テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「‥‥あのこれ‥‥」
そう言いながら電源が入らない画面を患者さんに向ける
充電をしないと無理だ
そう思っていたのに何も映らない画面を見ると、まるで痛みが引いたかの様に柔らかい笑みでそれを眺めている
「‥‥美人でしょ?」
「‥‥え‥‥?」
「俺の大切な人‥‥」
そう言われても何も映ってはいない
僕はもう一度自分にスマホを向けて電源を入れてみる
だが結果は一緒だ
「もっといっぱい撮っておけば良かったな。寝顔しか持ってないんだよな‥‥」
「あ‥‥そうなんですね?もしこちらに来られるなら看護師さんに撮ってもらえば‥‥」
「‥‥伝えてないんです。‥‥悲しませたくなくて‥‥どこかで生きてるんだって思って欲しくて」
「‥‥‥‥」
「どっちが正解なのかわからなくて‥‥でも考えてる時間もなくて‥‥ただ俺が居なくても幸せになって欲しい‥‥それだけなんですけどね」
「幸せですよ‥‥彼女さんも」
「えっ?」
「え‥‥?」
「美人だから女の人に見えた?」
「え、や‥‥あまりに可愛くて‥‥って、すいません!」
「ははっ、謝らないで下さい」
危ない‥‥
見えないからてっきり女の人が写っているものだと思った
「‥‥最後に会いたかったな」
「僕‥‥連絡とりましょうか?」
「‥‥いや、その顔を見て心に焼き付けておきます。目を瞑るとね、すぐ側に感じるから」
「そんなの‥‥寂しくないですか?」
「寂しくさせたのは俺だから‥‥コイツの寂しさも全部俺が持って行けたらいいのに‥‥」
そう言った彼の顔が忘れられない
「ありがとうございました」
「いえ、僕は何も‥‥」
すると看護師さんが部屋に入って来た
「甲斐田さん?どうかしましたか?」
「あ、いえ‥‥」
「俺がまたスマホ見たくて‥‥通りかかった彼に頼んでました」
「あらまたですか?本当に大好きなんですね。じゃあ点滴を変えますよ、長尾さん」
俺は静かに部屋を出た
そして次の日
僕がここを去る日
彼が居た部屋は綺麗に整えられいた
若い彼には恐ろしい程のスピードで病が進んでいたのだろう
少し前にあった事を夢に見た
彼は穏やかに最期を迎えられたのだろうか?
目を開けるとまだ眠ったいるロウの顔
僕はなんだか堪らなくなり、腕の中のロウを強く抱きしめた
「‥‥ん‥‥ん?‥‥何‥‥」
「‥‥おはよう」
「‥‥苦しいかも‥‥晴?」
「‥‥‥‥‥‥」
胸に埋めていた顔をあげて僕の顔を覗き込まれる
「‥‥怖い夢でも見たのか?」
「なんで?」
「変な顔してるから」
「人の顔見て変な顔とか言うなよ」
「じゃあ腹でも減ってんのか?」
「‥‥それは空いてるかも」
「今日は晴が用意する番だろ?」
「そうだね」
そう言いながら僕はロウの首筋にキスをする
「おい‥‥ご飯は‥‥」
「今食べてる」
「は?おい‥‥ちょっと‥‥んっ‥‥!」
ロウとの思い出をいっぱい作っていこう
色々な出来事を記憶していこう
互いにシワシワになった手が離れるその時まで‥‥
END.
コメント
3件
お、追いついた!最高でした😭👏✨場面が想像しやすくてもうガチ最高でした(最高すぎて語彙力どっか行った)ほんまに蒼月さんラブです✨️