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さきほどのおもらしから約1時間ほどがすぎたころ。
尿意はなかったものの、ふと先輩の(お客さん)という言葉を思い出した。
(お客さんって?普通に仕事関係の方なのかな?)
急に気になりパソコンを打っていた手が止まる。
(もしお客さん来た時に漏らしちゃってたらどうしよう…)
歯医者での、事件、以来マイナスなことばかり考えてしまう。
モジモジしだすさゆり。
時間は11時30分をすぎていてもう少しでお昼。
いつもだと楽しみなお昼の時間も今日は先輩の言葉が気になってそれどころではない。
(たぶん大丈夫だけど一応トイレいっておこうかな)
と持参のオムツバッグを持ちオフィスを出ようとすると
(百田さん、どこまで進んだ?)
(早く終わらせないと昼からは時間ないんだからね!急いでちょうだい!)
先輩の厳しいゲキがとぶ。
さらに
(カバンもってどこかにいくつもりだったの?)
と知ってか知らずかオムツバックのことを言われてドキッとしたさゆりは
(いえ、なんでもありません)
精いっぱいの声で返してパソコンに向き合うことにした。
(漏らしてないんだからお昼までならなんとかなるよね)
お昼のアラームがなりみんないっせいに仕事の手を止め休憩に向かっていく。
外食や社員食堂な人、お弁当な人様々だ。
いつもはお弁当を持ってきているさゆりも今朝は時間が無く外食する予定だった。
その前にトイレに行っておこうと、例のカバンを持ち席を立つ。
隣の席の同期の女性
(あれ?今日はお弁当じゃないの?私もなんだよねー一緒にランチいこ!)
と誘われてしまいトイレに行くことができなくなってしまった。
(さっきからカバン大事そうに持ってるけど何が入ってるの?)
聞かれるのも当然かもしれない。いつもは通勤用の小さなバッグしか持ってきていないのに大きめのバックを持ってきているのだから。
(ちょっと…)
オムツが入っているなんて言えるはずもく、そう返事をするしかなかった。
(ランチ行く前にトイレいくね)
軽い足取りで空いている女子トイレへ入っていった。
(オムツ大丈夫かなぁ?我慢できるかな?)
さゆりの頭の中はオムツのことでいっぱいだった。
(談話室以外でオムツ見れるところないかな)
キョロキョロと辺りを見渡す。
大の大人が働くオフィスでそんな場所があるわけもなく、途方に暮れるさゆり。
(おまたせー)
と手を振りながら小走りで帰ってくる同期。
(こっちの気も知らないで💦)
そうは思っても悪いのは自分。
2人で外のセンター街を歩く。
1人は小さな財布しか持っていないのにもう1人は大きなバックを持っていて不思議な光景かもしれない。
(コンビニ!あのコンビニだ!)
どこにでもあるコンビニの明かりを目にし自然と足がそちらに向かっていく。
(あそこいこ!)
指先には1件の食堂がありそこへ行くことになった。
(しかたない、あそこでトイレ借りよ)
そう思い食堂の待機列に並ぶ2人。
お昼時とあってすいている店は少ない。
(おしっこしたくなってきたかも)
オムツはしていても体は大人の女性なので人前で漏らすほど恥ずかしいことはない。
意を決して
(あそこでトイレ借りてくる)
と言った矢先、前に並んでいた4人組が列を離れさゆり達が列の先頭になってしまった。
(もう少しだからこのお店でトイレ借りれば?ここなら私カバン預かってあげれるよ)
とは言われてももし中のオムツを見られてしまったらと考えると渡す訳にもいかない。しかも肝心なのはこのカバンなのだから。
変に抵抗する訳にも行かず待つことになってしまった。
間もなくさゆり達が中に入ることになり数隻あるテーブルのひとつに案内された。
(トイレ行くんでしょ?行っておいでよ、カバン貸して)
手を出す同期。
頭をフル回転で考えた挙句、渡すことにしたバック。
(大事なものが入ってるから絶対に中見ないでね)
そう言ってからトイレに向かっていった。
(絶対見られませんように!)
見るなと言われると見たくなるのか人間、
その同期も初めは見るのをためらっていたものの、さゆりの姿がトイレに消えると早速バッグのファスナーを開け中を覗き込んだ、
トイレに入ると食堂のトイレはとても小さく、とてもじゃないがオムツ交換ができる大きさではなかった。
しかし店の外に並んでいる時から感じていた尿意は収まってくれず、ここでオムツを外して用を足すか我慢して会社まで戻るかしかなくなってしまった。
突然、大きな波とともに決壊したさゆりのダムはオムツをあっという間に濡らしていき、途中で止めることはできるはずもなく全てオムツに吸収されていった。
(もれちゃった…やっぱりオムツ持ってくればよかった )
その声のあとに個室の外から
(大丈夫ですか?)
と聞こえハッとなるさゆり。
(大丈夫です、なんでもないです)
と答えると急いで個室のドアを開け、下を向きながらトイレを出て同期の元へ歩いていった。
席に着くと
(遅かったね、トイレこんでた?)
カバンの中を見られているとも知らないさゆりは
(うん。まぁね)
そういうのが精一杯だった。
(あ、かパン返すね)
帰ってきたバックはチャックが少し開いていたものの
(中見てないよね?)
(うん、みてないよ💦)
同期の言葉を信じ席に着くと、たのんでおいれくれたらしい料理が運ばれてきた。
紙おむつはおもらししたあともサラサラ感があるが布おむつはそうはいかない。
布が肌にベタベタと張り付いて気持ち悪くて仕方がなかった。
いつもはおしゃべりな同期もバックの中を見てしまったせいで口数が少なく、さゆりの方を横目で見ながら食事をすませていった。
お会計を済ませ店を出る2人。
カバンの中のオムツが気になる同期も
(気にしたゃダメ何かで話題作らなきゃ)
そう考えて出た言葉は
(友達の子、5歳なんだけど未だにオムツ取れないんだって)
オムツの話題をそらそうと考えるとオムツのことが頭から離れなくなってしまうのはどの人もおなじだった。
(あ、いや、違うの💦友達の子の話しね💦)
慌てたように否定のはカバンの中を見たと言っているようなもの。
(あ、そうなんだ💦)
となんとか返すさゆり。
そしてそれ以上会話の続かない2人。
しばらく前を見て無言のまま歩く2人。
数分後、会社に到着すると
お昼休憩が終わるまで十分な時間があった。
席に着くとすぐに先輩がやってきて
(百田さん遅いじゃない!お客さん来るって言ったでしょ!!)
怒られたさゆり。
既に、お客さん、は来ているらしく先輩はさゆりを連れてオフィスを出ていった。