子の顔はどこか俺の顔にそっくりな気がしてしまった。
その子をベンチに座らせ、俺が買ったコンビニ飯も置いておく。涙は止まったもののまだ不安気が残るその子のために、近くにあった自販機に小銭を入れてオレンジジュースを押した。
出てきたペットボトルの蓋を開けてあげて、その子の目の前に持ってきてやる。
「ほら、飲んで元気出せ?」
「…でも、知らない人からもらっちゃダメって、ママに言われた…」
そう言っときながらジュースは大好きなのか目を輝かせつつ、お母さんの約束を守ろうと我慢するこの子の愛おしさに笑ってしまった。
「じゃあ俺が飲んでいい?」
「ぇう…」
「ははっ笑、たまには破ってみてもいいんじゃねぇか?」
悪魔の囁きみたいな言葉に負けてしまったのか、その子はペットボトルを手に取ってちびちびと飲み始めた。 その横に俺も座って、コンビニで買ったおにぎりの封を開ける。
「どうして迷子になったん?」
おにぎりを頬張りながらその子から話を聞くと、ペットボトルを口から離して小さな声で話し始めた。
「…せんせーに、おこられたから逃げちゃった…」
「へぇ、なにかしちゃったんだ?」
「だって、りんちゃんがママのわるぐち言ってたんだもん。」
「あんれま」
りんちゃん、なんて名前は知らないけれど、きっと友達からお母さんを馬鹿にされたのだろう。優しくて勇敢なとこがあるこの子にまた愛おしさを感じさせる。
この子を守りたい思いが芽生えてしまった。
「…俺もね、大人に怒られてばっかりだよ」
「?そうなの?」
「あぁ、毎日毎日怒られてる笑」
少し悲しげな黄色い瞳には疲れた顔をした俺が写っている。こうやってちゃんと正面から見てみても俺に似ていて、まるで自分に言ってるかのように思えて可笑しく感じてきた。
「こわくないの?」
「そりゃあ怖いわ。でもな、人はそうやって成長していくんよ」
「せいちょう?」
「そ、大人になってくための大切なこと。悪口を言われて怒るのも、迷子になってみるのも全部、大人になるための大事なこと」
「お、とな…」
「おう、だから君がやった事は悪い事じゃなくて成長するための大切なことだからな?」
こんな社畜の言葉なんて信じない方がいいのに、不安気に俺に向けていた瞳は星のようにキラキラと輝かせながらこっちを見ていた。
「じゃあ、ねねはもうおとなってこと!?」
「まだ大人じゃねぇな笑、でも強くなればかっこいいお姉ちゃんになれるぞ?」
「かっこいいおねえちゃん…!!✨️」
分かりやすく嬉しそうな顔をしているこの子。迷子になり怖くて泣いていた顔はいつの間にか天使のような可愛らしい笑顔で笑っていた。
「はやくおねえちゃんになって、ママにほめられたいな」
この子の口から吐き出されるママという単語に、どれだけお母さんが好きなのかが伝わってくる。
「お母さんのこと、大好きなんだな?」
「!うん、ねねとあそんでくれて、やさしくて、オムライスがおいしくて!」
さっきからしれっとこの子は自分の名前を言ってるもんだから少し心配になる。
ねねって言うんだ。可愛い名前。
「そっか、良い親を持ってるんだな」
そう言った途端、その子の顔が少しだけ曇ってしまった。なにか失言をしてしまったかと少し漁った時、その子の口が開いた。
「ねねね、お父さんがいないんだ」
「え?」
「ねねのママはね、おとこのこなの」
「っ…お、とこ…?」
「だからね、おともだちにママはおかまって言われて、ねね、おこってどろんこなげちゃった」
「…そッ、ぅなんだ……」
この子の母親は男だと聞いた瞬間に脳裏に出てきた、ずっと探している俺の好きな人。
この子の持つ黄色い瞳が俺と一緒の色で
その子の横顔がどこか、離れる前に苦しそうな顔をしてたなつに似ている気がした。
まさか、な…?___
なんて自分に言い聞かせながらも、有り得てしまういきなりの衝撃に早まった鼓動が抑えきれなくなってしまった。
もし、この子になつの事を話したら、
この子の母親と同じ名前だと言われてしまったら、
「っ、その事を、ママに言ってみな?」
「おこられない、かな…?」
「怒らん怒らん笑、嬉しくて泣いてくれんじゃね?」
「む…泣いてるママは、いやかも」
早く、めっちゃくちゃなつに会いたいのに、本能的にまだ会う時じゃないって思ってしまった。この子の口から出した言葉も、その人がなつだとまだ決まった訳でもない。
もし俺の考えが予想通りだったとしても、いきなり現れたらこの子を連れて逃げられるに決まってる。
「っ…そろそろ、帰ろっか?」
「!ぅ、うん」
まだ弁当は食べ終わってないけれど、先にこの子を帰らす方が良い。残りのジュースを飲んでるねねを横目に、残ってる一口もつけてない蕎麦を袋に入れて持ち手を軽く結んで左手に持つ。
