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📖 第十六章 :「こぼれた本音」
放課後。
教室のざわめきはまだ残っているのに、どこか落ち着かない空気が
○○の周りには、また数人の男子生徒が集まっている。
男子A「なあ、今日一緒に帰らね?」
男子B「てかさ、連絡先教えてよ」
軽いノリの声。
笑い声。
でも、その中心にいる○○は、ただ静かに視線を落としていた。
困っているのか、それとも慣れてしまったのか―― 外からは分からない。
その時。
冴:「……どけ」
低く、冷たい声。
空気が一瞬で変わる。
男子たちが振り返ると、そこには冴が立っていた。
鋭い視線。
無表情。
男子A「は? またお前?」
男子B「毎回毎回邪魔すんなよ」
冴は一歩前に出る。
冴:「 しつこい。嫌がってんだろ」
その一言に、男子たちの顔色が変わった。
さっきまでの軽い雰囲気が、一気に苛立ちへと変わる。
男子A「……は? なんでお前がそんなこと決めんの?」
男子B「関係なくね?」
冴は答えない。
ただ、○○の前に立つ。
それだけで十分だった。
男子C「……あー、分かった」
ニヤッと笑う。
嫌な空気。
男子C「お前さ――」
少し顔を近づけて、冴を見上げる。
「○○のこと、好きなん?」
その一言で、空気が凍る。
冴の眉が、わずかに動く。
男子A「それな。毎回守ってさ」
男子B「付き合ってるん?」
畳みかけるような声。
冴は何も言わない。
……はずだった。
けど――
冴:「……ああ」
短く。
あまりにも自然に。
言ってしまった。
一瞬、誰も理解できなかった。
男子たちも、○○も。
そして――
冴自身も。
男子A「……は?」
男子B「へー…」
男子C「マジで?」
ざわっと空気が揺れる。
冴はその場で固まった。
冴:(……何言ってんだ)
自分でも理解が追いつかない。
否定しようと、口を開こうとした瞬間――
男子A「ははっ、なんだよそれ」
男子B「じゃあマジで彼氏じゃん」
男子C「そりゃ邪魔してくるわけだわ」
さっきまでの苛立ちは消え、どこか納得したような空気に変わる。
男子A「……じゃ、いいわ」
男子B「興味失せた」
男子C「お幸せに〜」
からかうような声を残して、男子たちは去っていく。
足音が遠ざかる。
教室のざわめきが戻る。
でも――
二人の間だけ、時間が止まったままだった。
冴×○○:「…………」
沈黙。
冴はゆっくりと視線を逸らす。
○○の方を、見ない。
耳が少し赤い。
冴:「……じゃあな」
それだけ言って、背を向ける。
いつもより、少し早い足取り。
まるで逃げるように。
教室を出ていく。
○○はその背中を見つめたまま、動けなかった。
○○:(今の……)
否定も、説明もなかった。
ただ、“ああ”と答えた。
それだけ。
廊下。
冴は歩きながら、無意識に手で口元を押さえる。
冴:(……最悪だ)
思い出すだけで、胸の奥がざわつく。
なんであんなこと言ったのか。
考えるまでもない。
ただ、反射で。
でも――
完全な嘘でもなかった。
その事実が、一番厄介だった。
冴:「……はぁ」
小さくため息をつく。
足は止まらない。
けど、顔はほんの少しだけ赤くなっていた。
夕焼けの光が、廊下をオレンジに染める。
その中を、冴は一人で歩いていく。
いつもより、少しだけ落ち着かないまま。
END
コメント
2件
発狂して良いですか?
ふわちゃん