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長い長い撮影が終わった。
「あぁあ〜つっかれたねぇ〜
ね、ついてきてくれてありがと、2人とも。絶対最高のMVになる」
元貴が自信満々に言う。
俺もそう思う。大変だったけど、楽しかった。
みんなが、沢山見てくれたらいいな。
「最高だった。大変だったけど。元貴も涼ちゃんもお疲れ」
若井もやり切った顔で俺らに言った。
元貴も満足気。
「2人ともお疲れ様。楽しかった。すっごく。早く3人でみたいなぁ」
何時になるだろう。早く3人で感想を言い合いたい。そんな俺の心を読み取ったのか、
「なるべく早く見せてあげっから〜!」
と元貴がいたずらっ子のように笑う。
何か企んでそう。俺には思いつきもしない事を。
俺は楽しみにしてるね、と元貴に伝えた。
「さーて、着替えて解散ね!
俺、先シャワー浴びて帰るわ!じゃね!お疲れ!」
元貴が一瞬こっちを見てニコッとした。
分かってる。頑張る、よ。俺。ありがとう元貴。
「気をつけろよー!じゃあな〜」
若井が元貴に手を振る。いつもの光景だ。
若井と急に2人になる。
別にそんな時間今までいくらでもあったのに。
変に緊張しちゃう。
でも、もう決めたんだ。伝えなきゃ。自分の言葉で。
「わ、若井」
勇気をだして声をかけた。
「なぁに」
そう、この目。ずっと優しい。吸い込まれそうな、綺麗な瞳。
「今日、若井の家泊まっていい…?」
結構大胆なことを言っている気がする。
でもこんなプライベート以外の空間で言えるわけが無い。
若井は普通に言ってたけど。俺はやっぱり恥ずかしい。
断られたらどうしよう…なんて考えていたけど
若井の顔がぱぁ…!と一気に明るくなった。
「いいよ!もちろん!」
着替えてタクシーに乗り、若井の家に着く。
久しぶりかも。若井の家。
鍵を開けて若井がドアを抑えててくれてる。
「どうぞ」
それだけでいちいちかっこいいのずるい。
「お邪魔します」
靴を脱ぎ並べ、部屋へと上がる。
同居してた時を思い出すな。懐かしい。
「はぁい」
後から若井が靴を脱ぐ。
すると若井があっと思い出したかのように言う。
「寝る時、どうする?俺のトレーナーでいい?まぁパンツとか歯ブラシは新品あるから安心して」
若井とはサイズはほぼ変わらない。だから全然交換したりしてる。なんならパンツも前借りられた。俺の新品パンツだけど。
「うん。ありがと歯ブラシは持ってるから大丈夫だよ」
持ち歩き用があるから。わざわざ俺のために新品開けてくれるのは申し訳ない。
「じゃあ、新品涼ちゃん用にしていい?たまには泊まりきてよ。 」
何それ、ほんとにずるい。
「うん。じゃあお言葉に甘える。涼ちゃん専用歯ブラシ」
照れ隠しをするためにわざとボケる。
いつもの俺って感じだけど。
「毎日来てもいいんだよ?まぁ涼ちゃんの家賃が勿体ないけどね」
あぁ。そうだ。この人はストレートに返せる人だった。たぶんずっと 勝てないや。
「じゃあ若井も俺のとこ泊まり来て」
今までの俺だったらこんなこと絶対に言わない。元貴とかに泊まっていい?って聞かれていいよと返すくらい。
だから若井がちょっとびっくりしてる。
その顔、可愛い。
「え、い、いいの…」
こんな事言われると思わなかっただろう。
いつも受け身だから。
もう、前の俺じゃないから、ね。
「うん。若井なら、いい。 」
随分と踏み込んだ。酔ってはないのに。
もう自分に素直になった方がいいな、そう思って思ったことを口に出してみる。
その瞬間ガンッと痛そうな音がした。
「いてっ!!」
若井が肘をぶつけていた。
あ、俺のせいかも。
「え、大丈夫!?ご、ごめん…変なこと言っちゃった…」
やっぱり思ったことすぐ言わない方がいいかも。
「いや、大丈夫ごめん動揺した。ちょっと、ごめん…今顔見ないで…」
珍しく若井が慌てている。
え、若井もこういう風になるんだ。いつもあんなにかっこよくきめてる若井が。
若井の顔、真っ赤だ。
初めて見た。初めて知れた若井の部分。
すごく嬉しい。可愛い。
「ごめ、とりあえずリビング行こ」
耳まで真っ赤だよ。
「痛い…?肘…」
結構な音が鳴ったから若井が可愛いと思いつつ普通に心配になってしまう。
自分もよくやるから痛すぎるのを知ってるし。
「大丈夫だよ、ありがと。優しいよねほんと」
そりゃ、あれだけぶつければね。
袖をまくって見せてくれたけど大丈夫そう。
良かった。大事な腕だから。
「若井が弾けなくなったら困るもの俺のせいだし」
俺が変なこと言っちゃったから。
初めての知らない若井を見られたとは言え後悔してる。
「涼ちゃんのせいじゃないって。で、何…今日どうしたの涼ちゃん」
やっぱりいつもとは違うことにもう気づいてるよね。
えっと、どうやって伝えよう。
あぁ、今更ながらすごく緊張してきた。
「あっと…その…んーーーー!」
中々伝えられない。みんなどうやって返事してるの。
そんな俺を見て察したのか
「ねぇ、涼ちゃん。答え……出た…とか?」
若井が少し気恥しそうに俺を見た。