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『侑、好きだよ』
「おん」
最近の侑はやけに冷たい。
付き合ってる?って疑うほどの。私何かした?気に障るようなこといった?
恐らく原因は恵理香さん。
3年生の先輩で侑は恵理香さんに懐いてるし、校内で1番モテるっていうほどに。
確かモデルもやってて人気は絶えない。
「侑く〜ん!!」
「恵理香!!」
私と態度が全く違う。なんで?
私って彼女だよね、?
「雑誌みたで!ほんま綺麗に写ってるな!」
「ふふっ笑 今回は凄く自信作なの!」
私は黙って2人の姿を見ていることしかできない。
高校NO.1セッターでイケメンな侑と、校内1美人な恵理香さん。お似合いだよ。
私、彼女の意味ないよね?
「よぉ、冴香」
『治くん、』
話しかけてきたのは侑の双子の弟、治くんだった。治くんには相談も聞いてもらって私と侑の関係を理解してくれる唯一の男の子。
「ツムか?」
『うん』
侑の恵理香さんの方を見て一瞬で察した治くん。私の手を引っ張って廊下まで連れてきてくれた
「辛かったやろ、あんな場所にいて」
『もう…侑には私への愛情はないのかな、』
『別れた方が…』
「もう少し待ってみてもいいと思うで」
「冴香が別れたいなら別れてもええと思うで」
治くんからアドバイスをもらい、私は再び教室にもどった。
案の定、もう恵理香さんはいなかった。
「何サムと話してたん」
『…部活のことだよ』
珍しく、いや。初めて侑に冷たく返事をしたかもしれない。
侑は少し驚きながら私をみている。
「なんでそんな冷たいん」
『…日頃のストレスってやつ』
「お前にストレスなんてあったんやな笑」
鼻で笑う侑に腹が立った。 でも、まだ侑を好きな私がどうしようもなく憎い。
「ねぇ冴香」
声がした方を振り向くと、そのには倫太郎がいた。小さい頃からの幼なじみで、私を1番知っていて、侑との関係の理解者でもある。
倫太郎も侑も凄く人気だから女の子からの嫉妬や妬みは凄いんだけどね、。
「あんなのみて辛くないの?」
『え?』
侑の目の前で話し出す倫太郎。
『な、何言ってるの?』
「もうこの際切り出しちゃえば?」
「…なんの事言ってるん?」
侑も不機嫌な顔で私に聞いてくる始末。
今は本当に倫太郎を殴りたい。
「俺に隠し事か?あ”ぁ”?」
『えっと…っ』
『私ちょっと御手洗、!!』
「あ、逃げた」
廊下をダッシュしてトイレに駆け込む。
周りの目は気にしてない。
今はとにかくあの地獄の場所から逃げたかった。
「あ〜!そこの貴方!」
『へ?』
スタイルのいい身体、綺麗な顔立ち、艶のある茶髪のロング、……。
恵理香さんだ。
「貴方!侑くんの彼女だよね?」
「私は迅乃恵理香!よろしくね?」
女の私でも好きになるような容姿に自然と胸がドキドキと高鳴る。
こんな綺麗な人が存在するのかと思うほど。
…侑はすぐ好きになっちゃうんだろうな。私なんかより凄く魅力的で優しくて、。
『私に…何か用ですか、?』
「実はそうなの!」
どうしたんだろう、私になにか頼み事?
「侑くんと別れてほしいんだけど」
『え?』
「私の方が侑くんと似合うし、美人な私とイケメンな侑くんはお似合いでしょ?笑」
嫌だ。別れたくない、そう言いたい。
けど口が動かない。
『い、や…ですっ』
「、ふーん」
「そんな事いっていいの?」
怖い、怖いけど…侑とは別れたくない。
私を1番大切にしてくれた人、本当の愛を教えてくれた人。こんな人、二度と現れない。
「まぁ、笑」
「アンタより私なんかの方が可愛いし人気者だし、侑くんも私のことが好きなはず笑」
『そ、れは…分かりません、』
『けど…私は絶対別れません、!!』
「はぁ…侑くんも別れたいって思ってるはずだよ?笑」
「ブスな貴方を振るのが可哀想だから仕方なく付き合ってるだけなんだよ?笑」
「勘違いしないでね?子豚ちゃん♡」
『…っ、』
「今日までには別れてね?そうしないと、……ね?わかるよね笑」
『……』
何も言い返せなかった自分が憎い。
彼のことが大好きなはずなのに、なんで言い返せないの?
