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うわぁぁ……語彙力無くすほど好きな出だしのお話だ……♡♡ 今後の展開が読めず、ドキドキワクワクですっっ!!続きを楽しみにしております。
「おはよ 」
スタジオに着くと、若井は既にギターを手にしていた。
今朝の夢を思い出し、目の前に居る彼を見て安堵している自分がいる。
「はよ」
適当に挨拶を返して、いつも通り他愛も無い会話を。
何年経っても、気持ちは薄れるどころか募るばかりで。
感情を隠すことには多少慣れてきていると思う。
若井の事ばかり考えてしまう程には好きだけど、どうにかやれてる。のかな。
このまま有り触れた日が続けば。
何も伝えずに終われば。
ずっと、若井の隣に居られるかな。
現在時刻、23時。
隣からは若井が鳴らすギターのメロディーが聞こえてくる。
制作中は夜に呑まれやすく、孤独をいつもの倍に感じてしまう。
今日も、隣に誰か居て欲しくて。
パソコンの画面に向かいながらも、暖かいメロディーが耳に入ってくる。
「いきなり呼んだのにありがとね」
息抜きがてら声を掛けると、 若井が顔を上げた。
「全然。気にしないでよ」
「…結局若井と居るのが1番落ち着くかも」
2人きりで居るせいか、いつもより素直な言葉が出てくる。
「なに、急に。笑」
いきなりだね、なんて笑いながらも その表情は嬉しそうで。
「元貴がそういうこと言うの、珍しい」
その言葉を聞いた瞬間、胸が締め付けられた。
ずっと感情を隠すばかりで、最近は何も伝えられていない。
本当は、もっと気持ちを伝えたいのに。
大好きだってこと、伝えたい。
それでも、今の自分が伝えられることなんて何も無くて。
素直に伝えられる程、綺麗な感情は持ち合わせていない。
冗談だって上手く言えなくなっている。
そんな状態で想いを伝えるなんて事、到底無理だろう。
今はただ、この気持ちを隠さなければいけないから。
そう理解しているはずなのに、若井の反応が頭から離れずにいる。
自分の言葉で好きな人が喜んでくれるなら、これ以上に嬉しいことはないと思う。
それを邪魔しているのは結局自分自身。
感情1つ消せるなら。 なんて、何回も考えた。
いっその事好きにならなければ、なんて思っても現実は変わらない。
若井が自分のことを好きで居てくれている事は分かっている。
ただそれはメンバーとして、友達としての物で。
俺が若井に向ける感情とは全く違った物なんだろう。