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いや小説書くのまじ楽しいですね…🫠🫠🫠
でも小説書いてたらいつの間にか一時間とか二時間とか経ってるのでだいぶびっくりするし困ります😭
せんくうちゃんが俺を名前で呼んでくれたあの日から、たまにだけど理由をつけてコンビニに行くようになった。お母さんに『コンビニに行く』と一言いえば、機嫌の良い日は俺の外出を許してくれることに最近気づいたから。
たった今も、買いたい物も特に無いのにコンビニに向かっている。
コンビニに着き、入店音とともに自動ドアが開けば
「お、ゲン」
と、いつの間にか敬語が抜けてるせんくうちゃんが必ずそこにいる。 客と店員の関係なのにタメで話し名前で呼び合うお互いへの特別扱いが、何気に俺は好きだった。
「やっほせんくうちゃん♪」
せんくうちゃんの前だけは、少しだけ自分が自分でいられる。
それからまた数ヶ月ほど経ったとある日の朝。
『せんくうちゃんと何話そうかな』とか『俺が好きな心理学の話、真面目に聞いてくれて嬉しかったな』とか考えながら、いつも通りコンビニに向かっていた。
自動ドアを開けて、コンビニの入店音が聞こえた。
でも…あの声は聞こえなくて。
「いらっしゃいませー」
せんくうちゃんじゃない別の店員がそこにいた。せんくうちゃんが、いない。
今日はシフトがないのだろうか。でも、今まで居なかったことなんて無かったのに。妙に落ち着かなくて、頭に靄がかかる。
知らない店員が商品をレジ打ちして、知らない店員と会話をして、そのままコンビニを出た。
そもそもコンビニバイトの店員と話すのが楽しみな自分がおかしい、なんてガキっぽく強がりながらも、どことなく心がチクチクと痛かった。
「…せんくうちゃん」
結局、その日は運悪くお母さんの機嫌が悪かったから夜はコンビニに行けず、居るか居ないかの確認もできなかったし、せんくうちゃんに一度も会えなかった。
毎日会っている当たり前の存在がいなくて、心がずぶずぶと汚れている感覚がした。
…せんくうちゃんに会えないとか、ありえない。
ご飯を食べていても、家事をしていても、何をしていても、ずーーーっと…せんくうちゃんのことを考えていた。
俺、せんくうちゃんのこと好きなのかな。
「よぉゲン。久しぶり…つってもたった一日だけどな」
「」
その次の日には、ケロッとした表情で何事も無かったかのようにせんくうちゃんはそこに立っていた。せんくうちゃんは、何も返事を返さない俺をまじまじと見ていて。
「俺がいなくて寂しかったんだろ、ゲン」
黙り込む俺を見て察したのか、せんくうちゃんが俺をからかうようにニヤッといたずらっぽく笑った。
せんくうちゃんの笑顔を見た途端、安心感で自分の中の緊張がほぐれた。
「そりゃそーでしょ!」
「せんくうちゃんと毎日会ってるのに、急にいなくなっちゃうんだもん」
せんくうちゃんと話をしながら、今日の分の弁当をどんどん手に取る。隣を見上げれば、せんくうちゃんの穏やかな表情がはっきりと見える。
万が一バイトを辞めていたらどうしようかと何度も考えては沈んでいたから、今こうしてせんくうちゃんと話ができているだけで俺の心は靄から解放されている。
「昨日はどうしても外せない用事があってな」
「え、用事って?」
「…あ”ー?プライバシーの侵害だぞー」
隣で俺を待ってるせんくうちゃんが屈んで俺の両頬を軽くつまんでぐいぐいと引っ張り、その大きい手から体温が伝わる。
「へんふーひゃん、いひゃい」
「ククク…柔けぇ」
手に取った弁当をレジへ持っていって、せんくうちゃんに渡す。ピッ、ピッと、バーコードを読み取る音が店内に鳴り響いている。
会計が終わったらコンビニに居る理由が無くなるから、会計をするこの時間は嫌いだ。
財布からお金を取り出し会計を終えたあと。
「…そうだ、ゲン 」
「これ、やるよ」
せんくうちゃんが制服のポケットに手を入れて出したのは、一切れの紙を半分に折った物だった。
白一色のシンプルなデザインで、中に字が書いてある、けど…内容までは読めない。
「そのセリフなんかデジャブ」
「あ”ー、そういやそんなこと言ってたな。最初」
「ま、その紙の中、明日になるまで見んなよ?」
「…?」
「わかった」
『こういうものは渡された本人が自由に見るものじゃないのか』なんてことを思いながら、せんくうちゃんの頼みならばと素直に言うことを聞く。
ズボンのポケットにせんくうちゃんから貰ったメモを入れて
「じゃあ、またねせんくうちゃん」
「おーまたな」
まだ帰るのが惜しいけど、俺が別れの挨拶をすると、ひらひらとせんくうちゃんが軽く手を振り、穏やかな笑みを浮かべる。
自動ドアに向かって前進しながら、『今夜コンビニ行けるかな』と考えていたら
「ゲン」
せんくうちゃんが、名前を呼んで俺を呼び止めた。今まで呼び止めるなんてことはしなかったから、不思議に思ってせんくうちゃんが居る方へ振り返る。
せんくうちゃんは細めた目で俺をじっと見つめ、軽く唇を噛んでから
「なんでもねぇ」
と、眩しい笑顔でそう言った。
その日から、せんくうちゃんは姿を消した。
店員に聞いても『バイトを辞めた』なんて分かりきってることしか言わなくて。
仕方なく、最初にせんくうちゃんに出会った時に着ていた学校の制服の記憶を頼りに高校を特定して、たまたま見つけたその高校の生徒に話を聞いてみると
『あぁー石神さん?同じクラスだったよ〜』
『昨日転校したよ、あの人』
『引越しだとか』
と、耳を塞ぎたくなる事実を口に出した。
最後の会話だったのなら、もっと話すべきだった。せんくうちゃんが呼び止めたときもっと違和感を持って問い詰めるべきだった、そんな後悔ばかりが頭をぐるぐる回って、食欲もわかず吐き気がしてくる。
なにが”またな”だよ、また会う気なんてないじゃんか。
俺は、部屋の隅で座って静かに滴を流した。 『無理すんなよ』と書かれてある紙切れを左手で握りしめながら。
無意識に指先に力が入って、紙がぐしゃ、と小さな音を立てて歪んだ。 震えている手を開くと皺だらけになった紙がそこにあって。
慌てて紙を開いて手で伸ばしても、皺が残って戻らなかった。
皺だらけのそれにまたひとつ、滴が落ちた。
コメント
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えぇぇえええ!?ちょ、千空ちゃん!?!どこに引っ越してるの!?かわいいかわいい恋人を残して((((wちょ、せっかく千空に会うことが心の支えになっていたゲンなのに…😭ちょっと百夜さぁああん!?貴方が転勤したからですか!?なんでなんですかぁあ!?😭😭
うわぁぁぁぁぁ千空ちゃん随分と罪なことするねぇぇぇ🥺🥺🥺🥺このこともあってゲンの性格とかが拗れていっちゃうのかなとか思ったりしました…💭
見るの遅くなっちゃいました‼️😣💦 ゲンが千空のいるコンビニに通ってく度どんどん明るくなってたのに千空が引っ越しちゃったからゲンがまた最初に戻っちゃいそうですね…