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#執着攻め
#ファンタジー
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「ちょっと、押さないでよ!」
反論もむなしくティーポットの注ぎ口から外に追い出されるミナ。
「ここは勢いが大切だ」
「ヴェイン、不気味に笑うな」
その後に続くバックとヴェイン。
物語に入るのにどうして注がれる紅茶気分で流されていくのか本当に意味不明な仕様だ。
こうなってくると本当に物語が紡がれる世界はカップに思えてくる。
ただでさえ、慣れない運動して疲れてるのに。これでも一応貴族キャラなんだぞ!
結局あの後、負け続けてほぼ俺一人で自転車漕いだし…。
「頑張ってね」
小さくなっていくセイはいつまでも手を振っていた。
マジでイラっとするぞ。ほんとマジで…。
「ねえ、これ…このまま着地して大丈夫なの?」
ミナの素朴な疑問に頭を?にする頃、3人は立て続けに着地を成功させた。
その下にはなぜか大量の猫が発生している。
「まさか、召喚獣をクッション替わりにするとは思わなかった」
猫様の大量クッションかよ。ニャアニャアめっちゃうるさいが、可愛い。
しかも、柔らかくて猫様方はなぜか喜んでいる。
なんでだよ!
痛くないのかよ!
だがそんな事より、
「頭が回るわ」
「右に同じく…」
「左に同じく…」
3人は同様のリアクションを取っていた。
態勢を立て直すバックの足裏がぐしゃりと不気味な音を鳴らす。
「うん?宇宙人ワームドか?」
ヴェインは口走った。
召喚獣ならぬ猫様軍団をかぎ分けた先にいかにも宇宙人なツルツルポディが目を回して倒れていた。
「違うだろ!」
「そうね。どう見てもモブ宇宙人だわ」
「ボケただけだろ!うふっ」
言い返すヴェインに絶対、素だっただろうと思うバックであった。
ガルルルッ!
「正真正銘のワームドよ。早く片付けちゃいましょう」
「ウフフッ!ここは俺から行くよ。さあ、猫ちゃん軍団行け!」
ヴェインの声に合わせて色とりどりの猫様達はワームドに突撃する。
だが、ポコポコポコッ!
かわいらしい音を立てながら猫様達はワームドに体当たりしたのと同時に消えていく。
「ああ!俺の猫ちゃん達が!ううっ!」
青い顔になるヴェイン。
この光景、お決まりなのか?
「はあ…。役に立たないわね。私がやる」
男前に名乗り出たミナは空高く手をかざした。
「いでよ。ディスティニーソード!」
その周囲に雷が荒れ狂い、空に分け目がひらいた。
「やばい。めっちゃかっこいい!」
テンション高めでウットリするバック。
決め顔のミナの前に突き刺さるのは荘厳かつ光沢を眩しい巨大な剣ある。
「さあ、私が退治…ふん!やあ!」
ミナは予想通り、剣を抜けずにいた。もはやかれこれ1分はそうしている。
ワームドは彼女のそんな様子などお構いなしに口から光線を放つ。
その神々しい光線はディスティニーソードに直撃する。
思わず剣の後ろに隠れるミナとそれに続くバックとヴェイン。
「やっぱり剣じゃなくて盾のノリだな」
「仕方ないでしょ。重すぎるのよ」
「というか、勇者の剣だから町娘には無理って事だろ!」
「二人ともうるさい!」
「なんだよ。町娘だってディスりだしたのそっちじゃん!」
ミナは言い返すバックとヴェインの頭をたたく。
「自分で言うのはいいのよ」
言い合う3人など興味がないとばかりにワームドの攻撃は続く。
バックは一瞬、勇者の剣もとい巨大な盾からワームドの様子を窺うが、引っ込めるのが数秒遅かったら、焼けこげていただろう。
「で、どうする」
ヴェインの言葉に首をかしげるバック。
イケメンバージョンでワームドと対峙しなければならないのは分かるが盾の後ろから動けない。
まいったな。
頭を悩ませるバック。
そこにひんやりとした感触が再び、足を伝っていく。
その先を見るとモブ宇宙人がさっきと変わらずに倒れていた。