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どうもみなさん。とてもお久しぶりです。れもんです。今まで投稿していなくて本当に申し訳ございません。そんな謝罪の気持ちをこめて、読み切りの彰絵名を書きました。
過去の私の文章を見てめっちゃ恥ずかしくて、どうも続きが書けませんでした。申し訳ないです。
今回は互いのことを考えすぎて、どろどろぐちゃぐちゃ関係になる彰絵名の話、の前編です。
解釈不一致が起きたらブラウザバックをお勧めします。私の好きな要素を詰め込んだだけです。
どうかお楽しみください。
絶対に後編も出します……。頑張ります……。せめて8月までには出します。
✦︎︎✦︎︎
体を重ね合わせて俺は薄々思っていた。この関係でいいのかって。気付けば情けなく、ずっと言い訳だけ探していた。
俺は絵名を傷つけていた。俺は知っている。
知っているのに、俺は見て見ぬふりをした。
コトの日の夜は稀に絵名は小さい透き通った涙を一粒、零していることを。
それでも向こうも俺に処理を求めてきているから、なんてみっともなく言い訳をして、この関係を続けていた。
✦︎︎✦
彰人はたまに寝言で私に謝ってくる。きっとこの曖昧な関係のことに誤っているのだ。
別に謝らなくていいのに。
だって私は弟に恋心を抱いているんだから。そっちの方がずっと情けない。彰人はただ私を欲処理としてしか見ていないのに。 そう考えると酷く苦しい。分かってる、ダメって……。
そんなことを自室で絵を描かきながらぼんやりと考えていた。
「バカ、よね……」
弟にみっともなく発情して、重ね合わせて、互いにナニかを感じながら、日々を暮らしている。背徳感、では無い、別の何か。そんな濁ったような、関係。
『絵名、どうしたの?』
透き通った声がパソコン越しから聞こえる。
声の主は奏だった。そういえばニーゴのみんなとビデオ通話をしながら作業していたのをしていたのをすっかり忘れていた。
「ううん、なんでもないよ、」
『そう、?さっきから顔色も良くないし……無理は…』
「大丈夫よ、体調は悪くないし、」
顔に出るほど思い詰めて、奏に心配されている自分が少し嫌になる。
絵を描いている時くらいは別のことを考えたかったのに、結局考えてしまうのだ。
「……っ」
絵のことで色々言われた方が苦しいのに、今日は、この瞬間は、曖昧な関係の見えない終わりに苦しんでいる。
「私、抜けるね、!」
このまま絵を描いていても、ニーゴのみんなと話しても、この気持ちは晴れない。みんなには申し訳ないけど、ビデオ通話を抜け、パソコンや液タブの電源を落とした。
「バカ、バカっ……」
悪いのは全部自分なのに、終わらせようと思えば、終われるのに……。
「なんで……」
本当は答えは分かってる。でも答えを自分で出したら、もう、ダメな気がした。
部屋の窓の隙間からは自分の心情とは真逆の夕日が差し込んでいる。
「そろそろ、学校行った方がいいか……」
私は気を紛らわすように、学校へと向かった。
✦︎︎✦
「ここはXに4を代入すれば……」
生徒のいる教室に響く、数学の先生の声。窓から見えるのは真っ黒な空。この黒に私の感情も全て、奪って欲しいと強く思う。
「……はぁ」
今日、何度溜息を吐いたのだろう。何度弟のことを、思ったのだろう。
勉強しても気が紛れることは決して無かった。寧ろどんどん気が重くなるばかり。
「……東雲さん?」
数学の先生の声が耳に留る。
「え、あ、はい!」
「ここの問3、答え分かる?」
「あぁ、えっと_」
慌てて私は席を立って、答えを言う。
いっそのこと、抱いてもらえればこの気持ちもどこかへ、去っていってくれるのかな。 でも、苦しんじゃうのかなって。
手に持っているHBのシャーペンの芯がボギリ、と折れた。
✦︎︎✦
ストリートの世界
「……〜♪、っ」
「彰人、大丈夫か、今日は声も震えているし、顔色も悪いぞ、何かあったんじゃ……」
「……少し休憩してくる、」
冬弥とも目を合わぜに、俺は歌の練習をやめ、日陰へと移動した。
