テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
少し傷のついた銀の時計。
それって
「あった」
「…なんだよ別に傷もついてないしピカピカじゃ」
俺の真横、すぐそこ。
手に持っていた銀時計もチリチリと火花を散らした。
金属が擦れ合う音で耳が痛かった。
どうやら踏切の音をこのチンケな耳は聞き逃したようだ。
怪我はなかったが、しまったな。
あの自称探偵の銀時計と全く同じ種類で全く同じところに傷がついたようだ。
偶然か必然か…。
はぁ、あいつと会ってからずっと気分が悪い。
とても気持ちが悪い。
「おかえり、随分と遅いじゃないか」
「ハナさんかい?どうやら帰ってしまわれたようだ」
「わざと?そんなわけないじゃないか」
「あぁハナさんから伝言だ、その銀の時計はプレゼントだそうだ」
「傷をつけてしまったのか、まぁ君のものだ誰もなんとも言わないさ」
「この銀時計はなんだって?それは…まぁいい時計とでも言っとこう」
「推理とさっきの話はまた今度ということで、今日は解散としよう。僕は今すごく寝たいんだ」
つい持って帰ってきてしまった。
こんな怪しいものなぜ俺はカバンに入れて帰宅したんだ。
盗聴器とかGPSの類が入っていたら家族にまで迷惑が…。
自殺しようとしてた俺が家族の心配…ね。
よっぽどそっちの方が迷惑かけんじゃん…。
あーなんか調子狂うわ。
自殺しようと思ってたのに結局あいつに構ってたら親から電話で迎えいくから場所伝えてとか言われたしさ。
明日、明日絶対に俺は死んでやる。
次はあいつに会っても構わないでいよう。
「ハヤト、なんかあんたの友達来たけど。こんな時間に来るなんてあんたの友達頭おかしいんじゃない?」
友達?誰も呼んだ覚えはないが…。
「やあ!つい来ちゃった!」
「お帰りください」
なんでこいつがうち来てんだよ?!
頭にくるわこいつほんと。
「ねぇねぇ!」
「なんで鍵開けれるんだ!」
「なんでって、君が鍵を置いていったんじゃないか」
「もしかして、うち来ていいよ♡のサインかと思ってね!」
「なわけないだろ、忘れ物だ返せ」
「預かっておくよ、君が明日僕のところへ取りに来るように」
人の家の鍵を指でクルクルするなよ…。
こいつ自殺させない気か?
なんにせよめんどくせぇ…。
「あーはいはい」
「…バイバイとかないのかい?」
「ガキかよ…また明日な」
「また明日!」
やっと帰った。
あ、てか結局答え合わせしてねぇ。
あいつはぐらかしやがったな。
絶対答えさせてやる。