侑ver.
放課後、冴香に呼ばれて空き教室にいく。
冴香の表情が暗い気がしたが特に気にならなかった。
「何や?」
先に話を切り出したのは俺。
冴香は口を開けたり閉じたりそれを繰り返して中々喋らない。
「はよ喋れや」
「なんなん?」
キツい言い方になってしまって、咄嗟に冴香の方を見る。
傷ついたような諦めたようなそんな顔をしている。
『…あのね、侑』
『私たち…別れよう』
一瞬時が止まったように感じた。
「…は?」
俺から出たのはマヌケな声だった。
「…なんでなん?俺なんかした?」
『…恵理香さんと距離近いの…わからないの、?』
『私もう限界だよ…疲れた、』
『別れたい、もう連絡もしてこないで』
勝手に1人で話を進めている冴香に腹が立った。
なんでもう俺が好きじゃないみたいな言い方してるん?好きじゃなかったらもう別れてるわ。
「そんな俺と別れたいん?」
別れたくない、そういえばいいのに言葉がでてこない。
『…そういうことだから…今までありがとう楽しかったよ、ばいばい』
それだけ残して冴香は空き教室をでいった。
その日はずっと上の空だった。
冴香ver.
侑と別れた、。
言うのが怖かった。侑なら別れたくないって言ってくれるかと期待してた、
けど、そんな事はなかった。
恵理香さんがいってたように、もう私のことは冷めたんだと実感した。
「冴香!!」
侑かと思って咄嗟に振り向く。
そこには息切れをしている治くんがいた。
『えっと…おはよう?どうしたの、そんなに焦って』
「ツムと別れたって本当か、!?」
『…もうそんな噂回ってるんだね、』
『そうだよ、別れた』
口に出すのが嫌なくらい。
「…そうなんや、」
私は目を見開く。
前から歩いてきたのは腕を組んだ恵理香さんと侑だった。
息の仕方を忘れるくらいショックに襲われる。けど、平常心を保たなきゃ。
もう別れたんだ、あの人は私の彼氏じゃない。
そう自分に言い聞かせて私は治くんに訴えるようにその場から離れようとした。
「…冴香、?」
『……ッ!!』
久しぶりに名前を呼ばれた。
その声は震えていて、いつもの元気がみえなかった。侑の目の下にはクマができていて、全く寝れていない状態だった。
「…冴香ッ…冴香、ッ」
名前を呼ばれて胸が痛い。まだ好きなのに抱きしめられない事に悲しみが込み上げる。
「別れるとか…言わんといてやッ」
「俺…まだ冴香のこと好きやねん、ッ…お願いやから…俺から離れんといてや…ッ」
泣きそうな苦しそうな声。
抱きしめてあげたい。けど、もう私は貴方の恋人じゃない、。ごめんね
「侑くん、?私がいるよ、?」
恵理香さんが話しかけても反応はない。
ただずっと私の方を見ている侑。
『侑…、』
私は侑をみていて胸が苦しくなった。
彼はこんなに私のことを想ってくれていたんだろうかと、ただ純粋に嬉しかった。
「…別れるとか、言わんといてや」
「俺には…冴香が必要なんやッ」
「ちょっと、。侑くん…!?」
『侑…』
私は我慢できなくなり、侑の方に駆け寄って今にも壊れそうな身体を優しく抱きしめた。
彼は涙を流しながら私の名前を呼んで強く抱き締め返してくる。
これだけでもう充分幸せを実感する。
『ごめんね、侑』
「俺が全部悪いんや、冴香が謝る必要ない」
『まだ…好きだよ、大好き』
「俺もずっと愛してるで」
きっと私たちは共依存。お互いが一緒じゃないと不安になる。
私たちは薬同士。ずっと一緒にいなきゃいけない存在なんだ。
「愛してるで、冴香」
『私も、♡』
_________¿¿¿¿¿¿¿