かっこいい彼女。〜赤葦〜
俺の彼女は言えば砂糖。
俺を見かけたらすぐに抱きついてくるし、京冶といってこっちに来てくれる。
俺はそんな○○が好きだし、○○も俺のことが大好きなはず。
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いつものように教室に行くと、案の定友達と話していた○○が目を輝かせてこちらに向かってくる。
「京冶!おはよう!」
『おはよう、○○』
まるで子犬みたいな挨拶に俺は不覚にもきゅんとしてしまう。
『朝から元気だね』
「京冶と会えたからかなー?」
そんな可愛いことを言っている彼女に俺は頭が上がらない。
○○はとてもモテる。
優しくて可愛くて、まるで絵本に出てくるお姫様みたいな○○。
告白は今週で7回目。ふわふわしてる○○を守りたいって想う男子が多いみたい。
けど、ごめんね。
その役目は俺にあるから。
「京冶!移動教室一緒に行かない?」
『うん、いいよ』
軽く返事をして次の授業の準備をする。
「あの…」
俺は女子3人組に話しかけられた。
『はい?』
「私…前から赤葦くんと仲良くなりたいって思ってて…その、」
「移動教室…一緒に行かない?」
『あー…ごめん』
『彼女と行く約束してるから、ごめんね』
申し訳なくて女の子達に謝ると、保護者みたいな女子2人組がブツブツと何かを言い始めた。
「彼女とはいつでも行けるじゃん!」
「たまには彼女だけじゃなくて他の子とも行ってあげてよ!」
「そうだよ!この子前から赤葦くんに話しかけたいって言ってるのに!」
それとこれとは話が違うのでは?と思った俺は女子達に言い返そうとした。
「あのさ…」
『京冶?』
「あっ、○○」
俺が言い返そうとした時、○○が帰ってきていた。
『どうしたの?早く行こっ』
「うん」
「ちょっと、!待ってよ!」
女子3人組が俺と○○を止める。
めんどくさいと思い、早くこの場から逃げたい。かなり視線を浴びていてめんどくさい。
『京冶…?この子達は何? 』
○○も不審に思っていて、やばいと少し焦る。
「あのさ!○○ちゃん!」
3人組の1人の女の子が○○に話しかける。
○○は首を傾げて、早く行きたいという目をしながら女の子に優しく問いかける。
『どうしたの?』
その可愛さにやられながら俺は○○とその女子の会話を眺める。
「今日は赤葦くんと移動教室行くのやめてくれない?」
『え?なんで?』
ド直球すぎる投げかけにさすがの○○も少し怒っている。
「この子が赤葦くんと一緒に行きたいって言ってんの!」
少し言い方がキツくなる女子達に俺はそろそろ止めに入ろうとする。
俺が止めに入ろうとすると、○○がその女子達に向かって言った。
「京冶が行かないって言ってんだから無理に行く必要なくない?」
「無理やり京冶と行くともっと嫌われちゃうよ?」
“もっと”もう嫌われてるかのように言っている○○。少し煽った○○は、女子達の様子を伺う。
喧嘩になりそうだったら俺が止めに入る。
『もう話は終わりでいい?』
「えっ、?」
悲しそうに一言放った女の子は涙目になって教室を逃げるように去っていく。
「酷いこと言っちゃったかな…」
『そんな事ないよ、俺を庇ってくれてありがと』
「うん!」
○○の機嫌が治ったとこで、俺は○○と一緒に教室をでる。
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酷いこと言っちゃったかな…。
さっきの言葉を再確認して、自分の悪い所を必死に探す。
真ん中の女の子涙目になってたし、私があの子を傷つけるような言い方したんだ。
なんで言っちゃうんだろ…と自分の中のモヤモヤが晴れないまま、授業をうける。
さっきの女の子は私と別の班だけど目が合う度にそらされてしまう。
きっと私がキツイ言い方したから私が怖いのかな…と1人でネガティブな事を考える。
あの真ん中の女の子を庇っていた女の子2人組は私を見ながらヒソヒソと何かを話している。でも、陰口ならとっくにもう慣れた。
『○○?大丈夫?』
途中で京冶が気にかけてくれるけど、心のモヤモヤは晴れないままで…。
京冶の笑顔を見ても一緒に過ごしてもあの子を傷つけた事には変わりない。
「ねぇ…京冶」
『どうしたの?』
「私…あの女の子傷つけちゃったよね、謝らないと」
京冶に自分の本音を話したとこ、京冶は京冶らしくない言葉を私に言った。
「○○があんな事いわれて嫌だったんなら謝らなくてもいいよ」
「そもそも、○○にあんな事言ったあの子達が悪いんだし」
京冶は少し怒っているようで、不審に思った。だって、京冶が女の子達に怒るなんて滅多にないから。
京冶…何か言われたのかな?言われたんだったら私が注意しないと、!
