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白い廊下はどこまでも続いていた。同じ壁、同じ照明、同じ床。歩けば歩くほど、自分たちが同じ場所をぐるぐる回っているのではないかと錯覚する。
🇰🇵「……出口なんて、ないんじゃねぇのか」
北朝鮮が苛立ちを隠さず吐き捨てた。
🇨🇳「黙るアル」
中国がきつく睨む。
🇨🇳「声を荒げれば、それこそ隙を晒すだけアル」
🇰🇵「はい……」
北朝鮮の声は震えていた。必死に虚勢を張っても、恐怖を抑えきれていない。
ロシアがふと立ち止まった。
🇷🇺「……匂いだ」
全員が息を止める。
ロシアの言う通り、どこからかかすかな金属の匂いが漂ってきた。鉄錆のような、血のような匂い。
🇨🇳「……こっちアル」
中国が先頭に立ち、廊下を曲がる。
そこにあったのは、無人の小部屋だった。
だが床には黒ずんだ染みが広がり、乾いた血の臭いが充満していた。
🇰🇵「っ……」
北朝鮮が顔を覆う。
🇰🇵「これ……誰か、もう……」
🇫🇷「さぁね」
フランスが軽く肩をすくめる。
🇫🇷「でも、わかるでしょ? ここは“そういう場所”なんだよ」
軽口のはずなのに、今自分達が置かれている状況では冗談に聞こえなかった。
***
探索は続く。
だが五人の間に漂う空気は、次第に重くなっていった。
イギリスとフランスが、ほんの少し離れた場所を並んで歩いている。
フランスが低い声で囁いた。
「……ねぇ、イギリス。もしさ……僕に裏切られたらどうする?」
イギリスは視線を前に向けたまま、即答した。
🇬🇧「殺します」
淡々とした声音に、フランスは目を瞬かせ、それから笑った。
🇫🇷「……あは、冷たいなぁ」
だがその笑いは、どこか安堵を滲ませていた。
自分に向けられた答えが、冗談ではなく本気だと理解したからこそ。
その横顔を見て、イギリスの唇がほんの一瞬だけ歪んだ。
***
やがて一同は広い空間に出た。
そこには何もない……ように見えた。
だが、天井に並ぶ監視カメラが一斉にこちらを向いた瞬間――。
🇨🇳「――観察、されてるアル」
中国の声が低く響く。
次の瞬間、スピーカーからあの声が降ってきた。
マスター「……いいですね。その調子です」
マスターの声だ。
マスター「仲間を信じるのも、疑うのも自由。ただ一つ忘れないでください――“出口”は、あなた方の選択によってしか開かれない」
その言葉と同時に、どこからか金属の落ちる音が響いた。
振り返ると、床に転がっていたのは――小さな鍵だった。
しかし、その鍵に刻まれたプレートには冷たい文字が刻まれていた。
「1人分」
五人の心臓が、同時に跳ねた。
話題なーい。ではまた!