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「名前の通り、既婚者だけが参加できる合コンらしいわよ」
「中西さんがそう言ったのか?」
顔をこちらに向けた夫が、怪訝そうに聞く。
そうよね…あの直美さんがそんなところに通っているなんて、信じられないでしょ?
「バイトと言いつつ、通っている喫茶店を教えてくれたの。喫茶店なら、私も一度行ってもいいかな、と思ってその喫茶店のホームページを見たらね、そこが既婚者合コンをやっているって」
「ホームページに載せているってことか?」
「イベント情報だって」
「へぇ…レディースデーのように集客を狙ったイベントと同じ、って感覚かもな」
「…怪しいと思わないの?」
「怪しいのか?」
私と同じく、既婚者合コンというのが初耳だった夫が、内容を知るはずもない。
でも、私が昼間に調べた詳細を伝えるのは、興味があると誤解されそうでできない。
私は既婚者合コンに興味があるのではなく、中西夫妻のように名前で呼び合えばもっと満たされるのか…どうすれば、あんな風に駅まで手を繋いで歩ける夫婦でいられるのか…直美さんが羨ましい。
そして…その愛されている直美さんが、旦那さんを裏切っていることは許せなくも思う。
「詳しく知らないけれど、わざわざ夫や妻以外に会いに行くんでしょ?それって裏切りで浮気でしょ?」
「浮気か…喫茶店で浮気ねぇ…出来ないと思うけどな」
「……どこからかが浮気かってこと?」
「さあ…?まあ、関係ないことはどうでもいいけど。中西さんがそんなことしてそうにはないけどな」
ここで直美さんの肩を持つ夫に、腹が立った。
「仲良さげな夫婦なのに…旦那さんもよくそんな喫茶店でのアルバイトを許したわよね」
「ただのアルバイトだろ。お前、くだらないことしか考えないんだな」
私の言葉を一蹴して、話は終わりだと言わんばかりに、くるりと背を向けた夫が、既婚者合コンに興味を持ったなんて思いもよらなかった。