「保育園の名前は分かる?」
「えっと、んっと、……ふたば、?」
ざっと周りを見てみると、保育園らしきカラフルな建物が視界に見えた。曲がり角を曲がってまっすぐ行けば着く近い距離で少し安心する。
「見っけたから行こっか?」
また迷子になられたら困るため手を差し出してみると、躊躇せず俺の差し出した手に小さな暖かい手を乗せてくれた。軽く握って歩幅を合わせてあげながら一緒に歩いてく。
「んふふ、ママとあるいてるみたぁい」
「!そっか」
5分もしないうちに着いた保育園には先生が忙しそうにしてる姿がある。きっとこの子を探してるんだろう。
「…俺はここまでだから、1人で入りなね?」
「きて、くれないの?」
「俺はお仕事があるから行けねぇのよ笑」
「…まだ、おにいさんとおはなししたい」
可愛らしいわがままに仕事の疲れが少しずつ溶けていき、心が暖かくなる。そんなことを言われてしまったら、聞きたくなってしまう。
「俺、お昼にあこの公園にいるな?」
「!うんっ!」
「あ、抜け出すなんて悪い子だな〜笑」
「んへへっ」(ニコニコ
柔らかい頬をツンと軽く押すとまた天使みたいに笑ってくれる。 すっかり俺みたいな不良にさせてしまったけれど、たまには子供でも約束を守らないではっちゃけるやり方を教えるのも大切だろ。
親に擦り付けるのは良くねぇけど、
きっとなつだって、同じ考えだろう笑
「ねぇねぇ、おにいさんのおなまえは?」
「!……..」
「…いるま、って覚えておいて」
「いるま、くん」
「そう、……俺は知らない人だから先生にも、絶対にお母さんにも内緒だぞ?」
「!うんっ!」
自分で言ってて、少しだけ胸が苦しくなった。
ずっと座る作業をしていたからか、腰と背中が痛くなり身体を伸ばす。時計を見ればお昼前になっていたがお腹は減らず。
椅子から立ち上がってキッチンに行き、水を沸かしてる最中にインスタントのコーヒーを用意しておく。スマホで仕事内容を確認をすれば、特に急ぎの仕事はなくなっていた。
娘の迎えに行くまであと4時間は何をしていようかと、1人で悩んでいると電話が鳴った。
どうせよく来る電気修理についての分からん電話だと思いながらも、電話番号を確認してみると保育園からの電話だった。
今までなかった電話に少し驚きながら受信機を取った。
「っ、はい、」
『あ!なつさん!』
受信機から聞こえる先生の声が焦りを混じっていて、さらに俺の心は曇ってくる。
『実は、ねねちゃんがお友達の洋服を汚してしまって…』
先生から話された言葉をひとつひとつ働かない頭に詰め込んでいくが、最後の先生から放たれた言葉が心に重くのしかかった。
『ねねちゃん、保育園の外まで逃げ出してしまって…!』
逃げ出してしまった
その言葉を聞いた瞬間に、俺は先生と電話をしていたのにも関わらず勢い良く受信機を戻しては、財布と鍵だけを持って走って家から出た。
「っ、ねねッ!」
いつも保育園まで行く道や遊んだ公園を見回りながら探してもねねの姿はない。
ちゃんと1人で外に出ない事は守っていたあの子が破る訳がないと思っていた自分を甘く見てしまった。 一応知らない人には着いてかないのは耳煩く言っておいたから大丈夫だと思いたい。
「ねねッ、ねねッ…!!」
不安に駆られて涙が出そうになっている時には保育園に着いてしまった。道中ねねの姿がなく、家から逆の街の方に行ってしまったかとまた焦りが出てしまう。
園児を中に誘導してる1人の先生が俺の存在に気づいて、こっちに向かって来た。
「ねねちゃんのお母様ですか!」
「っ、ねねはッ…!」
「それがまだ…」
見つかってないことにまた焦りが出てきてしまう。ここまで見つからないなら警察に連絡した方がいいと、先生達の中で判断している最中だった。
すると 「あ、」と女の人の声が聞こえ振り返ると、俺の事を化現そうに見てる若い女の人と、足元でひくつきながら服が真っ黒で汚れてしまってる女の子が立っていた。
「っ、うちの娘が申し訳ないです…」
「…でも、娘さん逃げだしちゃったんでしょ?」
女の人から放たれた言葉に胸が深く刺さる。それでも親なのに泣いてしまったら、負けると思いなんとかこらえる。
「子供の足ですし、そこまで遠くには行ってないはずでしょ?」
「っ!でもッ、…自分の娘がそうなったら、心配しないんですか…?」
他人事みたいに言う女の人に腹が立ち、怒りそうになるも自分の中で制御させる。
「だって、うちの子はしないですもん」
そう言って笑ってる女の人を見て無意識に身体が固まってしまった。
まるで、俺の教育は間違っていると言われてるみたいで。
「___っママ!」
今度は聞き慣れた可愛らしい声が聞こえて、顔を向けると、あの子が1人で立っていた。
「ッねねっ!!」
