そうして私はページをめくる。
俺の両親はオタ活や推し活は『気持ち悪い』という考えがあった。コスプレなんて見てられない。女の子は女の子らしく,男の子は男の子らしい服を着なさい。それが普通だと思っていた。けど,それはもう古い考えで今は好きな服を着て好きな恰好をすればいいという世界。そういう考えを持つ人がいないというわけではないけれど,世界は変わってきている。
偏見だらけの家に生まれてきたのが俺,林道美鈴(りんどうみすず)。俺の両親は偏見がすごい。今どき話題のジェンダーレス。心と体の性があっていない人の事を言うのだが,俺もその一人だった。俺の体は女だけれど心は男の子。家族にはそのことを話していない。自分の名前は美鈴だけど,俺自身は自分の事を『太陽』と呼んでいる。たまーに男装メイクをして,男の子の服を着て過ごしている。そんな俺の夢は誰かの王子様になること。俺を必要としてくれる人に出会って生きていくんだ。
「美鈴ー!」
「はーい。」
けどみんなになんて言われるかわからないからみんなの前での一人称は私。
「どうしたの?」
「もうすぐ中学生だから,お祝いで服を買いに行きましょ。」
俺にとって最悪だったのはこれだ。公立の中学校は制服を選べない。そう,スカートという地獄が待っているのだ。俺だって我慢はしようと思っている。けど,スカートはなんだか恥ずかしいんだ。学ランに憧れている俺にはスカートなんて…///
そう思いながらファッションセンターへとやってきた。
「美鈴,見て。これ可愛いんじゃない?」
母が手に取ったのは可愛いワンピース。いや,いやいや。今どき中学生こんなの着るのか?もう男女関係なくズボンだと思ってたんだが。
「えっと…お母さん,お…わ,私,こっちがいいな。」
俺はその横の真っ黒なズボンを手に取った。まだマシだ。本音を言えばズボンにTシャツがいい。
「あら,そんな真っ黒なズボン男の子みたいじゃない?美鈴は女の子なんだからこっちにしなさいよ。」
俺の中の何かが切れた音がした。女の子だからってなに?俺は,俺が着たい服を着ちゃダメなのか?あぁ,早く止めないと会計に行ってしまう。
「お母さん,俺,スカートは嫌だ。だってお姫様みたいだもん。」
そう,叫んだ。少し声が大きかったようで,周りの人からも見られた。
「ちょっと美鈴,何恥ずかしいこと言ってるの。美鈴は女の子なのよ?お姫様になるの。王子様になんてなれないんだから。」
「このお話はどう?」
お客様は暗い顔をした。そうね,この話は少し暗いわね。ねぇ,貴方たちはどう思う?この子はこの後どうなると思う?コメントで是非教えて頂戴。
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