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リオは指で首輪をいじりながら、ギデオンを見た。 何か問いたそうなリオの表情に、ギデオンが「ん?」と首を傾ける。


「俺さ、初めてこういうの買ったんだけど、金て高いんだな」

「そうだな。物によっては宝石よりも価値がある。濃い色になるほど高価だ。リオがつけてる赤い首輪も、アンがつけてる紫の首輪も、綺麗だがそこまで色が鮮やかではない。もっと鮮やかならば…ふむ、金貨十はいるかな」

「ええっ!そんなにするのっ?」

「する。俺が持っている腕輪は、それくらいしたぞ」

「くっ…金持ちめ…」


リオは唇を噛みしめた。その瞬間、左頬がピリっと痛む。「いたっ」と頬に手を当てると、ギデオンがリオの手に手を重ねた。


「応急処置をしたんだが、まだ痛むか?」

「あ、そうなの?ありがとう。一瞬痛かっただけだから大丈夫だよ」

「見える怪我がそこしかわからなかったが、他に痛いところはないか?」

「…無いよ」

「正直に言え」

「う…腹を殴られた…けど、大したことない」

「見せろ」

「え、だいじょ…」

「見せろ」


ギデオンの有無を言わせぬ迫力に、リオは渋々とシャツを捲りあげる。そして自身の腹を見て、思わず声を出した。


「わあ、すごい色」

「バカめ。呑気に言ってる場合か」

「バカってなんだよ…うわあ!」


ムッとして文句を言おうとしたら、ギデオンに肩を押されて後ろに倒れた。そのまま肩を押さえつけられて起き上がれない。


「なにするんだよっ」

「アン!」

「治療だ。大人しくしておけ。アンも静かに」


ベッド下に降りたアンが、ギデオンの足元で吠えている。

俺を心配してくれてるのかと、リオはアンのことを愛しく思う。


「アン、大丈夫だから静かにしてて。あとで上手い飯を食べような」

「クゥン…」


か細い声を聞いて、リオはアンを抱き上げたい衝動に耐える。

ギデオンが棚の上の革袋から小さなガラスの容器を取り出し、蓋を開けてトロリとした液体を指ですくった。

不思議そうにリオがたずねる。


「それなに?」

「打撲や内出血によく効く塗り薬だ。どうだ、痛いか?」

「少し痛い…かも」

「ふむ」


ギデオンが薄っぺらいリオの腹に薬を塗り、そして軽く押した。

かすかに顔を歪めたリオは、ホッと息を吐いた。思ったほど痛くはなかったからだ。

しかし塗り薬よりも、魔法を使えばすぐに治すことができる。でもギデオンの前では使えない。それに真剣な顔をして、丁寧に薬を塗ってくれているギデオンを見ていると、誰かに手当をしてもらうのも悪くないと思う。


「しかし細いな。ちゃんと食べているのか?」


リオがぼんやりと考えごとをしていると、唐突に聞かれて「ふあ?」と間抜けな声が出た。





狼領主は俺を抱いて眠りたい

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