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空振りするその手を、落ちる前に握る。

「ははっ……すごく不思議です。あれだけ怖かった暗い部屋も、准さんといると怖くないんだ」

表情を確認するのもやっとの暗さ。月の明かりがかろうじて、自分達を照らしてくれている。

今からやろうとしている事も。残酷なぐらい、優しく。

「触るのも、触られるのも怖くない。多分、准さんだからだ」

「涼……」

准は名前を呼んだが、首を横に振って、彼の掌にキスをした。


「俺も。ずっと怖くて、踏み出せなかった。でも今なら。お前となら、何でもできる気がするよ。……成哉」

「……!」


その呼びかけに目を見開いた時、体重が掛けられた。事前の準備はしていたけれど、それだけで上手くいくほど“初めて”は甘くない。

滴る汗も、涙も、体液も、混ざり合って。

かつてない感覚に身震いする。


「好きだ。成哉」


それでも幸せだ。

辛いけど、嬉しい。

「一緒にいよう。ずっと、ずっと……これからは、俺がお前を守るから」

「准さ……あっ」

准の指が、深い所まで潜り込んだ。涼は思わず仰け反る。誰にも触れられたことのない場所を掘り起こされる。────暴かれてしまう。

「ふっ……う、あっ……!」

引き攣るような痛みに涙を流しながら、涼は准の身体にすがりついた。時々爪を立ててしまうこともあったが、彼は動じなかった。

やがて、開いた扉に彼自身が入ってくる。

その衝撃は凄まじかった。つま先まで痺れてしまいそうな、熱棒を捩じ込まれる感覚。言葉にできない衝撃に空いた口が塞がらない。だらしなく唾液が零れる。

「成哉、大丈夫か? 辛かったら、一回抜いて……」

「いっ……ち、ちょっと待ってください。抜かないで……っ」

涼は准の腕の中で、何度も嗚咽した。

「やっと、准さんと繋がれたんだから……もうちょっとだけ、幸せに浸っても罰は当たんないでしょ」

「ははっ。そうだな」

二人は笑い合って、深い口付けを交わす。淫らな水音と共に、腰から下は肌をぶつけ合う音が響いた。


「大変だな、成哉。これから俺をからかったら、こんな風に喘がされちゃうもんな」

「んっ、あ、あぁ……っ!?」


腰を激しく動かし、強く奥を突く度に中が脈打つ。腕の中で抱かれる彼は何もできず、身を委ねていた。


「ふ、ぅっ……良かったですね、准さん。童貞の俺で、脱童貞できて……っ!」




ファナティック・フレンド

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