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脳死で書きました









拳銃のシリンダーを開け残弾数を確認する

残り3発

リロードの余裕はない

これで当てるだけ

シリンダーの側面を手で撫でるように触れ、回転させる

手首だけ横に勢いよく動かし、シリンダーをフレームにセットする

ガチャリと気持ちよくハマる音に得も言われぬ高揚を感じた

目だけをぐるりと回しあたりを見やる

紺色に染まった美しい空に銀の光が散りばめられている

それを覆い隠すようにさざめきあう木の葉

心地よい風と音が戦いに火照った体を冷ましてくれた

だが止まりそうにない胸の高なりと体の底から溢れ出る熱に口角は上がるばかりだ

口から漏れ出た薄気味悪い笑い声

グリップバットを握り直しリアサイトを覗き込む

バレルの先についたフロントサイトを動き回る相手の頭に定める

トリガーに指を添え

引き抜く

すると轟音が鳴りマズルから銃弾が唸りを上げてとんだ

少し右にそれたが大方想像通りの弾道

この調子なら当たる

そう確信する頃には、相手の頭に赤い花が咲いて倒れ込んでいた





『____そこまで!勝者たくぱん!』



スピーカー越しの荒い音


ここはメメリ国の裏庭

夜間、それも屋外での射撃訓練の時間で

今撃った弾は赤いインクが入った安全なカラー弾


次々とインカムに音が入ってくる



『いや〜負けたっすわぁ〜‥』

『さすがたくぱんだな』

『なんで拳銃でそんなに当てれるのか不思議なんですけど』

『そーちゃん成す術もなくって感じやったな』

『すごかったね!』



戻ってきた喧騒一つ一つに半笑いで答える

嗚呼、幸せだな

みんなが居て、その内輪に俺も居て

特別でも非凡でもない、誰かにちやほやされることも少ない

それでも楽しい



「…うるせぇな」


幸せに独り愚痴る









不意に銃声がなった


眼の前の世界に引き戻される

真っ赤なカーペットに染みた赤黒い血

水気を含んだそれは重たく光り嫌な水音を立てる

狭くなっていく視界の端に捉えた仲間の死体

誰にも気づかれない

誰も気づいてくれない

誰も、気づくことはできない

俺の能力は完璧だから


口から鮮血が垂れる

視界も暗くなって、楽しかった走馬灯が流れる

なんだっけ、死なないようなヒントを探すために走馬灯が流れるんだっけ

昔そーちゃんあたりが言っていた気がする


ガサガサと耳障りな雑音

人か…皆も死んじゃったし、このまま捕虜として生きるくらいなら___


懐からサイズの割に重量のあるそれを取り出す

カーキ色の物体を握りしめ、その感覚に身震いした

鈍く光る銀のピン

片手はもうない

意識も時期消える

ならば最後くらい華々しく散ろうじゃないか


あ…でも


「爆発オチ、なんて…さいてー」


歯とピンがぶつかり合う冷たい音

少しの衝撃を俺の手に残してピンが抜かれた





『あ、たくぱんさん来たんっすね』

『死に様見てたぞ』

『早く行きましょうよ、待ちくたびれちゃいました』

『なんやねん、もうちょい粘れや〜』

『ドカーン!って感じだったね!』





「…うるせぇな」






光進む8色


誰にも止められなかった




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コメント

2

ユーザー

え好きすぎる … 、 なんかもう表す言葉が全部天才すぎて ( ? ) 次も楽しみにしてます !! 💓💞

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