テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
・ω・
203
242
512
今夜は一緒に?
部屋の明かりは落とされ、
カーテン越しに地獄の赤い月明かりが差し込んでいる。
レロはベッドの横で腕を組み、
猫耳をぴくりと動かしながら唸った。
「……だからさ。
俺、今これだよ?」
尻尾が落ち着きなく揺れる。
「耳も尻尾も敏感だし、
寝返り打っただけで変な反応するし。
一緒に寝るとか、無理に決まってるだろ」
『……』
メロは何も言わず、少しだけ俯いたまま近づいてくる。
「いや、だから近づくなって……」
次の瞬間。
ぐいっ。
「うわっ!?」
レロはそのままベッドに押し倒され、
マットが小さく沈んだ。
猫耳が驚いて伏せ、
尻尾がびくっと跳ねる。
『お兄様?』
覆いかぶさるように、
メロは顔を近づける。
『妹が……これだけお願いしても、
寝てくれませんの?』
声が、ほんの少し震える。
潤んだ瞳が、真っ直ぐこちらを見つめていた。
『……一人で眠るのは、寂しいですわ』
今にも泣き出しそうな表情。
「……っ」
レロは一瞬、完全に固まった。
「……それは……」
視線を逸らし、
額を押さえる。
「……ずるいんだよ、そういう顔」
猫耳が、しゅんと伏せたまま。
「分かった。
一緒に寝ればいいんだろ……」
ため息混じりに、ぽつり。
「……仕方ない」
『……』
数秒の沈黙。
そして。
『ふふ』
一瞬で、表情が変わる。
さっきまでの泣きそうな顔はどこへやら、
いつもの余裕たっぷりの笑み。
『やはり、お兄様は騙しやすいですわね』
「……」
レロは、じっとメロを見つめて――
「……嘘泣きかよ」
猫耳がぴくっと立つ。
「最初からそうだと思ったわ。
思ったけど……」
布団の端を掴み、
小さく息を吐く。
「……分かってても、断れないのがムカつく」
『ふふ。愛ですわね』
「違う!!」
即座に否定しつつも、
突き飛ばすことはしなかった。
メロは何事もなかったかのように布団に潜り込み、
当然の顔で隣に収まる。
『では、おやすみなさい』
「……勝手すぎるだろ」
そう言いながらも、
レロは布団を引き寄せる。
猫耳が、ゆっくりと落ち着き、
尻尾の揺れも静かになる。
「……ほんと、最悪な妹」
『褒め言葉として受け取っておきますわ』
「……もういい。
仕方ないなぁ……」
小さく呟いて、目を閉じる。
――騙されたと分かっていても、
結局は受け入れてしまう。
その距離が当たり前のように近いことを、
レロはもう諦め始めていた。
静かな寝息が重なるまで、
戯魔の妹は満足そうに微笑んでいた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!