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[今、幸せですか?]

手元の液晶画面に写し出される文章。幸せか。そう問われる。きっと何かの勧誘で打たれた文章なのだろう。特に深い意味はないと思いたい。俺は幸せか否か、そう問われたら[幸せ]と答えられる自信がない。特に楽しくもない。苦しい事ばっかり。息が詰まる。本音が喉に突っかかって声に出せない。いつからこんな人間になってしまったのだろう。こんなつまらない人間に。

今こんなに無駄で仕方がない事を考えているのは目の前の”死”の時間稼ぎだ。そう。俺は今飛び降りようとしている。いっそ死ねと言われたらこうやって時間稼ぎもしなくて良いのだろう。本当は怖いのだ。いや、怖いのだろう。俺にはそういう感情が消えてしまった。感情がかんじられない。その表現が一番だろう。

[配信やめたらww??][声キモイ][何で◯◯君とコラボ出来てんのww??]

配信をするとこんなのばかり。書き込んで何が楽しいのだろうか。見なければ良い。目を背ければ良い。そんな簡単なことが出来ない。俺も、皆も。人間の習性なのだろうか。拒絶していても、なんとか克服しようとする。それでも拒絶する。これの繰り返し。実際、人間の行動は殆んど繰り返しで出来ている。食べる。出す。起きる。寝る。

さぁ、死のう。

そう決意した瞬間だった。明那からメールが届いた。

[ふわっち今までありがとう。]

”死ぬ”俺と同じ状況だった。あぁ、明那と同時に死ねる。これが幸せと言うのだろうか。謎の感情に浸っていると、体が勝手に動いていた。

一刻も早く明那に会わなきゃ。助けなきゃ。

そう頭に浮かんだ。目からは涙と呼ばれるものが流れていたと思う。明那の場所は分からなかった。でもいつもの場所。なぜか確信出来る。対して、遠くも無かったのに。





着いた時には、明那が血まみれになって倒れていた。人集りができていた。


「な、何で……あきなが……」

声も出なかった。ただ、頭の中が明那の笑顔で溢れかえっていた。


『ふわっちも大切な人が死んじゃったら分かるよ。』



END

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