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続き楽しみです!
「いい〜?着いてきちゃダメだかんね?」
黄色い彼が発した”一生のお願い”から約半年が過ぎた。子供の成長というのは早いもので、既に僕の身長を抜かしそうな奴さえいる。
抜かされたくないので、密かに革靴の踵で身長を盛っているが、これが無くなれば…
「ねぇなんで着いてっちゃダメなの〜?」
紫色の彼が嘆く。
確かに、彼らが来てからというもの俺が外出をする頻度が明らかに減少したのは事実。けれどそれは彼らのことを思ってでもあり、同時に溜め込んでいた食料を消費したかったからでもあった。
そして今現在、食料が底をつきようとしている。
自身は人肉しか食べないから食料はそれしかないんだと、それでも良いのかと、彼らを匿う上で彼ら本人に確認済みだ。
その時はまだ知らなかった。
子供の食べる量がどれほど恐ろしいのか。
「街は怖い場所だからっていつも言ってんでしょ?だからだよ」
「じゃあ森は?森もあかんの?」
「森は…けど危ないよ?」
正直、まだ運のいい人間が何人か生き残っている可能性もあるだろうし。
僕自身、森の管理者という権限を与えられているのは確かだが、誰が森に入って何処にいるのか、なんて位置把握出来た試しがないんだよ。
流石に不安じゃん?
「多分大丈夫やろ。俺ら体動かしたいだけやし」
いやそれが怖いんだけどね??
…ん〜まぁ、今回は妥協してやる…
とでも思ったか。
「森も街もダメ。俺が不在だと皆心配だし、いい子だから館にいて?ね?」
いつもとは違う甘い声で言えば、何その声キモとでも言いたげに体をのけ反らせながら距離を取る子供達。
流石に傷つくんですけど…w
「じゃあいい子で待ってろよな〜」
鉄扉に鍵をかけ、外へと出た。
「らっだぁはああ言ってたけど、結局どうする?」
俺らはらっだぁが出て行った鉄扉の前で作戦会議をしていた。
多分”皆が心配だから”というアイツの気持ちは本心かも知れないが、半年間体を動かしていないせいか体が運動を欲しがりすぎて、今じゃ館内全体を走っても足りないほどになってきていた。
地に足をつけて走り回りたい。それが全員の意見だった。
「まぁ森ぐらいなら俺らでも行けるやろ」
俺が声を発すると他3人が頷く。作戦会議を一時中断し、らっだぁが閉めた鉄扉を押してみる。
「…ッアイツ鍵閉めやがったなッ‼︎」