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猫化のままの就寝に無意識の事件?
部屋はすっかり静まり返り、
聞こえるのは、規則正しい寝息だけ。
レロは背を向けたまま、目を閉じていた。
猫耳も尻尾も、ようやく落ち着いている――はずだった。
そのとき。
メロが、寝返りを打つ。
シーツが擦れる音と一緒に、
伸びた手が――無意識に、レロの尻尾に触れた。
「……っ」
喉の奥が、きゅっと鳴りそうになる。
尻尾の根元から、ぞわっとした感覚が走り、
思わず身体が反応しそうになるのを、必死で堪える。
(やば……触るな……)
声を出したら終わり。
起こしたら、絶対に揶揄われる。
レロは息を殺し、
ゆっくりと尻尾を動かした。
そっと。
慎重に。
尻尾は、メロの手首に回り込み、
くるりと――軽く、でも逃げられないように巻きつく。
触れさせないための距離。
それ以上、手が動かないようにするための拘束。
「……」
メロは、起きない。
寝息も、変わらず穏やか。
(……よし)
レロは心の中で、小さく息をつく。
これで、もう触られない。
それだけで、十分だった。
尻尾をほどかず、
そのまま位置を固定すると――
レロは一人、ほんの少しだけ口元を緩めた。
(……これで安心)
満足そうに、再び目を閉じる。
尻尾で距離を守ったまま、
猫の兄は静かに眠りへ戻っていった。
――揶揄う妹に気づかれない、
ささやかな防衛策と、ささやかな勝利。