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はぁ気乗りしないがまた明日なんて言ってしまったからな…。
重い足取りで俺はあの探偵事務所に向かった。
「なんだ君か、絶世の美女でも来ればよかったのに」
どうやら機嫌がすこぶる悪そうだ。
「美女じゃなくて悪かったな、鍵返せ」
「鍵はその机の上だよ」
「どーも、じゃおさらばってことで」
「あ、君今日黒髪ロングの泣きぼくろがあるかわいい子と関わったろ」
「なんで知ってんだよ、やっぱストーカーだろお前」
「残念ながらストーカーは僕じゃなくてそのかわい子ちゃんだ」
「…残念でもないか」
「は?」
急に何を言い出すんだか。
黒髪ロングで泣きぼくろがある俺が今日関わった人は生徒会書記の前田さんだ。
話が合うのでたまにすれ違った時に話す程度でつけられるようなことはした覚えがない。
前田さんがよく高嶺の花と呼ばれているのを耳にするが俺は話が合う友達として接している。
俺が恨みを買うとしたら前田さんと仲良くしているのが気に食わない前田さんが好きな人だろう。
「なんで前田さんが俺のストーカーなんだよ」
「その子は前田さんというのか」
「君のバックに黒の長い髪がついてる」
「だから?まさかそんなので俺が関わった人が分かるって?」
「ただの運だろそれ、随分と豪運なこって」
「いや理由としては君の真後ろにその前田さんという人がいる」
ん?
「うわ、びびったぁ…」
「驚かせてすみません」
「ですがストーカーと呼ばれるのは心外です」
「こんにちは前田さん、依頼かい?」
「やはり、この写真に写っているのあなたですよね」
前田さんが出したのは破けた跡のあるモノクロの写真。
服装から見るに昭和初期あたりのように見える。
その写真の中には確かにマリトそっくりの青年がいた。
「おぉ確かにそっくりだね、僕のご先祖さまとかかな?」
「これ、あなたなんじゃないですか」
なんてバカげたことをと思った。
昭和初期だと思われるこの写真の時点で青年なんだったら今は100歳超えの老人になっているだろうとバカの俺だって分かる。
そんなことをあの生徒会さまが分からないはずないだろと笑ってやるつもりでマリトの顔を見た。
寸前まで俺は本当に笑ってやるつもりだった。
マリトの意表を突かれた顔を見るまでは。