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『ほどけない関係』
rz視点
また、この部屋に来てる。
薄暗い照明の下、乱れたシーツ。煙草の匂いがまだ残る空気。
らいとと会うときは、たいていベッドの上から始まって、ベッドの上で終わる。
それ以外の時間なんて、存在しないみたいだ。
li なぁ、ロゼ。……また来たと?
シャワーを浴び終えたらいとが、髪から水滴を落としながら俺を見て笑う。緩い博多弁が耳に絡みついて、胸をざわつかせる。
その笑みが好きだ。俺だけに向けられてるように錯覚できる。……錯覚だと、わかっていても。
rz …来るなって言った?
li 言うわけなかろーロゼが来てくれるなら、俺はそれでよかよー
軽い。
その一言が、俺の首に鎖を掛ける。
俺たちは恋人じゃない。付き合ってるわけでもない。
ただ、寂しい夜に抱き合うだけの関係。
けど、らいとにとって俺が「たまたま近くにいた便利な相手」だとしても――俺にとっては、もうそれだけじゃない。
rz ……ほんと、お前は残酷だな
思わず口から漏れた。
らいとは小首をかしげて、わざとらしく近づいてくる。タオルからは滴る水が俺の手の甲に落ちて、冷たいはずなのに、熱い。
li 残酷とか言うなや。ロゼのこと……う 俺は、好きやけん
甘い声に、また騙されそうになる。
でも「好き」なんて言葉、この関係では何の保証にもならない。
明日になれば別の誰かと同じことを言ってるかもしれないし、俺だけを縛る気なんてないことくらい、痛いほど知ってる。
それでも、離れられない。
俺を求めるらいとと、俺を引き寄せるらいとの笑顔。
ぐちゃぐちゃに絡まって、抜け出す道なんてどこにもない。
rz …なぁ、らいと。俺ら、ずっとこんな関係なんか?
li んー……そんなこと考えるとー? ま、ロゼがよかなら、それでいいっちゃない?
答えになってない。
でも、そうやって濁す顔も、悔しいくらい綺麗だ。
俺はもうとっくに分かってる。
らいとが俺を縛らなくても、俺の方が勝手に縛られてるって。
ただのセフレのはずなのに、俺にとっては生きる理由に近い存在になってしまってることを。
rz ……馬鹿だな、俺
自嘲しながらも、らいとを抱き寄せた。
軽く笑って、抗わずに身を預けるらいとに、ますます逃げられなくなる。
――俺たちの関係は、きっと壊れている。
でも、壊れているからこそ愛しい。
共依存だとわかっていても、手放すなんてできやしない。
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