固まった身体があの子の声で溶かされ飛び出すようにあの子の元に走り、転びそうになりながらもあの子の身体を抱きしめた。
「っねね、どこに行ってたん…!?」
「ゔ、ゔぅ…」(ポロポロ
怒りたい気持ちもありつつ、俺より迷子になっていたこの子が1番心配になってたと思うと怒れない気持ちがどんどん勝っていく。
「っ…痛いとことか、ない?」
「!、ッうん…」(ポロポロ
「はぁッ…良かった……」
無事なことが分かったならそれで良い。あったかい体温が伝わり、焦りに塗れてた心は少しずつ安心感に浸っていく。 そばに駆け寄っていた先生達も安心して見守ってくれてる。
「ちょっと、まだ解決していないじゃない」
女性の声に安心した心はまた緊張感を持ち始めた。もう1回謝っても女性のイラつきは治まらないでいる。
「ねねちゃん、なんでこんな事したの?」
全員の視線がねねの方へ向けられる。俺の後ろに隠れるように立つねねは、言いたげな顔をしているけれど口を開けたまま、また泣きそうな顔で俯いてしまった。
そうだよな。どんな理由でもみんなから疑われるなんて、怖いに決まってる。
それは、俺が1番よく分かってる。
俺はねねの方に振り返ってしゃがみこみ、目線を合わせてみる。俯いたまま何も喋らないこの子の両手を握ってあげた。
「ねね?今、目の前にいるのは誰?」
「…?ママ…」
「そう、ママしかいないから教えて貰ってもいい?」
「…ママがかなしくなっちゃう…」
「大丈夫、ねねがいなくなっちゃう事以外、なんて事ないよ?」
他の視線を隠すように、ねねをまっすぐ見てあげる。すると、涙を零しながらも口を開けてくれた。
「…あのねっ、りんちゃんたちがね、」
「うん」
「ッママがおとこのこだって、からかってきてねッ、」(ポロポロ
「っ、うん」
「それでねッ、ママはおかまだって、言ってきてね、」(ポロポロ
「…うん」
「あとね、ッおとうさんもいないのは、おかしいってッ、いわれたぁ…」(ポロポロ
「そっか、ありがとな?教えてくれて」
俺の肩に顔を寄せてはグズグズ泣き始めてしまい、その小さな背中を撫でてあげる。 あまりにものグロデスクな内容に先生たちが向けるねねの視線が変わった。
女の人の方を見れば、罰が悪そうに顔をひくつかせている。聞いた感じだと、保護者の話を聞いたその子はねねに好奇心で言ってみたのだろう。
「…りんちゃん、本当なの?」
「っだって!ママが言ってたんだもん!」
「ちょっと、りん!」
「…全部お母さんの入れ知恵だってことか」
子供じみた理由で喧嘩をしたのならまだしも、他の家庭の家族関係を馬鹿にし、事の発端が保護者が子供の前で何となく話した内容なら話が変わってくる。
先生達は頭を悩ませる中、俺は言いたくなかっただろう話を頑張って話してくれたねねを撫で続けた。
あの後、長い話し合いをして結局お互いに悪かったと謝って終わった。汚してしまった服もクリーニング代は支払わずに済まされた。
仕事も終わり、ねねをこのまま保育園にいさせてもまた何かあったら可哀想だと思ってしまった俺はそのまま連れて帰ることにした。
離さないように手を繋ぎながら歩いてても、ねねは黙り込んでいる。帰り道を歩いてれば楽しそうに外の世界を見回っているのに。
「……ママぁ…」
「!どうした?」
「…ごめんなさい…」
か細く揺れた声に思わず歩いてた足を止めてしまう。握ってる小さな手がギュッと力んでいた。
「…ねね、ママね、嬉しいんよ」
「うれしい?」
「うん、ママの事守ってくれたじゃん」
子供に守られるなんて、どうかしてる。普通親が守ってあげなきゃなのに。そういうとこも、アイツに似てしまったんだろうか。
だから、こんな年頃の子が親の事で1人で抱え込まなくていい。 本当に謝らないでいい。
あの時、 1人でこの子を育てると決めて、この子に傷をつけてしまったのは俺だから。
俺が、全部悪かったから、
「ママこそ、ごめんね?」
本当に、ごめんなさい。
「!ッううん!ママもわるくない!!」
「!ありがとっ」
少しずつ元気を取り戻してきたねねに安心してまた手を握った。
「頑張ったねねの為に、お菓子買って帰ろうか?」
「!」
「オムライスの材料も買うから1個までな?」
「…!うんっ!」
夕飯の楽しみを抱えながら、2人でスーパーへと足を進めた。
「………あー…」
「…やっぱり、なつだよなぁ…」
外での仕事帰り中に見つけてしまったさっきまで話をした女の子と、
___俺の大好きな人
「…まだ、分からん方が楽だったのに…笑」
2人に見つからないように路地に隠れては、久しぶりに会えた愛おしい人の姿に、胸を締め付けられながら俺はしゃがみこんだ。
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