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敦芥推し
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#文スト中原中也夢
茉莉(まつり)
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かいじう🦖
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「ハッ、ざまぁ見ろ。傑作だな」
敵組織の地下アジト。
椅子に厳重に縛り付けられた中原中也は、顔に血を滲ませながらも、不敵に口角を上げていた。
周囲を囲む敵の構成員たちは、マフィアの「双黒」の片割れを捕らえたと狂喜乱舞している。
──だが、これこそが中也の、そして黒衣の戦術家である太宰治の作戦だった。
わざと捕まり、敵の本拠地を油断させて内部から壊滅させる。
中也の圧倒的な体術と重力制御があれば、拘束を千切ることなど造作もないはずだった。
「おい、お前らのボスを呼べよ。今なら命だけは──」
言いかけた中也の言葉が、不自然に途切れた。
ドクン、と心臓が太鼓のように跳ねる。
視界が急激に歪み、身体の奥底から、ドロドロとした異常な熱がせり上がってきた。
(な、んだ……これ……ッ!?)
ガチガチと奥歯が震える。
喉の奥から、甘ったるい、狂いそうなほど濃厚な蜜の匂いが溢れ出した。
Ωの発情──完璧に計算して飲んでいたはずの抑制剤が、連日の過酷な任務による疲労のせいで、この最悪のタイミングで完全に破綻したのだ。
「……おい、なんだこの匂い」
「おいおい、嘘だろ……こいつ、Ωか!?」
周囲の敵、αたちの目の色が変わった。
さっきまで恐るべきマフィアの一員だった少年が、今はただの、無防備で極上の「雌」の匂いを撒き散らしている。
敵の男たちが、欲望に目を血走らせて中也に近づいてきた。
「マフィアの双黒がΩだったなんてなァ! おい、先に味見させろ!」
「触る、な……ッ! どけ……!」
重力を使おうとするが、脳が熱に侵されて、異能の焦点が結ばない。
服を引きちぎろうとする薄汚いαたちの手が中也の肌に触れた瞬間、中也は絶望のなかで奥歯を噛み締めた。(クソ、クソ……! 誰が、こんな奴らに……ッ!)
その時、地下室の鉄扉が、凄まじい衝撃音と共に吹き飛んだ。