とうとうW杯が始まった
連日テレビでは、日本がドイツに勝って祝杯ムードだの何だのそんな報道ばかりでウンザリする
俺がいつも見てるおはよう日本も今日は見なかった。
ネットを開けばネットニュースにサッカーは上位にランクイン
街に出れば学生や壁面ニュースはサッカーサッカー
電車の案内表示にだって出る始末
なんなんだ。日本は俺が嫌いなのか?
そんな訳無いのに思考が回らず変な考えに堕ちる
「部長、有給取ります」
今日はたまらず有給を取った。
W杯が終わるまで俺はたまっていた有給をいっきに消費するつもりだ。
当たり前だろう。
こんな時期に外に出るなんて、俺からしたら命知らず。死に急ぎ野郎だ。
今日は動画配信サービスで、たまっていたアニメやらドラマやら映画を見ることにした。
アプリを開くと、起動音と同時に、配信開始の広告が目に飛び込んできた。
「…は?」
もう本当になんなんだ。
生きてきて28年間。こんなにしぶとい奴は初めてだぞ…
「もうやだ。寝よ…」
全て見る気も失せて、俺はベッドにダイブし、そのまま眠りこけた。
***
W杯も終わり、俺は会社に出勤し始めた。
有給の間にたまっていた仕事に追われ、忙しい毎日を過ごしている
一言で言うと、その先に待っているのは『過労死』だ。
やっと訪れた休日
脅威の五徹をした俺にとって休日は救いだった。
『視界の端にピンクのゾウさん』とか言う幻覚かどうかも分からないモノを抱えながら仕事を追い込んだ俺は、家に帰るなりベッドへ一直線だった。
***
ピンポーン
誰だよ俺の休日にドカドカと土足で入ってくるのは…
のそのそとベッドから起き上がりインターホンを確認する
「何だ。宅急便か…」
「はい…」
「宅急便ですー」
「どーぞ…」
俺は寝起きの声で、応答しながら開錠ボタンを押す
インターホン越しにウィーンと音を立てて開く自動ドアをみたら俺は上がってきた職員さんにハンコを押すために玄関を開ける。
「潔世一様ですね?」
「はい…そーです…」
「こちらにハンコをお願いします」
「はい…」
「ありがとうございましたー」
「ご苦労様です…」
お決まりのやりとりをしながら荷物を受け取った俺は、送り主が誰からかを確認する。
「何だ…協会からか…」
思考の回らない頭で少し大きい段ボールを開ける。
中には手紙と、BLUEROCKの用品が入っていた。
「えーっと何々…?」
何だこのテキトーな文書…絶対、絵心さんからじゃん…
行かねーよとか思ったけど、和牛か…いつも食べてるのは大体外国産のものだからなー
和牛かぁ…
『和牛1kgやるから来い』の下にメールの番号が書いてあったので、和牛に釣られながらのほほんと承諾のメールを入れる。
和牛かぁ…
ーto be continuedー
コメント
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和牛で釣られちゃうならきんつばだったら即返事しちゃいそう潔くん。