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真っ暗な世界。
此処は?
目を開けても瞑っても真っ暗で恐怖も感じず俺はまた目を瞑った。
何か、忘れとる?
…いや…
煙がかかったような脳内にふわりと、残酷な暖かい声が聞こえる。
「マナっ」
恋人の声。
目を開けて手を伸ばすとライは他の女とキスをしていた。
「…は?」
困惑でうまく息が出来ない俺にライはいつも通り笑ってごめんね。って言うてくる。
また暗闇に帰り、これは夢だと思い込む。
困難する筈ない。
俺の知ってるライは明るくて、可愛くて…ほんま、ええ子で…
「まだそんなこと言ってるのぉ?」
俺はまた蹴られて地面に倒れる。
床は冷たくも暑くもない。
ただ、蹴られたところは酷く熱く、苦しい。
「俺は…ライを信じるっ」
「認めた方が楽なのに…」
滲んでいた涙を指で救われ悪魔みたいに笑う。
「ライはそんな事…」
「言わない?本当に?」
「…は?」
少し声のトーンを落とし
無理やり座らせられる。
「俺ポカしちゃってさぁ、ヴィランに飲まれちゃったんだよね。んで今こんな感じで。」
「ふざけんな!!」
「本当だよ。マナも俺と同じになる。そうしたら…また2人で居られるよ。」
甘い声が、嘘だと決まっているのに。
俺の心を蝕んでいく、
「ねぇ、独りは寂しいよ。」
抱きつかれて耳元で囁く。
「マナ…好きだよ。」
「他の女とキスしといてよう言うわ」
「嫉妬したの?」
「当たり前や”…!?」
肯定した瞬間酷い頭痛が走る
なんやこれ、吐きそう…
「憎いよね。そんな男。」
腹の奥から何か…
競り上がるような気持ち悪さ。
「殺しちゃおうか」
言葉がだんだん遠くなる。
最後に優しく抱きしめられたのはライと同じ香りのするなにかだった。