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夢を見た。
若井と音楽を続けられなくなる、そんな夢。
呼吸は荒く、指先まで汗ばんでいる。
深呼吸を1つ。
辺りはまだ暗く、時計の針音だけが部屋に響く。
すぐ近くに置いてあったスマホを手に取り
映し出された時刻を確認する。
4時半。起きる時刻にしては早すぎるけど
この状態では眠れそうにもない。
画面を閉じ、身体を起こして洗面台に向かった。
涙の跡を、隠すために。
若井の存在が、自分の中でどれだけ大きい物か。
そんなのは俺が1番分かってる。
何故あんな夢を見たのか。 正直、心当たりしか無い。
若井に恋愛感情を抱いているから。
細かいきっかけなんて覚えてない程、ずっと前。
ずっと、独りだった。
馴れ合うのがあまり好きではなくて。
誰かに合わせるのが嫌い。
皆がこうするから、とか馬鹿らしい。
変わった子供だった と自分でも思う。
嫌なものは嫌、誰にも合わせない。
当然、周りから人は居なくなって。
いつの間にか独りになっていた。
そんな孤独を知ってからだった。
若井と出会って。
ずっとこのままで居たい。
初めてそう思えた。
そう思っていた、けど。
優しくされる度、互いを知る度、 若井に向ける感情の形は変わっていって。
ずっとこのままで居たい。 そう思っていたのは自分なのに、それ以上の関係を求めてしまっている。
いつしか、それは友情と呼べなくなっていた。
言える訳、ない。
自分と違って人気な彼に。
メンバーとして、友達として過ごして来た彼に。
この関係が壊れることが怖かった。
孤独だった自分を見つけてくれた彼を失う事が只々怖い。
この気持ちを伝えなければ、それでずっと若井の隣に居られるなら。
こんな感情は、隠してしまえばいい。