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管理室から誰も動けなかった。
鏡に浮かぶ文字。
**【次回解放記憶】
**『未来消失事件当日』
それを見つめたまま。
沈黙だけが流れる。
🦈「……」
🌸「……」
🍵「……」
最初に口を開いたのはこさめだった。
🦈「未来消失事件ってなに?」
素朴な疑問だった。
しかし。
その質問に答えた者はいない。
なつは目を逸らした。
いるまは腕を組んだまま黙っている。
らんも珍しく笑っていない。
そして。
すちは静かに鏡を見つめていた。
🦈「そんなにやばいの?」
こさめが聞く。
今度はいるまが答えた。
📢「やばい」
即答だった。
📢「めちゃくちゃやばい」
🦈「そんなに?」
📢「世界終わりかけた」
🦈「え」
こさめが固まる。
いるまは続ける。
📢「本当に終わりかけた」
🦈「えぇ」
📢「空から未来が消えた」
🦈「空から未来って消えるの!?」
📢「ここでは消える」
🦈「この職場怖い」
🍍「今さらだな」
なつが呟いた。
すると。
鏡が再び光る。
数字が変化した。
76%
77%
78%
🦈「上がってる」
こさめが指差す。
🍵「上がってるね」
すちが頷く。
穏やかな声だった。
でも。
手は僅かに握られていた。
こさめは気づかなかった。
らんは気づいていた。
🌸「すち」
🍵「ん?」
🌸「そんな顔しなくても大丈夫だよ」
静かな声。
すちは少しだけ目を細めた。
🍵「……何のことかな」
🌸「分かりやすいから」
らんは苦笑する。
昔から変わらない。
心配事がある時の顔。
それを知っている。
何千年経っても。
その空気に耐えられなくなったように。
こさめが立ち上がった。
🦈「こさめ聞きたい」
全員の視線が向く。
🦈「未来消失事件のこと」
誰もすぐには答えない。
だが。
今のこさめには知る権利がある。
そう思ったのか。
すちが小さく息を吐いた。
🍵「……少しだけ話そうか」
そして。
管理室の椅子へ腰掛ける。
こさめも隣に座った。
なつといるま。
らんも少し離れた場所へ。
🍵「今から三千年前」
すちが語り始める。
🍵「世界は今よりずっと不安定だった」
🦈「三千年……」
🍵「未来もね」
窓の外を見ながら続ける。
🍵「その頃、人類の未来は一つの場所に集められていた」
🦈「今みたいに?」
🍵「もっと大きい形で」
こさめは黙って聞く。
🍵「その未来を管理するために選ばれたのが」
そこで一瞬言葉が止まる。
そして。
🍵「君だった」
静寂。
こさめは目をぱちぱちさせた。
🦈「こさめ?」
🍵「うん」
🦈「こさめ?」
🍵「そう」
🦈「こさめ?」
🍵「三回聞いたね」
すちは少しだけ笑った。
でも。
すぐ真面目な顔に戻る。
🍵「未来管理者」
🍵「人類全体の未来を守る役目」
🍵「それが君だった」
こさめは呆然としていた。
実感なんてない。
だって今の自分は。
新人職員だ。
書類整理もたまに間違える。
迷子にもなる。
おやつを机に隠して怒られる。
そんな普通の職員。
なのに。
昔は世界の未来を管理していた?
信じられない。
その時。
らんが静かに言った。
🌸「でも」
全員がそちらを見る。
🌸「こさめ一人じゃなかったよ」
優しい声。
懐かしい声。
🌸「俺と」
🌸「すちと」
🌸「三人だった」
こさめの胸がどくんと鳴る。
まただ。
その言葉が。
妙に懐かしい。
🦈「三人で?」
🌸「うん」
らんが微笑む。
🌸「親友だったから」
その瞬間。
鏡の数字が跳ね上がった。
79%
80%
81%
🦈「っ!」
こさめの頭に痛みが走る。
また記憶。
笑い声。
三人。
毎日一緒だった。
毎日。
ずっと。
🌸『こさめー!』
若いらんが手を振る。
🌸『遅い!』
🦈『寝坊した』
🌸『また!?』
🦈『また』
🌸『自慢するな』
隣ですちが笑っている。
🍵『今日は会議だよ』
🦈『行きたくなぁい』
🍵『俺も』
🌸『すちも!?』
三人で笑う。
当たり前の日常。
かけがえのない時間。
だが。
記憶はそこで終わらなかった。
今までと違う。
最後に見えたのは。
真っ赤な空。
崩れる塔。
泣きそうな顔のすち。
そして。
叫ぶらん。
🌸『こさめ!!』
そこで記憶が途切れる。
🦈「はっ……!」
こさめは椅子から立ち上がった。
呼吸が荒い。
心臓が痛い。
今までで一番鮮明だった。
そして。
初めて見た。
あの日の終わり。
🦈「……何があったの」
震える声で呟く。
すると。
管理室全体が揺れた。
ドォン――!!
全員が顔を上げる。
警報。
赤い警報。
今までとは比べ物にならない音量。
『緊急事態発生』
『封印対象A-000001』
『人類の未来』
『封印解除率20%到達』
静寂。
誰も言葉を失う。
そして。
放送は続けた。
『未来が自力で帰還を開始しました』
その瞬間。
すちの顔から血の気が引いた。
らんの笑顔も消えた。
なつが呟く。
📢「……おい」
いるまも青ざめる。
📢「冗談だろ」
こさめだけが分からない。
🦈「何?」
誰も答えない。
答えたのは。
施設全体を震わせるような轟音だった。
遠く。
封印庫の方向から。
巨大な何かが目覚める気配がした。
コメント
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第14話、読み終わりました。「空から未来が消える」「未来が自力で帰還を開始した」――この設定の不気味さにぞわっと来ました。こさめがかつて未来管理者だったと明かされ、しかも三人の親友関係には確かな温かさがあって。一方で「あの日の終わり」の記憶が初めて鮮明に出てきたタイミングで警報が鳴る畳み掛け、見事でした。次が気になって仕方ないです。藍翠 瑠蒼さん、ありがとうございます。