「でも…謝った方が…」
『○○は優しいね、俺だったら謝らないよ』
「そっか…」
やっぱり怒っていると確信した私は、女の子達の話題には触れないで他の話題に移ることにした。
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「そういえばね!京冶!」
ふわっとした笑顔で俺に話しかけてくる○○。あーぁ、いっその事監禁しちゃおうかなとバカな発想が浮かび上がってくる。
『ん?』
「駅前にね!美味しいパンケーキ屋さんができたんだよ!」
「今日って部活ある?」
『今日はないよ』
「よかった!じゃあ今日一緒にパンケーキ屋さん行かない?」
『うん、いいよ』
○○は甘いものが大好きで、いつもデート用に甘いお菓子を持ってきている。
今日持ってきたのはマカロンだと言っていて、明日はカップケーキを持ってくるそう。
「早く放課後になんないかな〜!」
可愛い事を言っているので、俺も自然に頬が緩んでしまう。すると、俺達の会話を聞いていたあの女子3人組がまた俺に話しかけてくる。
「ちょっと!!」
『はぁ…何?』
俺は咄嗟にめんどくさいオーラを出してしまい、女の子達は肩が震え上がっていた。
「この子が放課後アンタと買い物行きたいって言ってるんだけど!!」
『放課後は○○とでかけるから無理だよ』
その場にいる○○は様子を伺っているかのようで、いつものように間に入る事はなかった。○○は言えばイラついていると言うのが正しいのだろう。俺との時間を邪魔されてさっきの謝るという感情が怒るに変わっている。
ただ、そんな感じがするだけだけどね。
「何でいつも○○ちゃん優先なの!?」
「この子の気持ちも考えてよ!!」
意味不明なことを突きつけられ、さすがの俺もなんと言っていいか困る。
「あのさ」
いつもより声が低くなっている○○に驚きが隠せない俺。女の子達は○○を舐めてるかのように話しかける。
「赤葦くんいないと何も出来ないポンコツ女のくせにッ」
『は?』
「一言言わせてもらうけど、そこの真ん中の女の子」
「へっ、?」
肩をビクッとさせた女の子が涙目になって○○を見つめる。○○は悪夢の顔をしてその女の子にある言葉を言う。
「他の子に頼ってばっかじゃ男の子は振り向いてもらえないよ?」
「誘うのだって自分でやんないとさ笑」
初めて○○が悪魔に見えたと言わんばかりの笑顔で言い放つ○○。
「それに、京冶は私しか見てないからいくら言ったって無理だよ。諦めなよ」
とうとうめんどくさくなったのか、キツい言い方で会話を終わらせる○○。
女の子達は口を開いたり何か言いたげな表情だったけど、○○の鋭い視線に怖がって早足で去っていった。
「…大丈夫?京冶」
『うん。ありがとね』
「もうっ京冶モテすぎ!やんなっちゃう」
『俺のセリフね』
俺は○○以外を好きになる自信なんて1mmもない。今日の○○をみて、本気でかっこいいと思ったし惚れ直した。
こんな幸せな毎日がずっと続きますように。
と、俺は心の中で呟いた。
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