今日はいつもよりも上手く歌えない、痛い程俺はわかってた。余計な事ばかり考えて、ろくにリズムや、音程をとれなかった。私生活にも支障を出すほどに、俺は絵名を想っていて、苦しめられていた。それくらい絵名も俺のことを想ってくれていたら、この苦しみだって、遠い彼方へと飛んで言ってくれると思う、けど絵名は俺のことは所詮、欲処理係、とでも認識してだろう。そう考えればどんどん苦しくなる。
「クソ……っ」
俺は手に持っていたマイクを強く握った。
✦︎︎✦
暗い帰り道。空には無数に輝く星があった。
結局モヤモヤした気持ちは消えぬまま、時が過ぎていくだけだった。
私の心とは対照的に輝く星たちが少し憎らしかったが、でもこうなったのは全部私のせい。星に八つ当たりしても意味無いのに。
上を向いて星を見てるともっと苦しくなってきた。
「っ……、」
なんで、こうなっちゃったんだろう。なんで、なんで。
姉弟、なんだろう。
「_絵名」
聞きなれた声が後方から聞こえた。疑問詞は後ろについてない気がした。
「彰人…?」
後ろを振り向けば弟が少し嬉しそうな顔をして立っていた。
「……なによ、用がないなら先に帰るからね、」
あぁ、またやってしまった。本当は話したいのに、素直になれなくて冷たい言葉を放ってしまう。
「……用は無くねぇぞ」
そう言うと小走りで私の方に近づいて、
「夜、部屋来い」
そう言って、どこかへ行ってしまった。
「……っ、馬鹿」
奥がもどかしく疼いた。ダメだってわかってる、分かってるだけで行動に移せない。
それくらい好き。彰人が。
✦︎︎✦
自室にある時計の短針は11と12の間、長針は5と6の間にあった。夜といえば夜なのだが、その夜は深夜を指すのか、それともこれくらいの時間帯を指すのか分からなかった。
でも深夜だとニーゴのこともあるし、でも、今しても、体力なんてもう尽きてるし……。
「うーん……」
私は暫く悩んだ。
丁度12時になった頃、私はチャットにメッセージを送った。
✦︎︎✦
ガチャリ、と部屋にドアの開閉音が響いた。来訪者は姉。絵名はSNSバズり目的に買った可愛らしいネグリジェを着用し、少し頬を火照らせていた。
「……ん、」
抱きしめなさい、という意思表示なのか、腕を広げそのまま動かない。
こっちが動けってことかよ。
抱きしめると、絵名の体温が高くなるのを感じた。
柔らかくて、フワフワしてて、いい匂いがそこら中で漂ってくる。
性格は尖ってるけど。
暫く抱きしめたら、絵名は満足したかのように、微笑んだ。
「あとは好きにしなさい、」
✦︎︎✦
……思い切って好きにしなさいと言った、けど引かれてないかな、と少し不安になる。
彰人は動かず、何かを考えている。
「彰人……?」
ゆっくり、彰人に近づいていく。
それでも黙ったまま。不安が煽られる。
暫く沈黙が続いた。
「……絵名は俺とする行為、好きか?」
1分くらい互いに黙っていたが、彰人が口を開いた。
「えっ、なによ、急に…!」
もし、好きと答えたら私はただの淫乱女だとと思われないだろうか。でもちゃんと答えないと。
「いや、じゃない……」
そうやって彰人の顔を私は覗き込む。
「へぇ……、」
その顔はニヤリ、と笑っていた。
「…あ、彰人、?」
ヤバい、これは何かされる。身体は思い通りなんかに動かない。
「返事しなさいよ……!」
強く怒鳴ると、 むに、と頬を手で挟まれるような感覚がした。
「……んッ、」
唇には彰人の唇と閉じている口をこじ開けようとする舌がある。
舌を入れさせないようにしっかり閉じるが、背中や腰を摩られて口が開いてしまい、舌が襲ってくる。
「んぅ…っ、あっ、う」
長らく、キスは続いた。
「っ…長すぎ、もっと短くして……」
「そんな気持ちよさそうな顔して言われてもなー」
くつくつと喉を鳴らしながら彰人が笑いながら、つんと胸をつついた。
「ひゃ…っ、き、急に触らないでよ!」
キッと私は彰人を睨む。
「いつも急に触ってるからそんな怒るなよ、少しは色っぽい声だせよ、」
ガシッと彰人は胸を鷲掴みし、形を自由に変えていったり、稀に先端を揶揄するように触れた。
✦︎︎✦︎︎
「っ……あっ、」
甘い声を零し、瞼を涙で濡らした絵名が視界に入る。
「………」
_このまま続きをしたら、また同じように後悔するんじゃないのか。
また絵名を泣かせてしまうんじゃないかと。
涙とその苦しそうな顔はもう懲り懲りだ。見たくない。
もう言い訳をしたくない。傷つけたくはない。
「………絵名…、終わりにしないか」
こんな中途半端なところで終わりにさせてしまう俺は馬鹿だと思う。でも、もう今しかない。
というか、こんな関係になっている時点で、中途半端なんだ。
「…、!そう、分かった…、じゃあ、私……部屋に戻るから…、」
震えた声で絵名は言葉を紡ぎ、俺の部屋を出た。
「……これであってる、よな?」
頬に生温い水が伝ってきた気がした。
✦︎︎✦︎︎
バタンと勢いよく自室の扉を閉め、寝具へ飛び込んだ。
「………」
暖かい布団に包まれば、さっきのことも、今までの事を忘れることが出来るかもしれない、そんな馬鹿みたいな思考を繰り返して、私はさっきのことをもみ消そうとした。
「…………っ」
涙が止まらない。胸が締め付けられるような感覚がして、苦しい。
「…あー、あ」
言葉に表せない苦痛がどんどん大きくなる。なんでこうなったんだっけ。思い出そうとしても、苦しさがどんどん増してろくに考えることが出来ない。
「あきと……」
ただ、弟の名前を呟いただけなのに、なんでこんなに息苦しいのだろう。否、ただの弟ではない、 普通の弟とはかけ離れている。
どろどろした関係が終わるんだったら私も心から歓迎していただろうな。
「……弟を好きって馬鹿じゃないの?」
一方通行で、有り得ない恋。誰に言っても、認めてくれたり、分かってくれる人はいない。そんなの分かってる。分かってるけど。
もう戻れない。続きがしたい。もっと甘い刺激が欲しい。でもそれに伴い、苦しさと、なんとも言えない醜さも私に襲うだろう。それに甘さを弟に求めたらそれはそれで冷ややかな目で私を見つめる。それは嫌だ。
そんな塵みたいなことを考えながらスマホで
自撮りをする。
「なにこれ……、全然盛れてない」
SNSにあげようかと思ったが、こんな不細工な顔はネットにあげれない。
「少しここ、加工して……でも、なんか負のオーラが…、あ、そうだ」
#失恋#病み
「このタグなら盛れるでしょ…!」
失恋という言葉が胸に刺さるがどうでもいい。とりあえず承認欲求を満たして弟のことは忘れてしまおう。
絵名は『投稿』という文字が書かれたボタンを少しだけ躊躇いながら人差し指で押した。
✦︎︎✦︎︎
ピロッと、SNSアプリの通知音が静寂に包まれた彰人の部屋に響いた。
「……また投稿したのか、 」
彰人は机に置いてあるスマホを手に取りSNSアプリを開き、一人の少女の投稿を見つめていた。
原型のないほどではないが加工された顔が彰人の瞳に映る。
「絵名……」
こっそり姉の自撮りアカウントをフォローしていた彰人は呆然と液晶画面に映し出される姉の醜い作り笑いを見つめていた。
何故、そんな苦しそうな顔をするのだろうか。一体、絵名に何かあったのだろうか。
そう思いながら彰人は概要欄に目をやる。
「……失恋?」
概要欄にはこう書かれていた。
『#失恋#病み
好きな人に嫌われた、辛い、苦しい。
もう死んじゃいたいな』
「…………は?」
絵名に好きな人がいる。なんてそんなの初耳だ。
今までだってそういう仕草を見せてきてなかったから。メッセージアプリなんて基本サークルのメンバーしかやらないと言っていたし、その上一際幸せそうな顔をして連絡をとっている絵名の姿なんて見たことがない。
それなのに好きな人がいるなんて。
無性に腹が立ってしょうがない。弟に快楽をみっともなく求めてたくせに。 なんなんだよ。
彰人はハートマークを赤く染めて、スマホの電源を落とした。
後編へ続く
コメント
2件
久しぶりの投稿嬉しいです!まじで今回も神ってました😭続き楽しみにしてます!!